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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第六章:消えたメイドと勇者な執事。脳細胞がトップギアだぜ!
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17話:探偵と言えばパイプにシャーロックハットけど珍しいものだから形から入るのも中々難しそうだよね?

 さわやかな朝。

 小鳥のさえずりが軽やかに響き渡り、一緒に轟音と爆風が城の裏手、訓練場を包み込む。


「ははは!流石だな、真人!前に戦った時よりさらに強くなっておる!」

「お褒めに預かり光栄だけど!マジで殺しに来ないで欲しいなって!うん、真面目に死ぬ、死ぬからね!?あーダメダメ、それも死ぬから!」


 久しぶりに朝の訓練に参加したら、いつの間にやら四天王のライオネル・グラディアスこと、ライおっちゃんと話の流れで模擬戦をすることになった。うん、何でか普通に武器使ってるし模擬戦じゃないと思うなぁ!


「何を言う!こちらはまだ五割ほどしか(本気を)出しておらんのに、模擬戦ではないと言うか!」

「五割でも普通の魔王より強いと思うんだけれども!」


 振りかぶられた大斧は純粋な腕力で大地を砕き、巻き上げた土塊ごと俺を空高くへと投げ飛ばす。


「これならば――」

「けれどもそれは残像なんだな?」

「――っ!?」


 ライおっさんは声の方へと拳を振るうが空を切る。うん、風で声を運んだだけなんだよ?

 実際に俺がいるのはそう、真正面である。模擬剣を正面に構え大きく息を吐く。


――無限流/刃/十束の剣


 十撃が一撃に見まごうほどの瞬撃。急所めがけて振り下ろす――が、そのすべてを大斧を放り投げられる事で防がれてしまった。いや、危ないな!?


「どの口が言うか!今の当たっていたら絶対に危なかったからな!?」


 瞬間、剛腕が風を切って俺の顔面に振り下ろされる。それを寸で躱して刃を振るうが、猫の如き柔軟さで躱されてしまった。うん、ネコ科だったね!


「良いぞ!もっとだ!もっと見せろ!吾輩に一撃でも食らわせることができたならば、吾輩の娘をんちゅ!?」


 不意にどこからともなく飛んできたベンチがライおっさんの側頭部に命中し、綺麗にくるんと回って吹き飛んでしまった。今のは痛いんじゃないかなぁ!


「変なことを言うんじゃあない!変なことを!」


 ふしゅるるると鼻息荒く、審判をしていたライガーが怒りの形相でライおっさんを睨んでいた。

 ライおっさんが娘をと言っていたところを鑑みるに、この前お見合いしたライガーの妹のライラックさんの事を何やら言いかけたのだろう。うん、ライガ―って意外とシスコンのなのかな?


「そうじゃない!って、はぁ……まぁいいや。とりあえず今の試合は真人の勝ちで」


 何だかやる気なさげにライガーが判定を下す。いやいや、それでいいのかな?


「良いんだよ。真面目な模擬戦中に変なこと言いだすんだから」

「ま、待て待て。ライガ、俺の方が押していただろう?ほら、傷も何もないしな!」


 そう言って、ライおっさんが審判に異議申し立てをしている。


「却下。異議は認めません。あと、真人にあれ以上の事を言えば嫌いになります」

「!!????」


 ライガーの目が座っている。これはガチで怒ってるやつだよ!


「はぁ、全く。すまんな真人。勝負にケチ付けちゃって」


 何だかどこか遠くを見て黄昏ているライおっさんを放置して、ライガーが頭を下げる。それは気にしなくてもいいんだけど、ライおっさんは大丈夫……なのかな?


「良いんだよ。これもいい薬だしね。娘の扱い方くらいもう少し学んでほしいものだよ、まったく」


 何だか知らないけれどライガーがいいお兄ちゃんをしている気がする。ううん、それにしてもよく似ているなぁ。こう、ライガーの髪をのばしてツインテにしたらライラックさんに見えなくも……ううん?


