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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第六章:消えたメイドと勇者な執事。脳細胞がトップギアだぜ!
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11話:初恋は甘酸っぱいものだというけれど思い出としては大体ほろ苦いよね?

 さてはて、ここからビオラちゃんを大魔王城に連れ戻すには肉体の魂の容量を増やさなければいけないわけだ。

 言葉にしてみればとても簡単なことなのだけれど、実のところとてもとても難しい。

 どのくらい難しいかと言うと近親者を掛け合わせて掛け合わせて数代かけてやるレベルなわけで、今からご先祖様に父母兄弟姉妹でどどんと結婚していってください!とは流石に言いに戻ることはできない。俺のご先祖様のように、目的をもって計画的にやっていかないと魂の容量なんてそうそう増やすことができないのだ。


 もちろん偶然生まれる事が無いわけではないけれど、そういう子は神子なんて呼ばれて生まれてから死ぬまでの間まともに暮らすことすら困難なのである。うん、だいたい変なのに取り憑かれるからね!


「解決方法としましては、精霊として誰かと契約をすることです。けれど、急を要しますのでこの場にいる誰か、という事になります。候補としましては、兄を除いて「何故に!?」私と、真人さんのどちらかといったところですね」


 うん、アコナイトさん?隅っこで膝を抱えてクリュメノスさんが落ち込んでるけれどいいのかな?うん、にっこり笑って首を横に振られてしまった。まぁ、俺的にもこの部屋の状況をみてクリュメノスさんにビオラちゃんを預けるのは心配だし……。うん、そっとしておこう!


「あのう、さらりと私が除外されたのだけど……」


 ナナちゃんがおずおずと手を上げる。仲間外れにされたのが寂しかったのかな?


「……貴女には色々と言いたいことがあるのだけれど、まぁいいでしょう。簡潔に言うと、容量が自分でめいっぱいの貴方が契約すると破裂しますよ?」

「破裂!?」


 アコナイトさんが言う事は実のところ間違いじゃあない。


 精霊契約というものは魂の一部を契約者に預ける事で成立している。


 俺とフレアやウエンディさんこと大聖霊ウィンディア様は盟約だから主従関係は無いのだけれど、同じく俺に魂の一部を預けてくれている。ウエンディさんはほぼ無理やりだったけれど!!

 そして、その預けられたものは俺の体の魂の器に入れられているのだけれど、これはコップに水をそそぐようなものではない。空気入れで風船を膨らませるように、あふれ出る場所のない密閉されたもの。生き物の魂はその大体が肉体の容量と変わらないもので、人もその例に漏れることは無い。だから、無理やりに契約したところで破裂して破綻するんだよね。


 ちなみに、ヴォルガイアを襲ったユウシャはそれこそチートの力で<使役>していたのだから、別枠もいいところなのはここだけの話。うん、ナナちゃんに言っても多分パンクしそうだしね!今の時点で首傾げてるし……。


「というか、そもそも雇われの人(外の人)にお任せできませんし?」

「その通りですね!」


 納得がいったのかポンと手槌を打って、うんうん頷いている。最初にそれ言えば良かったんじゃないかなぁ!


「それで、どうするのだ?そろそろ刻限も迫ってきているぞ?」


 膝を抱えたままのクリュメノスさんが、なんだか未だに黄昏ていた。そういえばここにメイドさんいないし、メイドさんがいて欲しかったのかな?


「兄さんに指摘されるのも癪ですが「ひどくないかな!?」、確かにそうですね。ビオラさん、いかがされますか?私でも問題ありませんが……」

『……それなら、その……ま、真人さんがいい……です』


 半透明なビオラちゃんが、なんだか照れくさそうにもじもじとしながら俺の方をちらりと見る。ふふ、可愛いなぁ!って、ん?俺でいいのかな!?


『そ、そう、そうしたら、大魔王城やアークルのお城で働けますし。い、いずれはオウカ様御付きのメイドになることが目標でしたから』


 えへへ、とビオラちゃんがはにかんでそう答えた。


「……早めに素直になった方が賢明ですからね?」

『な、なんのことでしょう!?』


 うん?ヒソヒソとアコナイトさんとビオラちゃんが話しているけれど、あんまりよく聞こえなかった。素直に……?何か隠し事でもあるのかな?ううん、何だか気になるなー。


「それは乙女の秘密と言う事で。っと、ビオラさんの肉体と魂のパスが細くなってきていますね。時間もありません。真人さん、契約をどうぞ」

「ど、どうぞと言われても、うーん……」


 そう言われても心の準備ができていない。うん、まさか気の置けない子と思っていたビオラちゃんを精霊として契約することになるだなんて、普通予測できないと思うんだ!


「契約は……しない」

『えっ!?』


 俺の言葉にサッとビオラちゃんの顔が青く染まる。そして女性陣がなんでだか殺気立っているんだけれど、最後まで人の話は聞いてほしいな!


「だ、だけど、盟約を結んでほしい。うん、主従関係は結ばずに魂の一部を俺に預けてもらう感じかな?」


 そうすることで、俺の霊力やら魔力やらを分けたりできるわけだ。うん、霊力はともかく魔力はそんなにないんだけどね!


『いいんですか?それって、真人さんに何のメリットも……』

「あるさ。君を助けられる」


 そう言って、そっとふわふわと浮かぶビオラちゃんの頬に手を伸ばす。


「君を助けられるなら、それ以上の事は無いさ」


 うう、自分で言ってて何だかクサいセリフだな!言ってて恥ずかしくなってきたぞぉ!


「言ってて照れるのなら最初から言わなけ、むぐっ!?」

「しっ。今いいところなのですから!」


 アコナイトさんがナナちゃんの口をふさいで、何だかキラキラとした目でこっちを見ている。そんなに見つめられたら余計に恥ずかしいのだけど!?


『……わかりました。真人さんに私の魂をお預けします。盟約を結ばせていただきますが、その……私の気持ちはもう、真人さんのモノ……ですから』

「へ?え?ん?そ、それって、どういう……」

「おい、さっさとしないと死ぬぞ?」


 クリュメノスさんがいいところで口を挟む。うん、タイミング悪い……うぉう!?なんでこんな急にビオラちゃんの魂のラインが短くなってるのかな!?め、盟約!早く結ばないと!?



「アコナイトさん、どうして急にラインが短く……?」

「きっと、あんなに嬉しい事を言われて精霊化が加速しちゃったのね。まぁ、うん、女の子としてはあんなセリフ好きな人に言われたら舞い上がっちゃうわよね」


 うぉん、何だかアコナイトさんとナナちゃんが話してるけど聞いてる暇がない!魔紋を!早く魔紋を書かないと!やばいな!?

とってもとってもとーっても遅くなりま( ˘ω˘)スヤァ

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