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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第六章:消えたメイドと勇者な執事。脳細胞がトップギアだぜ!
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34話:友人と話していて唐突に俺、結婚したぞ軽く言われたら目が点になっても仕方ないよね?

 さて現実的な問題を話そう。

 そう、サクラちゃんの住む場所がぶっ壊れちゃったんだけれど、どうしよう問題である。


「見事なぶっ壊れ具合……。うん、これは修復できるのかな?」

「できなくもないけれど面倒くさいとの事です。本当にお父様はずぼらというか、はぁ……」


 トンテンカンと青空の下、修復作業に追われる塔を見ながら隣のアリステラさんが大きく大きくため息をつく。

 あれから数日。見栄えが悪く危険だという事で塔は修復することに決まったのだけれど、サクラちゃんがまた塔に住むことは到底受け入れられないというのが大魔王城が出した答えだった。うん、大魔王のお城なのに、大魔王に決定権がないってどういう事かなとといつ見てみたけれど、そろそろひとり立ちか……と大魔王は黄昏るばかりだった。うん、本当に使えないな大魔王!


「そういうわけで、サクラの事はよろしくお願いいたします」

「うん、アリステラさん?色々と言いたいことはあるんだけれど、どうして俺はまた白いタキシードを着させられているのかな?ふふ、なんかおめでたい事あるのかなって?」

「おめでたい事なんて決まっているじゃないですか。なにせ婚約記念パーティですから」


 ……うん?誰と、誰との婚約披露宴なのかな?この前シルヴィアとの披露宴は済ませちゃったけど?


「それはもちろん、サクラと真人さんと……(みなさん)のです。そういうわけで貴方は晴れてサクラの夫となるわけです。おめでとうございます」

「待って、アタシ()聞いてない!」


 そう、まったくもって聞いていないんだけれど!そういう話ってもう少し先って事じゃなかったっけ!ほら、色々と功績がいるとか、サクラちゃんが魔王としてもっと成長してから、とか?うん、嫌というわけじゃなくって唐突過ぎてビックリなんだけれど!


「嫌でないなら問題はありませんね」


 にっこりとものすごくキラキラとした笑顔でアリステラさんがほほ笑む。余程、妹の婚約が嬉しいらしい。うん、嬉しいんだけど俺の準備がまだ整ってないんだけど!ほ、ほら、指輪とか……。


「ああ婚約指輪ですね。それなら問題ありません。指輪はお義母様の指輪とお父様の指輪を継ぐことになりますし」


 なるほど、それなら安心だなー。うん、俺ってお給料貯金してたところだったんだよね!ほら、お給料三ヶ月分の指輪が婚約指輪にいいっていうじゃない!え、ジュエリーショップの戦略?ふふ、知ってる♪

 だけど、気持ちが入った指輪をプレゼントしてプロポーズをしたかったのだけれど、うん。そこらへん汲んでもらったりは……。


「ありません。ええ、真人さんはこちらの想定を遥かに超えて功績を上げてくださいました。ヴァルカスの一件はさることながら、エスティリアと実質的シルヴェスの併合。そして何よりサクラの領、アークルの目覚ましい発展です。数か月前のバアルの統治下と比べれば一目瞭然。如何ほどに真人さんの領の経営手腕が見事であったかが見て取れます」

「うん、そのために俺ってば割と何回も死んだしね!って、いやいや高く評価してもらえるのは嬉しいんですけれど!うん、必要以上に頑張りすぎちゃった感じです?」

「いいえ、良くぞ頑張りすぎてくれたという事ですね。貴方が頑張れば頑張るほどにサクラも頑張ってくれるようになったんですから。ふふ、本当に貴方がサクラの婚約者になってくださってよかった」


 まさかそこまで俺の評価が高いことになっているだなんて……。うん、天狗の鼻は折られるものだから、褒められても言葉半分くらいに聞くようにとか師匠によく言われていたんだけれど、これってどや顔していい奴じゃないかな!ドヤ!……うん、何だか後ろの方からとてつもないジトを感じる。そうそう、そうそう、この感じぃ!


「久々に顔を見てみれば何ですかそのだらしない顔は。馬鹿ですか、死ぬんですか?」

「うん、久々にジトありがとうございます!」


 振り向くとロベリアちゃんのジトだった。流石のジト力!振り向かなくても分かったぜ!