「そ、それでビオラは兎も角として、犯人は見つかったのか?」

「現在鋭意分身で捜索中。ナナちゃんにお手伝いを今日も頼もうと思ったら、駄目だって件のダリアさんに怒られちゃってね」


 だから悲しいかな、今日は一人で回るしかないのだ。うん、そろそろロベリアちゃんの突っ込み辺りが欲しいところなんだけどなぁ……。夏凛ちゃんや莉愛ちゃんでもいいのだけれど、今週いっぱいは今アークルにいる勇者たちのレベルアップ週間と題してエスティリアまで行って特訓中でいないのだ。


「そんなに寂しいなら精霊の誰かを呼べばいいじゃないか」

「そうしたいところなんだけど、ウエンディさんはあっちの領の立て直しで忙しいし、フレアは最近こっちに来てばかりだったからお勉強を重点的にやらないといけないらしくってね……」


 本当のところはナナちゃんを連れまわしたいところだったのだけれど、メイド長のダリアさん……(仮)にこれ以上は仕事に支障をきたすと言われて怒られてしまったのだ。

 もしかすると何かしら警戒しているのかもしれないし、それならば警戒してくれた方がこちらとしてはありがたいので喜んで引き下がったわけだ。


「なんで喜んで引き下がるんだよ……」

「警戒していると言うことは、警戒する理由があるってことだからね。だから、警戒してどう動くかを見るだけでも何かしら情報を得られるって魂胆なわけさ」


 つまるところ、警戒したと言う事実もまた、情報だ。

 俺とナナちゃんが一緒に動くと彼女にとっては不都合があると考えらえれるわけだしね!だからこそ、今回は俺から離れて泳いで(普通に働いて)もらっている。


「と、それは兎も角、ライガーに聞いておきたいことがあったんだ」

「藪から棒になんだい?」


 ため息交じりにベンチに座って、ライガーが飲み物を手渡してくれる。こういう細かい心遣いはありがたいものだ。


「まず、ダリアさんは普段と変わったにおいはしなかったかい?」

「んーそうだなぁ。前に来た宝石商のにおいがまだついてるのが気になるかな?」


 宝石商?と俺は首をひねる。話によると今から数日前、宝石の行商人が訪ねてきてその対応をダリアさんが行ったらしい。


「まぁでも、その時にダリアさんが宝石を買ったからその匂いなのかもしれないし、気のせいなのかも」


 うんうん、と自分に言い聞かせるようにライガーはうなずく。けれどもその話は気になる。というよりも使用人と言う立場で宝石なんかのアクセサリー類を購入して、それを仕事中も付けて回るだろうか?うん、あの先輩メイド三人組と違ってダリアさんはできるメイドさんだから、そんなに華美な装飾をしているとは考え辛い。


「あとは、そうだな。この前アークルにメイドとしてやって来たシレーネさんなんだけど……そうだな、死人の匂いはしなかったかな?」

「流石にその匂いだったらわかると思うが……うん、グールやらその類の匂いはしなかったかな。それがどうかしたのか?」


 ライガーは男のくせに無駄に可愛く首をかしげる。


「その子も多分勇者教側の人間だと思うんだけど、本人はどうやら死んでるっぽくて」

「ま、まま、待て!それ以上話すんじゃあない!」


 そういえば、ライガ―ってこういう系の話って苦手だったっけ?ううん、このままいじり倒したいけれど、時間があんまりないのでそれは今度のお楽しみと言う事にしておこう。

 ともあれ、シレーネさんは死人ではあるけれど、とてもフレッシュな状態なようだ。うん、掘り返されてたし、墓場から生き返ったって感じじゃあなさそうだ。


 ううん謎が謎を呼ぶんだけれど、どうすればいいんだこれ!

とってもとっても遅くなりま( ˘ω˘)スヤァ

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