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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第六章:消えたメイドと勇者な執事。脳細胞がトップギアだぜ!
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1話:探し物って探しているときは見つからないけどふとした拍子に見つかるものだよね?

 山のように積まれた書類はまるで生き物だ。

 生命の新陳代謝の如く、仕事をこなしては新たな仕事が生まれいでてくる。永遠と続くようで、いつかは終わりが来る。そんなものなのだけれど、うん、どうにも終わりが見えないんだけれどどういう事なのかな!アンリミテッドお仕事ワークスってネタじゃないんだから、終わらせて欲しいなって!


「そんなこと言ってお仕事増やしたのは真人さんじゃないですか!あれほど貿易相手を増やすのなら外務部署を作ってからにしましょうと言っていたのに、またいつの間にか増やして来て!」


 カリカリガリガリと目の前で書類をサテラさんから卸してもらったPCに打ち込みながら怜君が涙目で叫ぶ。

 うん、そんなこと言ったって仕方ないじゃないか!まさかシルヴィアと婚約発表したらここと貿易した言ってところがわんさかといたんだし?うん、各部屋に設置してあった魔導冷蔵庫がかなり好評だったみたいなんだよね!まぁ、アレがあれば生鮮品の持ちが全然違うから諸々の利益に繋がるからねー。うん、一緒に魔導ゴーレム車とか販売したらバカ売れでサテラさんも新しい工場を建てるんだって張り切ってたね!


「うう、領内の道路もまだ整備できてないって言うのに、ゴーレムによる道路工事まで請け負ってくるんだもの……」

「採算が合うから仕方ないね!」

「採算は!あうけれど!ゴーレムが足りないでしょう!いや、足りるけれども、ぎりぎり過ぎです!」


 頬を膨らませてモリモリと書類をこなしていく怜君。ううん、俺もタイピングさえできればもっと早いんだろうけどなー!うん、キーボード見ながらポチポチ押すくらいしかできないから、筆記で書いた方が数倍速いんだよね!


「そう言いつつも僕の数段早く書類を片付けているんですけれどね!いい加減覚えてください!」

「そんなこと言ったって仕方ないじゃあないか」


 ぶーと唇を尖らせて書類を書き殴りながら窓の外を眺める。宵闇は白み始め、鳥のさえずりとともに夜明けを迎える。あ、うん、朝だな!なんだかそろそろ死にそうなんだけれど!


「死ぬのなら!あと二山終わらせてからにしてください!そこらへんは納期が今日明日中なんですから!」

「ひどくないかな!?」


 とはいえ、まだそんなことを言える余裕があるわけだから、死にはしないだろう。ふふ、死にかけると何だかよく分からない言語を発しながら真っ白になって行くんだよ。我ながら怖いな!


「た、たた、大変です!大変なんです!」

「どうしたんだいパティさん。あさっぱらからそんなに激しく扉を開いちゃったら壊れるからね!」

「あ、すみません……じゃなくて、大変なんです!い、今連絡があって!ビオラちゃんが、ビオラちゃんが行方不明になったそうなんです!もう、三日も……」

「……え?」


 それはあまりにも唐突で。


「ご実家にも連絡は行ってなくて」


 パティさんの言葉が頭に残らないほどに。


「もしかしたら、こっちに来ていないかと……」

 

 衝撃的な内容であった。





 大魔王城。そこでは日夜、多くの人が出入りが激しく、いつ何時に誰それが入った、なんて事は中々に判別しづらくなっている。お役所みたいな場所だから仕方ないんだけれどね!


「大魔王城には監視カメラは設置しておりますが、場内の設置はまばらで位置さえ把握していれば避けていくことは可能となっております」


 城に来ていたサテラさんに頭を下げてビオラちゃんの足取りを探ってもらう。

 確かに三日前、彼女が深夜に自室を出た後から行方が分からなくなっていた。


 あれから怜君に頭を下げ、特急に乗り込んで大魔王城に来たのだけれど、手がかりはこの最後の映像だけ。そこからの足取りはわからないとのことだった。


「鼻の良い子に探してもらったのですが、どうにもその日は雨が降っていて……」


 大魔王城の警備室。沢山のモニターにはその日、その時間の各所の映像が映し出されている。確かにこれではカメラでも匂いでも探すことはできないだろう。


「でも、どうしてビオラちゃんはあんな時間に外になんて……」

「それもわかりません。荷物を何も持たずに出たところを見るに城から出るつもりで外出したわけではないようですが……」


 移る映像の彼女の手には財布すら持たれていない。つまりはすぐに部屋に戻るつもりだったのだろう。うん、本当に何で外に出たのかさっぱりわからないんだよ!


「……こちらとしましてはあの子には頑張ってもらっていましたし、探してあげたいところなのですが、形式上家出人ということになりますので……」


 サテラさんは申し訳なさそうに顔を横に振る。つまるところ現状、ビオラちゃんを探している人は誰もいない。ううん、姫騎士のライガ達がお休みを使って探してくれて入るけれど、それでも限界がある。何せ城から出てしまっているのだ。正直言って範囲が広すぎて見つけようもないのだ。


「木札を使って物量で……ううん、まずは現場百篇、そして聞き込みからしていくしかないかな」

「申し訳ありません、真人様。もう少し早く気づけていたなら……」


 サテラさんは深々と頭を下げる。

 これに関してはどうしようも無かった。ビオラちゃんが行方不明になったのは、彼女がお休みの日の前日の夜。つまるところ、ビオラちゃんがいなくなったことに誰しもが気づけることが出来なかった。


「気にしないで、サテラさん。絶対にビオラちゃんを探し出して見せるから」


 そう言って軽くサテラさんの手を優しく握ってあげる。


 これは約束だ。


 男が一度約束をしたのなら、どんな形であれやり遂げる必要がある。うん、だってその方が格好いいからね!

 けれども、やはり彼女が城を出た理由が分からない。ううん、まずはそこからかな!

 俺ってば諜報は得意なんだよね!でも、相棒が欲しいなー。ちょうどいい相棒(フィリップ)さんいないかな!

とってもとってもおそくなりまし( ˘ω˘)スヤァ

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