挿話:ドキ!女の子だらけのパジャマパーティー!~ポロリは無いよ~4
モフモフとフレアちゃんをお膝にのせて撫で繰り回しつつ、みんなの話題を右から左に受け流す。
そもそもな話、どうして私がここにいるのかが分からない。うん、確かに真人さんは嫌いじゃない。むしろ、すごく好きな部類に入る。けれどもそれは部下と上司としての間柄。尊敬して敬愛はしているけれど、たぶん恋じゃないと思う。
白熱する真人さんの話に耳を傾ける。
内容はいつものように真人さんのがどう頑張っていて、何回死んでいて、どんなふうに死んでいてそれでも頑張る姿が格好とか割と無茶苦茶なことを言っている。
にゃあ、確かに格好いいけれど、そこはもう少し自重して自分を大切にして欲しいと思う所じゃないのかなぁ……。
まぁ、勇者だから死んでも生き返れるんだろうけど、それでも死んだら痛くて、殺されたら辛いはず。それでも泣き言一つ言う事も無く、ひたすらに私たちの……ううん、オウカ様の為に頑張られている。尤も、オウカ様もそれを知っているからこそ真人さんにベッタリで、働きすぎようとするのを最近は邪魔していたりするみたいだけれど。でも……ただイチャイチャしたいだけじゃないとは思いたいけれど!め、目の前でイチャイチャラブラブされるのを見せつけられる私たちの身にもなって欲しいと思う。うん、しかも交代交代にやって来るし?……あ、フレアちゃんはいつもの如くだった。結婚するずっと前から真人さんの頭の上でお昼寝するか、お膝に乗って抱き着いているかのどちらかだったし。
「で、クロエさんは真人さんの事どう思われているんです?」
「唐突な振り!?どこから、で、に繋がったのかわからないんですけれど!」
思わぬオウカ様の振りに私はワタワタとそう答える。うん、話を聞いていて前後の文脈が繋がっていないよ!?
「そうですか?ふふ、きっと気のせいですね。それで、どうなんでしょう。真人さんと二人でご飯を食べていることがあるって噂もきいているのですが……」
「そ、それは極まれに、です。それに、一緒にご飯を食べるだけなら他の子ともしていますし」
真人さんの直属の林檎さんとか夏凛さんとか、苺ちゃんとか……。
「その三人はもう真人さんラブなことが確定だからいいんです」
「いいの!?というか確定なんです!?」
思わぬ言葉に私は目を丸くした。うん、だってそんなこと急に言われた誰だってびっくりすると思うの!
「まぁ、はたから見たら……ねぇ?」
「スキンシップが割と多いしな……」
うんうんとロベリアちゃんとライガが頷いている。……二人もはたから見たらそうだからね!どう見ても好きで好きでたまらないって感じじゃない!
「ぐ、そ、そう言うクロエだってそうじゃないか!知ってるぞ!昼休みの時、真人の膝枕で寝てるじゃないか!」
「膝枕!」
「い、いやいや、その、たまにだし!ナデナデしてもらってるだけだし!」
「……まぁ、うんナデナデねだってる時点でもう駄目だと思うがな」
ライガさん目が何だか座っていて何だか怖い!え、駄目なの?ナデナデとか、ほらロベリアちゃんもしてもらってるし?か、家族とか仲のいい友達とかの範疇じゃないの!?
「……同性同士ならそうなのかもしれないけれど、異性だし……ねぇ?」
「もうどう見てもベタ惚れですね」
ニヤニヤとしながらサテラさんとロベリアちゃんが「ねー」とか言っている。うん、違うんですよ?何度も言いますけれど違いますからね!
「……コホン、それなら先ほど私がされた質問を。真人さん以外の男性……例えばヴォルフさんに頭を撫でられたらどうします?」
腕を組んでロベリアちゃんがこっちをジトっとした目で見つめてきます。そんなの、答えは決まってるじゃあないですか!
「もちろん、その喉笛を掻き切りますけど?」
「私より辛辣!」
「いや、どちらも怖いからな!」
いや、でもライガさん?そんなに親しくもない相手に頭を撫でられるだなんて、嫌に決まってるじゃない!まぁ、うん、確かに真人さん以外に撫でられるのは嫌というのは無きにしもあらずだけれど……。
「それって真人以外ダメって事じゃないか……」
「真人さん以外撫でて良い人がまだいないってだけです!」
そう、それだけ。別に真人さんが好きという訳ではなく、ちょっとだけ特別ってだけ。こう、恋仲になりたいとかそんなこと考えたりは……したことが無いとは言い切れないけれど、別にどうこうという事ないんだから!
「じゃあ、真人様にもしも迫られたらどするのさ」
シルヴィア様の目がきらりと光る。あ、これ獲物を見る目だ!
「え?せ、迫られたらって……」
「それはもう、子作りだよ」
「こっ?!」
いやいや、流石のセクハラ発言多量の真人さんでもそんなことは言わなかなって!でも、ま、まぁ、真人さんが望むんなら、拒み切れるかは……び、微妙、かなぁ?
「うん、やっぱり好きなんじゃないか」
「なんでぇそうなるんです!?」
「だって、真人の子供……欲しいんだろ?」
ドストレートな言葉に私は固まってしまう。
……そんなの欲しいに決まってる。
真人さんは私を救ってくれて、こんなにも楽しくて幸せな毎日をくれた。優しくて、あったかくて、おお父さんみたいで、だけど話していて楽しくて……。
けれど、私じゃあ絶対に釣り合わない。
目の前にいるキラキラと輝くように綺麗なオウカ様、シルヴィア様、フレアちゃん、そして、最近ぐんと可愛くなったビオラちゃんと私では比べる事すらおこがましいだろう。
だって、私は――
「過去の話は既に聞いているが……まぁ、真人なら気にしないだろう。というか、そのくらいクロエもわかっているんだろう?」
「にゃ、にゃあ……」
わかっている。きっと真人さんなら、私の事を受け止めてくれるんだろうって。けれど、私は真人さんに甘えてしまっていいのだろうか?これ以上、好きになって……。
「構わないと思います!ええ、どんと好きになっちゃいましょう!」
「……オウカ様、それでいいんです?」
心配になってジッとオウカ様を見つめてしまう。
「いいんですよ。だって、それだけまーくんが魅力的って事なんですから!……うん、他で恋人増えないように身内で固めた方がいいんじゃないって……お姉さまに言われてますので」
「何言ってるんです、アリステラ様!?」
思わず叫んでしまう私。だって仕方ないじゃない!きっとストッパーが効かなくなったらどこまででも好きになってしまうんだから。
「まずは明日のアタックからだな」
「ライガさんはまず自分からじゃない?」
「それはまた後日!」
目が泳いでいるライガさんを見て私は大きくため息をつく。
にゃあ、でもこの四人の中に私にライガさんは入り込めるのかなぁ……。うん、ロベリアちゃんは大丈夫そうかな!
今日も今日とて遅くなりました。ロスタイム……ロスタイムだよね?
違うんです?はい、申し訳ありませんでしt( ˘ω˘)スヤァ