表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第六章:消えたメイドと勇者な執事。脳細胞がトップギアだぜ!
343/554

35話:結婚式というものは幸せで幸せで幸せの絶頂の時にできたら幸せだよね?

 きらびやかな装飾を身にまとい、私はまーくんに抱き着きながら車の上から手を振ります。数か月前と違うのは隣に私だけでなく、フレアちゃんやシルヴィアさんにビオラちゃんもいるという事。

 そして、手を振る皆の顔がみんな幸せに満ちていたのです。本当に嬉しそうに皆さんが私に向けて手を振ってくださいます。


「サクラちゃーん可愛いぞー!」「おめでとー!」「きれー!」「真人のバカやろーハーレムやろー!グスン」「フレアちゃんおめれとー!」「金髪!巨乳!びじぶらば!?」「まったくおめでたい時に何言ってるのさ!」


 なんだか聞きなれた声に目を見やるとこの前デートした時に知り合った皆さんや店員さんたちが私に手を振ってくださっていました。……えと、もしかして私が魔王だってバレていたんです?


「そりゃまあ隠していたわけじゃないし?俺の一番大事な人なんだとか話してたから。うん、みんな気付いていただろうね」


 うんうんとまーくんはなんだか嬉しそうに頷いています。

 ええ、あのう、私って割といろんな人に恐れられたからこそあの塔にいて、今回も塔が壊れたからこっちに来ざるをえなかったって状況なんですが……。


「うん、だけどみんなサクラちゃんの人となりも知ってるし。今更になって怖がれって言われてもねぇ。そもそも怖がられる原因になった魔眼はその眼鏡で封印されてるし?制御ももう大体できてるし、正直みんなにとってだからどうなの?って感じなんだよね。というか、それ以上の恐怖を実体験してきたみんなだし。うん、その程度の事じゃ何ともないんだなぁこれが」


 そう、ここの――アークルの皆さんは私が大魔王城から離れられないことをいいことに、魔王バアルによって好き放題に蹂躙されていたのです。彼なりに勇者との戦いに備えるためだったのだと話は聞きましたが、それはそれ。民を苦しめて良い理由にはなりません。


「まったく、ボク達がいることを忘れ無いかな?」

「己の事を忘れてるぞー」


 ヤレヤレ顔で二度目のウェディングドレス姿のシルヴィアさんがため息をつき、ミニスカウェディングドレス姿で俺に肩車されてるフレアが俺の頭にギュウと強くしがみついています。ビオラちゃんはまーくんのすそをそっと慎ましくつかんでいてやっぱり可愛いです!だ、抱きしめてはダメですか?


「だ、駄目ではありませんけれど……ふぁ!?」

「えへへー」


 ぎゅっと、やっと友達になれたビオラちゃんにぎゅっと抱き着きます。というよりも、これからは家族なんですから遠慮話ですよね!……遠慮しなくても……。


「オウカ、めがこわいぞ?」

「はっ!?ち、違いますからね!変な意味で考えて無くって、ほら、その、ビオラちゃんって妹みたいでかわいいですし!」


 あわあわあと答えてしまいましたけれど、本当に変な意味じゃないですからね!こう、可愛がりたいというか、なでなでしたいというか……。もふ……なで……。


「私は嫌ではないからいいんです。その、えと、サクラさん……」


 もふもふと撫でられながらビオラちゃんが私をそっと見上げます。


「こんなことになって、本当に……その、申し訳ありませんでした」

「うん……うん?何のことです?」


 何のことかわからずに私は小首をかしげます。だって、ビオラちゃんが謝ることなんて何も思いつかないのですから。


「私も真人さんの……お嫁さんになってしまったことです。本当なら私なんて、なる資格すら……」


 そう言ってチラリと目をシルヴィアさんにフレアちゃんを見られます。なるほど、シルヴィアさんも私も魔王ですし、フレアちゃんもいずれ魔王となると言われています。ビオラちゃんはそのことを気にしているのでしょう。


「もう、それは気にしちゃダメです。私もビオラちゃんも、シルヴィアさんもフレアちゃんもみーんなビまーくんのお嫁さんなんですから。資格すらないなんてことはありません」

「そうそう、真人だしね」

「そーそー」

「うん、みんなちょっといいかな?俺の評価低い、低くない……?」


 低いという訳ではなくて、信頼感があるというのが正しいですね。まーくんなら大丈夫っていう安心感がありますから!


