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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第七章:勇者な執事と東の果ての新婚旅行。はい、鍛えてますから!
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序:もう少しで届きそうで届かない自販機の下って魔窟だよね?

 ――君は、君は優しく微笑むばかり。



 手を伸ばしても届かない。



 声を出しても届かない。



 これでいったい幾度目だろうか?



 数えきれないほどに彼女に出会い、数えきれないほどに見送られてきた。



――それでも俺は手を伸ばす。



 必ず君の手を()()握ってみせるのだと。



 必ず君に声を届けてみせるのだと。



 必ず君の元へ行くのだと。



 不可能という言葉を踏みつぶしてでも、俺は――



 ふわりと俺の手が揺らめく。



 今回もまた届かなかった。けれども、いつか、絶対に。



――ああそうだ。



 俺は約束を、必ず守る男なのだから――

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