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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第七章:勇者な執事と東の果ての新婚旅行。はい、鍛えてますから!
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3話:家に帰るとおかえりと言ってくれる人がいるのが幸せなことだって一人暮らしを始めてやっと気づくものだよね?

「あ、お帰りまーくん!えっと、お風呂にする?ご飯にする?それとも――」

「はいはいそれ以上はまだ早いから!と言うか昼間から何言ってるのさ!」


 エプロン姿のサクラちゃんが出迎えてくれたところをシルヴィアに止められてしまった。うん、もう少し先マで聞きたかったんだけどなぁ!


「聞いたところで今からじゃ無理だろう?」

「「ごもっともで」」


 あはは、と俺とサクラちゃんが苦笑いをする。うん、本当にサクラちゃんは可愛いなぁ!


 ここは特等船室。――つまるところのスイートルームである。


 中に入ると広いリビングがあり、キッチンがあり、デッキには屋外プールにジャグジーまでついている。寝室は十部屋もあり、俺たち夫婦の部屋のベット――デモンズプリンセススイートと名付けられたその部屋にはキングサイズの倍は広い特注品が押し込まれている。うん、どうやって入れたかな!ワンフロア丸ごと一室になっているべらぼうな豪華ぶりであるけれど、うん、俺らの他に借りる人って出てくるのかな?


「魔王クラスなら借りる人は出てきそうですね。自分たちの格を見せる必要もあるでしょうし。というか、帰って来るなりいちゃつき過ぎじゃないです?」

「はは、新婚だから仕方ないね!うん。ただいま、ロベリアちゃん」


 そう言って頭を撫でてあげると、何でかすっごくジト目をされてしまった。そんな目をしても撫でる手は跳ねのけないのね、と言ったら足を踏まれてしまった。はい、ありがとうございます!


「やれやれ、真人はまだまだ女心がわかっていないね」

「元男だったシルヴィアに言われるとは……」


 ニッコリとほほ笑むシルヴィアを見やると、どうやらみんなでお昼を作っていたところだったらしい。


「だから言ってるのさ。女になってわかることもあるしね。君もなってみるかい?」

「絶対にお断りします!というか、ルームサービスあるのに料理作ってるの?」


 ああ流石に飽きちゃってね、とシルヴィアは肩をすくめる。うん、こいつってば元男のくせに料理がかなりできる。なんでも育ての親だった菜乃花さんやウエンディさんが教育の一環として教えてくれていたのだそうだ。


「あれは、うん。便利に家事をやってくれる人が欲しかっただけだからね……。あの二人、やればできるくせにやらないんだよ!はぁ……いつもいつも面倒くさがって。どうせまた遊びに帰ったら掃除をさせられるんだ……」

「男としては裏山けしからんと言ってやらないといけないんだろうが……。うん、今はシルヴィアは女だしな……」

「男でも女でも変わんないからな!いや、まぁヌードモデルやらされなくなっただけでも……」


 ガタンと奥から音が聞こえ、覗き込む視線が一つ。そう、林檎ちゃんである。


「うん、話の腰を折ってスマン」

「ああん!もっと聞きたいのにい!」


 夏凛ちゃんに首根っこを掴まれて、勇者三人娘の部屋の中へと引きづりこまれて行ってしまった。うーん、ウエンディさんを呼んでなくてよかった……。


「ああ、いろんな意味で良かったよ。姉さんがいたら、君とボクの男だった頃の――うん、これ以上はやめておこう。もう戻ることは無いし、今のボクを君には見て欲しいし……ね?」


 頬を少し赤らめてシルヴィアはジッと俺を見つめる。く、可愛いんだからズルイよなこれ!


「ええズルイです!ですので私はお菓子でまーくんにアピールするんです!ベイクドチーズケーキを作ったので、後でみんなで食べちゃいましょう!」


 俺に抱き着いたままだったサクラちゃんが、フンスと鼻息荒く握りこぶしを握っている。サクラちゃんの手作りケーキ!他のみんなに食べられる前に食べないと……。スイーツ女子たちに食い尽くされる前に!


「って、あれ?フレアはどうしたのかな?こういう話をすれば、ジュルリ……とか言って顔を覗かせて来ると思ったんだけど」

「ああ、フレアなら別室でイグニアさんにこってりと絞られてる所だよ」


 やれやれとシルヴィアが首を振っている。

 シルヴィアの話によると、どうやら結婚してアークル城に来てから勉強をほとんどしていなかったことがフレイア様の側近のイグニアさんにバレてしまい、新婚旅行なのに家庭教師として随伴されて、個室にこもって勉強をさせられているのだそうだ。うん、どう考えても自業自得だな!


「そういえば、イグニアさんって結構な傷を負われていたお聞きしたのですが……」

「傷の方はエリクシールの大盤振る舞いで何とかね。色々とあの時に好き放題にされてたらしいんだけど、全部やり返してやったからもう大丈夫なんだって。ふふ、聞くのが怖いからそれ以上は聞かなかったけどね!」


 やられたらやり返す。目には目を歯には歯を。彼らのナニをどうされたか迄は想像に難く無いけれど、想像はしないでおこう。考えるだけでひゅんってなりそうだからね!怖や怖や……。


「それで、シルヴィアのお昼ご飯は何なんだい?」

「ああ、サンドイッチだよ。何かしながらで食べるにはこれが一番だからね」


 なるほど、と相槌をうつ。確かにのんびりと海を眺めながら食べるにも最適だろう。ふむふむ?具は鳥の照り焼きと卵とハムレタスにツナマヨ?


「く、異世界なのに異世界感が全くない王道感……!嫌いじゃないわ!」

「異世界感ってなんだよ、異世界感って」


 実際の所、こっちの世界の料理も色々とあるのだけど、どれも元の世界の料理と混ざってしまっていることが割と多い。うん、流石に千年単位で勇者がこっちの世界に来て色々と布教しまくっていたのだから仕方ないのだろう。それにしても人の国の文明の発達が遅いけどね?まぁ、魔王側……特に大魔王側の発展が異常すぎるだけかもしれないけれど。基本的にサテラさんのせいな気がするけどね!どう考えても元の世界でもオーバーテクノロジーすぎるし……。今更ながらにサテラさんは何者なのか気になる昼下がりなのであった。

 うん、やっぱり照り焼きサンドは正義だね!美味いよこれ!

はい、いつもの如く遅くなりました。

申し訳ございm( ˘ω˘)スヤァ

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