「……まだ嫁が増えそうだっていう安心感もあるがな」

「いやいやどんな安心感だよ!増えないよ!きっと増えないから!」

「気づいたら嫁がいる?」

「なるほど……」


 確かにそんなことになりかねません。ううん、だってまーくんってとっても魅力的なんですもの!皆さんもそう思いますよねー!と、拡声器を使ってみます。うん、みんな頷いていますね!間違いありません!


「なんでそこでみんなに同意を求めちゃうかな!みんなも頷かないで欲しいんだけれど!?」


 がっくりと肩を落として、なんだかトホホという顔をしています。だけど、それだけまーくんが魅力的な人だってみんなが知ってるってことですからね!


「そうかなぁ。うん、ちなみにみんなのおもう俺の魅力って?」

「強いところ……かな?」

「料理が美味い!」

「優しいところ……ですね」

「全部です!」

「うう、みんな嬉しい事言ってくれるなぁ!でもフレアは後で少しお話ししようね!それじゃあご飯しか魅力がないように聞こえちゃうから!」


 そうは言いつつ、みんなまーくんの全部が好きなんです。フレアちゃんもご飯だけだったらまーくんの所に撫でられに行ったりしていませんし……。うん、私もナデナデして欲しいなぁ……。よし、こんどまーくんに思い切り甘えてしまうとしましょう。


 車を降り、整備された階段を上がりってくるりと民衆を見渡します。きっかけはあの塔が壊されてしまったからかもしれない。けれど、けれど私はここにいるみんなを幸せにしたい。


「――皆様、私は魔王オウカこのアークルの魔王です。こうしてきちんとご挨拶をするのはこれが初めてで少しだけ……緊張しています」


 手にあるのは魔導マイク。魔導カメラが私の顔を捕らえ、領内に私たちの姿が伝えられています。


「これから、いかなる苦難も、喜びも皆さんと一緒に過ごしていきたい。私も、まーくんも姫騎士の皆さんも、お城の兵士さんたち、文官さんたちも頑張っていきます。けれど、私たちだけではこれ以上の発展はできません。だから、みんなで手を取り合っていきましょう。ええ、これまで以上にです!また、まーくんと美味しいケーキ食べたり、小物を買いに行ったり、村の名産品を見に食べに皆さんのところへお邪魔します。力を合わせて、もっともっと楽しくて明るいアークルにしていきましょう!」


 わぁ、と歓声が上がり私の名前を皆が叫びます。うう、ちょっと恥ずかしいです。


「そして、今日この日から私とフレアちゃんにビオラちゃん。そしてシルヴェスのシルヴィアさんもまーくんのお嫁さんになります」


 今度はまーくんへの歓声が上がっています。うん、けれど、もげろってどういう意味なんでしょう?悪口はいけませんよー!


「いいんだ、サクラちゃん。これは男として受けるべき責務だからね!へへん、俺こんなに可愛いお嫁さん貰ったぜ!ぜーったい幸せにするからなー!」

「幸せにしないと許さんぞー!」「この幸せ者がー!」「あれ、いつの間にかかわいい子がまた一人……!?」「メイドさんだよな、あれ……」「「「この野郎!もげろおおおお!!!」」」


 はっはっは、男たちの悲鳴が心地いいぜ、とかまーくんが言っています。まーくんが何だかお父様みたいです。どこかで悪い影響を受けてしまっているのでしょうか……?


「いつも通りだから気にしたら負けだな」


 シルヴィアさんがやれやれと首を振っています。


「それだけ街の皆さんと真人さんが仲がいいってことですからね」


 なんだか苦笑い気味ですけれど、ビオラちゃんはなんだか嬉しそうです。


「おなかすいた……」


 うん、フレアちゃんはもう少し待ってくださいね!パーティで美味しいもの沢山出るって聞いてますから!


 私とまーくんとシルヴィアさん、ビオラちゃん、フレアちゃんとで手をつないでみんなで頭を下げます。指輪をみんなでつけて、私たちはようやっと夫婦になりました。


 もちろんキスまできちんとして。ひっそりとやって来ていたお父様とお姉様が泣いているのを見て、やっと自分がまーくんと結婚したんだなって実感がわいてきたのはここだけの話。……え、初夜?それは、うん、もう少し先にしてもらえると嬉しいです。だ、だってまだこころのじゅんびができて……み、皆さんもですよね?ね!?

今日も今日とて、とってもとっても遅くなりましt( ˘ω˘)スヤァ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