「何なんですかジト力って!……はぁ、ビオラさんに大変なことが起きたと聞いて慌てて来てみれば……いったい何がどうしていつの間にか婚約披露宴というお話になったんです?」


 腰に手を当て、何だかあきれ顔でロベリアちゃんはため息をついている。うん、俺にも皆目見当はつかないけれど、うん、本当にいつの間になのかなアリステラさん?


「つい先ほど真人さんがお父様と遊ばれていた当たりで決定しておきました」


 おきました!という言葉に俺は目が点になる。どうやら今回の一件は大魔王が絡んでいるらしい。まさか俺を殺して時間を稼ぐとは……!うん、やることがずるくないかな!


「それでいつの間にか仕立て直されたこの白いタキシードに袖を通させられたわけだけど、今回の婚約ってサクラちゃんとだよね?」

「……ふふ♪」


 人と話すときはぁ!目を見るようにぃ!してくださぁい!とは言ってはみてもアリステラさんは笑いをこらえてプルプル震えてこっちを見てくれない。うん、この様子を見ただけでわかったよ!いるね、これは。間違いなくシルヴィアとフレアちゃんもいる!

 あれ、待って。俺のお給料三か月分って何かいなくなるのかな?三人分だから、さん……「いえ、四人分ですね」かける、うん、アリステラさん一人増えてないかな!


「……そのう……ごめんなさい」


 顔を真っ赤にして、プルプルと何だか震えた様子のビオラちゃんが何でかウエディング姿でそこにいた。可愛い!じゃなくて、え、何で?どういうことなの?


「ビオラさんも元とはいえ、魔王の姫君であった身。真人さんと婚約する意味も価値もありますから。それに……しておいた方が、安全でもありますし」

「……というと?」

「偶然に偶然が重なった結果とはいえ、魔王の娘が勇者になってしまったのですから。ええ、アークルのお城でメイドとして働くにしてももう少し立場が必要となります」

「うん、それで俺の奥さんになって立場を整えようというわけかー」


 そういう事ですとアリステラさんは満足げに頷く。でも、俺とビオラちゃんって精霊として盟約を結んでもらってるし、結婚までしなくっても……。


「……真人さんは私が奥さんになるのは……嫌、ですか?」


 うるうるとした澄んだ海のように蒼い瞳でビオラちゃんが俺を見つめる。くそう、可愛い……!こんなの、断れるわけじゃいじゃない!


「嫌じゃないよ。悪いのは勝手に決めた大魔王辺りという事にしておこう」


 式を挙げたらお義父さんとか呼ばないといけなくなるかもしれないけれど、呼ばずにこのまま呼び捨てにしてやるとしよう。それがせめてもの俺の意趣返しである。


「はい、その――末永くよろしくお願いいたします!私――真人さんの奥さんになれるだなんて夢みたいです。だって、出逢ったあの日からずっと貴方の事が好きだったんですもの」


 涙をぬぐい、ビオラちゃんがヒマワリのような笑顔を見せてくれる。


 深く息を吸い、覚悟を決める。


 ええい、嫁さんが四人に増えたくらいでなんだ!男は懐深くなければならんのだよ!うん、妹に知られたらグーで顔面を殴られそうだけれど!もう決めたからには引くわけにはいかない。


 それで、結婚式どこでやるのかな?え、アークル城?今から行くの?着替えるの、付いてからで良かったんじゃないのかな!


「はい、今から凱旋パレードです。そのままサクラはお引越しですね♪」

「そういうわけで準備が整いました。真人さん、どうぞこちらへ」


 にっこにこととてもいい笑顔なメイド姿のサテラさんがゴーレム車へと俺とビオラちゃんを案内する。中にはウエディング姿のサクラちゃんがスタンバイ済みだった。


「え、ええと、突然の事で私も驚いているんですけれど……どうでしょう?」

「世界一可愛いよ!」


 そう、ほかにお嫁さんが何人できてしまっても俺の答えは変わらない。うん、みんな可愛いし美人さんだよ?でも、一番はビオラちゃんなんだよ!


「お腹刺されないように気を付けてくださいね?刺されても死にませんが」

「ろ、ロベリアちゃん、怖い事言わないで欲しいな!」


 刺されない、よね?うん、刺されるのだけは勘弁して欲しいな!ビオラちゃんが何だか苦笑いしている。どうやら俺のお腹は今のところは平穏無事でいられそうであった。

今日も今日とて遅くなりm( ˘ω˘)スヤァ

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