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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第六章:消えたメイドと勇者な執事。脳細胞がトップギアだぜ!
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22話:いつまでも若いつもりでいるとふとした拍子にケガをしそうで怖いよね?

 ノックを鳴らし、返答を待ってエルゥシーちゃんと一緒に中へと入る。

 ペンの動きを止め、眼鏡をかけたメイド長――ダリアさんがにこりとこちらを見てほほ笑む。


「こんにちは、何だかこうして訪ねて来てくださるのは久しぶりですね、真人さん」

「ご無沙汰しております、メイド長」


 そういって俺は深々と頭を下げる。何と言っても俺がこっちに転移というか転生的なアレをしてからお世話になりっぱなしの人だ。こうして頭を下げるのは当然と言うか、体が覚えてしまっているのだから仕方ないのだ。


「あら、立場的にはもう真人さんが上になってしまわれたと記憶していますけれど」

「い、いえいえ、そんな……」


 ふふふ、となんだかダリアさんはにっこりと意地悪そうな笑みを浮かべている。本当に可愛い人だなぁ……。


 うん、こうしてみると本当にいつものダリアさんと変わりがない。ただ、前まで持っていなかった指輪やネックレスがすこし目立っているだけで、どこにも変わった様子が無い。アクセサリーについている宝石が作用しているのなら、もう少し変化があるのだと思うのだけれど、それも感じられない。まぁ、感知系は苦手だしあってるかは不安だけどね!


「それで、こんなところにまでどうしたのですか?確か行方不明になられたビオラさん探されていたとお聞きしましたが……?」


 ダリアさんがペンを口に当ててこちらをジッと見つめる。その目には何の揺らぎもない。


「ええ、大体の当たりをつけることができましたので、メイド長のダリアさんにご報告をと思いまして」

「そういう事でしたか。それで、ビオラさんは見つかったのですか?」

「いえ、まだ。ただ……ビオラちゃんがどこに行ったかの検討をつけることができたんです」

「と、いうと……?」


 ううん、切れ長の美人な人に見つめられると何だか照れるというかドキドキしちゃうなぁ……。うん、エルゥシーちゃん?そっと俺の足踏まないで欲しいな!にやけてないよ!?


「ビオラちゃんの落とし物が見つかったんです。ええ、裏庭の当たりでなのでそのあたりを現在重点的に調べているところでして」

「そう、どこか穴にでも落ちていなければいいのだけれど……」


 そういってダリアさんの顔が陰る。……穴、ね。


「ダリアさん。何かご存じなんですか?」


 俺の問いにダリアさんふぅ、息を吐いてかけていた眼鏡を外し、こめかみを抑える。


「……最近、夢を見るんです。何だか暗い場所にダリアさんが、その落ちていく夢。場所も定かじゃないんだけれど、もしかすると本当にどこかに……足を踏み外してしまったんじゃないかって」


 ダリアさんの表情は暗い。それはそうだろう。自分の部下であるビオラちゃんが行方不明になっていて、その行く末を夢で見てしまったのだ。それが正夢のように見えてならず、胸を痛めていない方がおかしい。


「私は運命視なんてできないはずなんです。けど……けれど、どうしてもその夢が嘘には思えないんです」


 うん、その通りなんだから嘘じゃないね!とは口が裂けても今は言えない。うん、だってそのことを知っているのって、俺とナナちゃんを除くとビオラちゃんと犯人だけなんだから。

 実のところ、姫騎士の皆には、()()()()()だなんて話はしていなかったりする。地下の大迷宮で死にかけてるところを見つけた、と言う事くらいしか言ってない。

 ナナちゃんはダリアさんと朝礼で逢ったくらいで、あいさつくらいしか交わしていないことを鑑みるに、今この情報が誰かに漏れているとは考えづらい。


「……そういえば、ダリアさんはあの晩は?」

「お風呂に入った後はすぐに寝ましたね。最近何だか疲れやすくって、早く寝てしまうんですよね……。いえ、年齢は恐らく、多分、関係ないんですよ?私もまだまだ若い……若いんですから!」

「うん、ダリアさん?そこは誰も何も言ってませんから!」


 どう見ても二十台にしか見えないけれど、実年齢は俺の年齢を二乗したくらいはあるらしい。うん、ルナエルフって長命種だから長生きさんなんだよね!それでいて、衰えがほとんどないのだとか。なんて羨ましい……。うん、そういえばユウシャも変わんないか!


「それでは、俺はまた調査に戻ります。ダリアさん、お邪魔して申し訳ありませんでした」

「いえ、こちらこそ調査をお願いしてしまい、申し訳ありません。ビオラさんの事……。よろしくお願いいたします」




 メイド長室を出て、俺は深い深いため息をつく。


「どうだった?というか、答えはうん、わかっているけど」

『真人様の想像通り。だけど、メイド長、魂、沢山あった。こう、お腹の当たりに?』


 手をつないだまま、エルゥシーちゃんは表情を変えずにうんうんと頷く。

 最悪の想定が当たっていた。うん、沢山と言われて割と困惑気味だけど!え、どゆことかな?


『……たぶん、宝石。ビオラちゃんのもってた宝石と同じ感じがしたから』


 つまりダリアさんのお腹の中にいるユウシャらしき奴は、勇者を封印したという石を大量に持っているのだという。なるほど、そりゃあ宝石商の匂いが消えないわけだよ!


 あとはその誰かさんをダリアさんから追い出すしかないのだけれど、うんどうしたモノかな!ちょっと悩ましいよこれ!

いつも通り遅くなりま( ˘ω˘)スヤァ

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