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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:魔王なお姫様の勇者な執事とメガネでデート大作戦
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挿話:魔王なお姫様の勇者な執事とメガネでデート大作戦5

 お茶を啜り、お菓子を齧る。

 お腹についちゃうのは分かるのだけれども、ついつい止められない止まらないのが休憩中のおやつと言うモノ。うん、私は悪くない。美味しいお菓子とお茶が悪いの!


「最近は白竜印の紅茶が入ってきてますからね。紅茶が美味しいからついついお菓子が進んじゃうのは仕方ないです」


 はむはむと美味しそうにクッキーを齧るのは犬耳メイドなアンズちゃん。可愛く丸まった尻尾をパタパタとはためかせ、幸せ顔でほおばっている。よし、私ももう一つ食べちゃうぞぉ!


「パティさん、あんまり食べちゃうとお昼が食べられなくなってしまいますよ?」

「大丈夫!あと一つ、うん、あと一つだけで我慢するから。ああ、幸せ……」


 なんだかあきれ顔のエリスを傍目にハムハムとクッキーを食べる。

 真人さんレシピのこのクッキーはこの食堂だけで出されてる限定品。なんでも亡くなった妹さんが好きだったらしく、たまに作らないと腕が鈍るから作っているのだそうだ。本当にいいお兄ちゃんである、うん、うちのバカ兄貴(ヴォルフ)にも見習って欲しいものだ。

 というか、最近は恋人さんに構ってばかりで私の扱いは軽いモノ。構えと言っているわけじゃあないのだけれど、最近冷たいのは如何もしがたい感じにも思える。まぁ、私には怜君がいるからいいんだけど!いいんだけど!


「そういえば、噂でおききしましたが、真人様がまた新しい恋人さんを連れてくるらしいとの事ですが……」


 そう言って、隣に座って来たのは最近入って来た新人さん。明るめの赤系の長い茶髪を三つ編みにして、いかにもできる系の女の子、ナナちゃんだ。うん、実際に新人さんとは思えないくらいに何でも起用にこなせちゃうから先輩として立つ瀬無いんだけどね!


「また真人さんに恋人が増えたのね。そもそも今何人だっけ?」

「ええと、ここの魔王様のオウカ様。それとよく遊びに来てくれる次期魔王なフレアちゃん。そんでこの前婚約者になった元イケメンな男の人だった魔王シルヴィア様だっけ?」

「い、いろんな意味で突っ込みどころが満載ですが、本当にすごいお方なんですね」


 ちゃんの声が何だか震えている。まぁ、そりゃあそうだよね。魔王様二人に次期魔王様一人を婚約者にしている時点で色んな意味で規格外。普通、魔王様を婚約者になんてしたらお尻に敷かれてしまうことが確実なのに、これでさらに増えていると言うのだ。うん、頭おかしいよね!


「まー、うん。真人さんだし仕方ないよね」

「真人様ですしねー」


 うんうんと飲み物を緑茶に切り替えたアンズちゃんとエリスさんが頷く。確かにその通り。真人様だから仕方ないよね!


「な、なんですかそのパワーワード」

「そういえばナナちゃんってまだ真人さんに逢ったことなかったっけ?」

「いえ、その、仮面をつけられていましたが一度だけ、面接の時に」


 可愛らしく人差し指を口元に当てて、ナナちゃんは首を傾げる。


「んー、まぁ知ってると思うけど真人さんって勇者なんだけど、本当に強いのよ」

「と、いいますと?」

「まず、並みの魔王なら瞬殺?」

「しゅん!?」


 あまりの事にナナちゃんがポカンと口を開けて驚いてしまっている。そりゃあそうだろう。私が聞く話によると、勇者と魔王が戦うとなると勇者側は小隊、或いは中隊規模を組んで戦いに挑んでくるのだそうだ。


 それが普通。


 本来はそれほどまでに力量の差があるはずなのだ。だけど、真人様はオウカ様と婚約されたときの武闘会で、並み居る魔王様たちをほぼ無傷で倒したらしいのだ!それもたった一人で!


「最後の最後、最速の龍魔王との闘いだけは死力を尽くした戦いで、大魔王城が吹っ飛ぶくらいすごかったんだって。だけど、最後の最後、真人様が一発逆転のすっごいパワーで倒したんだって!うん、それが何かまでは知らないんだけど、お空が割れて山も砕けたって噂なのよ!」


 あくまで噂だけどね、とそっと付け加えておく。うん、伝聞だからどこまで正しいか分からないからね!


「私たちが勇者達と一緒にフレア様の領に攻め入ったときなんて、真人様お一人で私たちを押しとどめ、しまいには冥府より蘇った邪龍をフレア様と共に焼き散らしてしまいましたから」


 そのおかげで私たちは救われたんですけれど、とエリスさんとアンズちゃんは何だか誇らしげである。うん、その話だと二人ともやられた方じゃあないの?うん?それでもいいの?そ、そっかー。


「でも、勇者さんたちはものすごい力を神様に与えられてこの世界にやってきたと話を聞きますし、真人様もそのものすごい力で魔王様たちを倒したのではないんですか?」


 ナナちゃんが頬に手を当ててまた首を傾げている。その話は前に私たちもしたのだけれど、どんな力を持ってきているのか皆目見当もついていないのが現状なのだ。


「やっぱり分身がチートだとおもいます!」

「いやいやアンズちゃん、アレは木札を使って出してるから違うって話だよ?前にマネッチアちゃんが言ってた物凄い水の龍を召喚してたって話だし、それがチートだよきっと」

「待って、剣からビーム出す奴がチートなんじゃないんですの?ビーム」


 う、うん、どうやら情報が錯綜しているらしい。まぁ、お茶会なんだし、このくらいで丁度いいのかもしれないけれどね!






「……ところで皆さん。一体いつまでモグモグタイムを続けるつもりなのでしょうか?」」

「ふぇ?」


 振り向くと仁王立ちをした青鬼メイドな梅雨さんがそこにいた。うん、笑顔だけど鬼の形相ってこれ如何に?ふふ、えっとー、さ、さぼっていた訳じゃないですよ?その、新人さんとのそう!こみゅにけーしょん?的なアレですよ!


「言い訳は無用です。ほら、もうすぐ真人様がお戻りになられますよ?」


 どうやら噂をすれば影、真人さんが帰って来るらしい。そういえば昨日あたりも根を詰めてお仕事をしていたらしいしね。ううん、どうにか真人さんが休めたらいいのになー。怜君にも話しておこうかな?

とってもとっても、とーっても遅くなりまし( ˘ω˘)スヤァ

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