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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第六章:消えたメイドと勇者な執事。脳細胞がトップギアだぜ!
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33話:質問をしたら質問で返されたときまた質問で返していいものかなってちょっと考えちゃうよね?

 漆黒の爆炎を風でいなして龍刀・鼓草を振るう。

 足を止めてはいけない。止めてしまえば即、死亡。うん、動いて動いてダッシュで逃げ回りながら刀を振り回さないと死ぬんだよ!


 無限流/刃/奥義ノ弐/天之尾羽張


 全霊を込めて振るうは十閃は神速をも超える瞬撃!十全の閃光が目の前の敵を斬り断つ――ことができない!うん、何で普通についてくるかな!割と真面目に本気でやってるんだけど!うん、最初から?


「はっはっは!まだまだ足りんな!うむ、ちょっぴり冷や汗をかいたがな!ああ、まだまだだ!」

「冷や汗くらいかー!冷や汗は書かせたぞ、大魔王さんや!」


 笑いながら放つ大魔王の世の全てを焼き尽くと云う昏き炎を、避けて、躱して、巻き上げて、そのままその焔火を剣閃光に巻いて放つ。


 無限流/刃/奥義ノ参/加具土命


 それは再生をも阻む無限なる焔の一閃――!うん、普通にいなされたんだけど!


「無駄無駄!余の放った炎をそのまま返したところで効くわけがあるまいて!うむ、いや、連撃はやめい、やめよ!」

「君に!当たるまで!切るのを!やめない!」


 フレアから借りた力を鼓草に纏いて綴る、十なる焔――!


――無限流/刃/重ノ奥義/加具土命/天之尾羽張


 聖なる炎を纏いて切り裂く神速の十閃!これぞ!俺の覇王切り、的な?――あ、こいつ普通に後ろに飛んで逃げやがった!どんだけ当たりたくないんだよ!


「はっはっは!昔の故事にこんな言葉がある。そう、当たらなければどうという事は無いと!そして、くらえい!」

「それは――!」


 そう、大魔王の魔の高い天井に召喚の紋章が多量に広がり、そこから瞬撃の二十もの人形が俺に向けて高速で降り注ぐ――!あの人形ってもしかして自作なのかな!手間暇かかってるな!?あまりの出来の良さに思わず見上げちゃったんだよ!……あっ。


「これぞ!大魔王の一撃なり!」

「い、一撃じゃねぇ!……あべし!?」


 大魔王の放った神速をも軽々と超えた魔王キック(ライダーキック)により、俺は今日も又塵となって死んだのだった。


 


「それで、結局どうなったのだ?」


 パリポリとおやつをいつもの如くお菓子を齧りながらゲームをしながら大魔王と駄弁る。くぬ、中々厄介なステージを作ってくださりやがって!


「ユウシャになったシレーネさんとAZ・M改めアザミちゃんはビオラちゃん預かりにさせてもらったよ。うん、色々と思う所はあるけれど、うちは本当に人材が足りないからね!猫の手でも欲しいから、二人には馬馬車の如く働いてもらおうかなって」


 奴隷紋を刻んでもらうぞーと言ったら逆に喜ばれたのが不可思議で怖いところだけどね!つまるところは借金奴隷。お金を返せば自由だよという奴隷さんだ。普通に働けば五年くらいで返せる計算。うん、そのくらいにはきっと、恐らく、二人が居なくても大丈夫なくらい人材が集まってくれていると思うしね!来てくれてるよね?


「いや、余に言われても困るのだがなぁ……」

「まぁ、それは兎も角としてビオラちゃんがお姫様だってことグリムは知っていたんだよね?うん、なんで言ってくれないかな!よし、クリア、クリアー!」

「言ってくれないかな!と言われてものぅ。余には真人がどこのどいつと仲がいいかまでは把握しておらんからな!」


 まぁ、そう言われてみればそうである。そもそもな話、このお城で働いている人たちは兵士たちを含めて超エリートの精鋭たち。うん、あのオーク兵士なおっちゃんたちもエリートさんなんだよ!


「城に入って来てる者たちは大体、魔王の次男三男、或いは実力で成り上がって来たもの達ばかりだ。うむ、メイド達でさえもいいところのお嬢さんが割といたりするからの。割と嫁入り稽古として来ていたり」

「嫁入り稽古!」


 掃除洗濯料理に裁縫……。礼儀作法はもちろんの事、文字の読み書きまで学ぶことができる。更にはここは大魔王城。時に舞踏会が開かれれば客品として各地の魔王がやって来る。コネクションを作るのに、これ以上に適した場所は無いだろう。


「でもまぁ、割とザル警備でスパイが紛れ込んでいたんだけどね?」

「それは、まぁうむ、今回はあ奴らが一枚上手だったという事だな」


 大魔王さんや、顔を背けないで欲しいかな?次はグリムが俺のステージを攻略する番だからね!


「……それで、一番気になることがあるんだけど」

「言わんぞ」


 うん、まだ何も聞いていないんだけどな!カチカチと、視線をゲームから外すことなく大魔王はそれ以上は言うつもりはないとばかりに黙り込んでしまった。


「まぁ、聞くんだけどね?ねーおじちゃん、何で大魔王城に聖剣があるの?サクラちゃんのお母さんが勇者で持っていたとしてもおかしくないかな?」


 そう、あの剣は聖剣。つまるところは魔を討つ剣なのだ。で、ある筈なのにその剣はここにある。魔王の頂点に君臨する大魔王のその城に、だ。


「ゲームなんかでラスボスのダンジョンに最強の武器が落ちてるから、とかそんな理由じゃあないとは思うんだけど。うん、なんかきちんとした理由があるんじゃないのかなって?」


 そうでなければおかしい。ジ・アンサーには意思がある。ある筈なのにここを去らない理由が見当たらないのだ。


「……つまり何が言いたい」

「ここには、ジ・アンサーがあるべき理由があるんじゃないかなって。可能性としては、地底湖にあった鳥居の先、次元の裂け目があるからか、或いは――」


 或いは、あの地下迷宮()()()()。その奥にある何かが原因である、とか……?


「んー、まぁそのうちわかるんじゃあないかの。ああ!おい、これは卑怯だぞ!不意打ちは駄目だろう!どう考えても躱せないじゃあないか!」

「はっはっは、こっちのルートに行くこと自体が罠なのだよ、大魔王君!で、そのうちって?」


 横目でグリムの顔を見ると、思い切り顔をそらされてしまった。どうやら本当に話す気は無いらしい。


「そんなに気になるのなら、あいつ(聖剣)に直接聞けば良いではないか」

「聞いたに決まってるじゃない。けど、うん、同じくだんまりでね。つまるところは、教えてくれグリム、なぜ聖剣はここにある?ジ・アンサーは何も答えてくれない、的な?」

「いや、教えんぞ」


 まぁ、そう言われることは想定内。というか、そう言ってもらった方が分かりやすい。


 つまり、聖剣はここ(大魔王城)に無くてはならない。だからこそ、ここに常にあるのだ。


 俺が聖剣を喚んだあと、必ずここに戻る理由はそこにある。

 だけど、そのうちわかるって……うん、それなら早く教えてもらっておいた方がいい奴なんじゃないかな!色々とフラグに思えてならないんだけど!

 再度問いかけてみたけれど、梨の礫の暖簾に腕押し。糠に釘まで撃たれてしまって、俺の疑問はグリムに軽く流されてしまったのであった。

少しだけ遅くなりm( ˘ω˘)スヤァ

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