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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第六章:消えたメイドと勇者な執事。脳細胞がトップギアだぜ!
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18話:便利なものに頼りきりだとダメ人間なっちゃいそうと思っている間にダメ人間になってるよね?

 本当ならナナちゃん辺りと和気あいあいと捜索活動をするつもりだったのだけれど、上司のお叱りにはどうにも逆らう事ができない。うん、社会人ってとっても大変なんだよ……。


 仕方ないから分身に分身を重ねていろんな人にまた話を聞いて回る。もちろん、シレーネさんにダリアさんの事を聞いていることがわからない程度にそっと聞いている。聞いていることがバレても後々面倒そうだしね!


 それと同時にもう一つ。ライガーの話にあった先日やって来たと言う宝石商に関する情報を探しているのだけれど、どうにもこいつは怪しい。

 普通の行商の宝石売りはここの城以外に、城下にいる大手の商人にも顔建てしに来るのが常道なのだけれど、立ち寄った形跡がまったく、これっぽっちもないのだ。うん、大手のところに顔を出しておかないと、次に来た時に何言われるか分かったものじゃないからね!


 分身の俺たちはいくつかの関所まで走って行って、その行商の手形の写しを探す。関所を通る行商人は身分の証明のために手形を使い、自分の身分証明とする。だから、それを見つけられたらどこから来た商人なのかも判別がつくわけだ。


「うん、これ使ったの本人じゃないね!」


 北の関所。そこで見つけた件の行商人の手形に残された手形に書かれた商人の名の筆跡と、関所で書かれた通行証のサインの筆跡が一目でわかるレベルで一致しない。うん、どう見ても違うよね!何で誰も気づかないのかな!


「いや、だってサインまで普通確認しないしな?

「そうそう、手形さえ合えば良いってほら、このマニュアルに書いてあるし」


 それが関所の兵士たちの弁であった。く、マニュアル社会の危険性が何で異世界にまで……。うん、マニュアルが悪いわけじゃないんだけどね!駄目だこりゃ!


 つまるところ、どこかで手形を手に入れたかもわからない人物が領内に入っていたわけだ。もうすでに数日がっ経っているのだから、とっくに領を出ているはず、なのだけれど出た形跡が関所に無い。無いのだけど、どこにもその宝石商が見当たらない。



「そういうわけで、足で何ともならなそうだから相談しに来たんだけど!」

「いえ、そういう事なら最初から来ていただければ良かったとおもうのですが」


 ため息交じりにグルンガストな鎧の隣でパソコンをカタカタしているサテラさんが大きなため息をついた。ここは大魔王城の警備室。そう、地道にやっても駄目だったから文明の利器に頼ることにしたのだ。いやぁ、文明の発達ってすごいよね!


「お話にありました宝石商なのですが、城から立ち寄ったあと城下の宿に入って出てきていませんでした。兵を向かわせましたがもぬけの殻でして、宿屋の主曰く、荷物を残して忽然と消えたのだとか」


 人がこの世界で唐突に消え去るにはいくつか方法がある。

 一つはテレポート。移送魔法を使って移動する手段であるが、かなりの高難易度であり、一介の魔術師や行商人が使えるはずもない。もう一つは異世界に飛ばされるなんて、非現実的なこと。うん、俺自身がその非現実な目にあっているのだけれど、これも違うだろう。そして最後の一つ。つまるところ、その宝石商はユウシャであり、デスルーラを使って宿から、強いてはこの領から脱出したというのが一番現実的だろう。


「デスルーラが一般的に使われてるとは聞いていたけれど、潜入されて使われるとたまったもんじゃないね。死なれたら逃げられるとか……」

「はい、情報だけでなく死ぬ前に得ていた物品も持ち去られてしまいますから」


 泥棒目的で魔王達の城に忍び込み、死に戻りで逃げるユウシャは実のところ後を絶たないらしい。うん、本当に何やってるんだよユウシャ!


「あくまで彼らにとってはゲームの範疇なのでしょうね」


 私もそうでしたから、とサテラさんは少し寂しそうにモニターを見つめている。


「ともかく、宝石商の奴の残したものはどんな感じなのかな?」

「ええ、それが……」


 映像に映し出されたのは宝石……にも満たないガラクタばかり。色付きの石もあるみたいだけど、ビー玉レベルじゃないのこれ!


「残されているのはすべてイミテーションですね。アクセサリーとしてはそこそこの出来のようですが、宝石としては、全く……」


 なのに、ダリアさんはその宝石を買っている。いや、本当に買ったのだろうか?


「サテラさん、宝石商とダリアさんが逢った日のデータはあるかい?」


 そのデータが残っていたならば話が早い。何かされていたのなら映像として残っているはずだしね!


「はい、ですがその日丁度、客間のカメラが故障していまして……それを知らなかったのか、新人の方と一緒にその部屋に――」

「待って、その新人さんってもしかして」


 その名前は想像に難く無く、まさしく予想通りの名前だった。


「はい、その方はアークルから新人研修でやってこられていたシレーネさんです」


 ですよね!と俺は頭を抱えた。つまり、ダリアさんは狙われるべくして狙われたのだ。何をどうされたかまではわからない。けれども、あの日、その瞬間にダリアさんは何者かにユウシャ側にされてしまった。催眠術や洗脳なんてものじゃない、恐らくは乗っ取りともいえる何かをされた。

 けれども、それを判別できる手段も証拠も無い。すべて状況証拠に過ぎないから、立証ができない。ううん、困ったな?


「それならば、魂が見えるものに彼女を見せてしまえばいいのではないでしょうか?そう、例えば……姫騎士の子に適任がいたかと」


 サテラさんの言葉にハタと、小さな少女が思い浮かぶ。

 そう、黒肌で黒い髪、薄い藍色の瞳をしたエルちゃんこと、エルゥシーちゃんその人であった。

はい、いつもどおり遅くなりました。

1000pt突破しました。これも皆さまのおかげです。

本当にありがとうございまs( ˘ω˘)スヤァ

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