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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第六章:消えたメイドと勇者な執事。脳細胞がトップギアだぜ!
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閑話

「――師よ、刻が参りました」


 ロウソクの火の揺らめくほの暗い堂の中、私は師に座して頭を下げる。


「かの者は師の弟子――予言に刻まれしもので違いありませぬ。各地にて、幾多の魔王、そして神々の降ろした勇者を倒し、滅し、その力はまごう事無き()()()()()と言えるでしょう。ですが、すでにかの者は聖なる剣を手にしております。いえ、それ以前に本来であれば人の国にて召喚されるはずが、大魔王城へ召喚が成され……大魔王の娘と婚姻を結んだとの知らせがありました」


 師の言葉は無く、私は話をさらに紡ぐ。


「そして、かの者は炎の大精霊ヴォルガイアドラゴンの娘、大精霊ウインディア、そして魔王と勇者の娘が成った水の精霊――いえ、アレはもう大精霊と言って過言は無いでしょう。彼女らとの契約をも結んでおります。こちらも……予言には記されてはおりませぬ」


 そう、()()()()()()()


 かの勇者は、人の国に召喚されたのちに魔王達を単独にて滅ぼし、勇者教をも滅ぼし、大魔王城にて聖剣と契約し、怨敵を討ち果たし、最後にはその身を聖なる刃にて貫き――輪廻へと還る。……それが本来あるべき未来(シナリオ)


 だが、そうはならなかった。最初からすべてが違ったのだからそうなる筈もないのだろうが……。


「何者かが筋書きを書き換えた。そう考えると全てのつじつまがあいまする。それができるのは神の域――我らには手出しすることすらできませぬ」


 神々が手を出したのか、怨敵が手を出したかまでは我らに判断のつけようもない。そして、変える術もあるはずもない。

 だから、我らにできる事は我らのすべき役割を果たすのみ。


「――師より授かりし我が無限と、かの者の無限を合わせ、終局へと至りまする」


 微動たりともしない師に今一度、頭を下げて私はスクリと立ち上がる。


 この世界の終焉を止めることができるのは真なる勇者のみ。


――先代の勇者にはそれができなかった。


――先々代はその闇に喰われた。


 この国に古より伝わる予言にはその事すら刻まれていた。


 いたからこそ、()()()()()()()変えることができなかった。


――世界は終焉を迎える。世界の怨敵がその全てを喰らいつくし、新たなる世界へと旅立つ為に。


 だから、こそ我らはこの予言の筋書きを守らなければならない。たとえ――この身を捧げようとも。


 もう、動くことのない師を見上げ、私はぽつりと言葉を零す。


「師よ、どうか我らをお導きください」


 望む返答を得られるはずもなく、私は――師の眠る堂を後にしたのだった。

短めなので今回は少し早めに……。

そしてこれにて六章は完結となります。


ご覧いただきありがとうございましたOTL


いつも通り挿話をいくつか挟んだのち、七章へ入りま( ˘ω˘)スヤァ

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