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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:ペタン娘エルフメイドと伝説の黒包丁~伝説は伝説に~
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挿話:ペタン娘エルフメイドと伝説の黒包丁~伝説は伝説に~ 5

 客室を回りチェックアウトを済まされたお客様の部屋を綺麗に片づけて使われたシーツを取り換え、次のお客様が入られても問題ないように整えていきます。

 やり方だけを真人さんの分身さんに教わって、あとは自分の力でせっせとお仕事をこなします。

 けれどもこういうお仕事はまだ私は苦手でどうにもきっちりと行きません。ううん、この畳方であっているのでしょうか?


「ん~ここは三つ折りにした方がいいよ~。二つ折りだとかさばっちゃうからね~」

「なるほど……」


 意外なことに、普段はのんびりとしているコーリーさんがてきぱきとお仕事をこなしていきます。むむむ、丁寧かつ迅速な……でもいったいどうしてここまでできるんです?


「んふふ~♪私の実家って~大家族だったからね~。弟たちのお世話って~私がいつもしてたの~」


 なるほどそれで、と納得して手槌をうちます。私はと言えば趣味でお菓子を作ったり紅茶を淹れたり、お庭を弄ったり、お茶畑のお手伝いに行ったりもしていましたけれどもお家ではメイドさんたちが家の事をやってくれたりしていて、こういう事は実のところ私はあんまりしていなかったのです。

 うう、こういう事でしたら何でもメイドさんたちにお任せせずに自分でする癖をつけておけばよかったです。いえ、基礎はちゃんとお母様に教わっているのです。これから積み重ねて効率化していけばいいだけ、卑下してはいけませんね!


「そうそう、できるできないは人それぞれだからね~。私にはクレアちゃんみたいに~甘くて~ほっぺたが落ちそうなくらい美味し~いケーキもクッキーも作れないしね~。ああ、よだれが……あの苺のタルト美味しかったなぁ~」


 うへへ、と以前作ったお菓子を思い出してコーリーさんは何だか幸せそうな顔をしています。確かにあれは好評でした。次は真人さんに教わった紅茶のパウンドケーキも試してみないといけませんね。


「ケーキ!ああ、いいなぁ~た~べ~た~い!」

「ふふ、このお仕事が終わってからですね。真人様もお招きして、フレア様のお屋敷でお茶会をしたいですねー」

「ふむん?やっぱり真人さんとがいいの?」

「それは――」


 と、答えかけてはたと気づきます。しまった、思わずしゃべり過ぎました!


「ふむふむ、やっぱりね~。クレアちゃん、真人さんのこと~好きなんだ♪」

「ふぐぅ!?」


 ド直球ストレートな言葉に思わず言葉を詰まらせると、いよいよコーリーさんの目がギラりと輝きました。ちがう、違うんです!そうじゃあないんです!


「ふふふ~。主の旦那様に恋をしちゃうだなんてね~♪」


 ダメです。まったく話を聞いていません!どどど、どうしましょうこういう時はき、エルフの秘術、忘却魔法を……。


「でも~。フレア様は気にしないと思うわよ~?」

「ふえ?」


 思いもよらない言葉に私は固まってしまいます。だけど、真人様にはすでにシルヴィア様にオウカ様もいらっしゃいますし……。


「そう!そうなの!だけど、こ~いう言葉があるの」


――英雄色を好む。


 それは英雄は誰しも美しい女性を侍らせていたという故事から来ているという言葉。


「真人さんは~勇者だけど~私は~英雄だと思うの~。んふふ♪だって彼、あんなにスゴイことをしたのになんてことない顔でオウカ様の執事を続けているのよ~?普通、あそこまですごい人なら~王座でふんぞり返ってお仕事ぜーんぶ、部下に投げちゃうと思うの」


 けれども真人さんはそんな事をしていません。むしろ部下に休めと言われるほどにお仕事を山のようにこなし、そして力尽きているのだそうです。うん、力尽きる前に休めばいいと思うのですけれど……。


「ふふふ、真人様のセーブポイントは大魔王城。つまりはオウカ様のいるところなの」

「はっ!つまり、仕事をこなせるだけこなして、オウカ様に逢いに……」


 普通に抜け出してしまえば部下に示しがつかないという事なのでしょうか?けれども何て愛に溢れているのでしょう……!


「……あれ、色を好んでいるとして、私とか付け入る隙間ってあるのでしょうか?」

「無くても作るの~。色仕掛けってね、只脱げばいいって訳じゃあないの。その人に必要とされる女にならないとただの都合のいい女になっちゃうから。ふふ~私は上手くできなかったんだけどね~」


 てへ、と舌をペロリと出してコーリーさんは可愛らしくはにかみました。


 真人様が助けられなければコーリーさんは奴隷として売り出される所だったのだそうです。好き放題にされるだけされて、もう飽きたからという理由で……。


「まぁ、私なんかよりもクレアちゃんの方がひどい目にあっていたのだけれどね~。ふふ、あの姿から救われて、追い打ちであんなに格好いい姿見せられちゃったら、ふふ~好きになっても仕方ないわよね~」


 そう、仕方ない。仕方ないんです。あの時の空を翔ける真人様は今まで読み漁ったどの英雄譚よりも格好良かったのですから!……あれ、でもその理屈だとコーリーさんも……?


「どうでしょうね~?」

「あ、それはずるいですよ!私だけ言ったようなものじゃあないですか!」


 きゃいきゃいと話しながらフロントに向かうと、何だか強面のお兄さんが姫騎士のマネッチアさんを取り囲んでいました。な、何事です!?


「おう、この野郎!ここの旅館の看板をいただきに来たぞ!」


 魔族と思わしき巨躯の男が小柄なマネッチアさんにぐぐいと詰め寄ります。

 本当に何事何ですか!?

今日はいつもくらい?の時間に( ˘ω˘)スヤァ

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