表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:魔王なお姫様の勇者な執事とメガネでデート大作戦
291/554

挿話:魔王なお姫様の勇者な執事とメガネでデート大作戦2

 そうだ、サクラちゃんとデートをしよう!


 思い立ったのはつい朝の事。シルヴィアとの婚約パーティーの間に()って()まった書類やら公共事業やらの諸々のお仕事さんを死ぬ気で何とか一週間ほどぶっ通し寝ずに終わらせて、気づいたら大魔王の間だった。うん、いつも通り(過労死)だな!(たま)らないね!


 そう言う訳でサクラちゃんとお話して数時間が経つんだけど、執務室にドスンと並べられた書類さんが一向に減ってくれない。うん、何で公共施設の予算編成やら補助金の編成やらしてるんだろう?忙しいからってお仕事投げられてるだけの様な気がしないでもないんだけど!


「うふふ、とっても助かりま~す♪」


 にっこりと、サラのお母さん。ルナエルフのミラさんがほほ笑む。うん、知ってたけどやっぱりお仕事さん投げて来てたよ!


「あとはサクラちゃんに見てもらって捺印もらうだけだけど、流石に多すぎじゃあないかな!というか、この領全部の店舗分の許可申請とか通る気がしないんだけど!」

「ええ、きっと通すつもりが~ないでしょうしね~」


 さらさらと、書類を書きながらミラさんはどこか寂し気につぶやく。

 うん、やっぱり?とはおもわなくもないけれど、結局のところ街の人たち――この領の民は街中にサクラちゃんが下るのを恐怖しているのだ。


――原因は数年前、サクラちゃんのお母さんのお葬式の時に起きてしまった悲劇。魔眼発露、そして暴走。


 制御の利かないサクラちゃんの魔眼は、その力をその場にいた人々すべてに恐怖と畏怖をまき散らし、意識を刈り取り、心を刈り取った。だからこそ、この書類の束だ。この膨大な書類はサクラちゃんをあの塔から出さないための法。民草を護るための法だ。


「うん、仕方名の無い事なんだけど、正直くそくらえだなって」


 事故だから仕方なかったとはいえ、彼らにはそんな言葉は通じない。メガネがあるから大丈夫と言っても彼らはきっと聞く耳を貸さないだろう。うん、今更になってこんな話を聞いちゃって後悔しかない。だって、サクラちゃんも頑張って書類を書いてくれているけれどもすべてが無駄なこと。だって、一軒でもサクラちゃんが街中に下ることを拒否してしまえばすべてがパーになる訳で……。


「サクラちゃんが今まで頑張ってきた事を知ってくれていればと思うんだ。どんな思いであの塔に閉じ込められて、どんな思いでみんなの為に頑張って来ていたのかを。まぁ、無理なんだろうけどね?」

「……うん、その通り。オウカ様の作られた魔導家電はとても便利で~、街中に浸透してるわ。けれども、それとこれとは~別。植え付けられた恐怖と言うモノは~そうやすやすと消えるモノでは~ないから」


 そう。無理やりにでも外に連れ出してしまうのはとっても簡単なことなのだけれど、それじゃあきっと何も解決しない。それどころか問題が更に鼠算式に倍々に増えていくから困ったものなのである。本当に厄介だなこれ!


「それじゃ、視点を変えてしまおう。つまるところはそんな法律が無いところでデートすれば良い訳なんだよね。というか、ここから一番近いから街中デートと洒落込もうと思っていたのにこんなに面倒だとは思ってなかったってのが本音なんだよ!知ってたら最初からアークルに連れ出すよ!」

「それでもまた~書類を書く必要があるんでだけどね~」


 ドン、と辞書の様な分厚さの書類が目の前に置かれる。うん、これからまたこれ全部目を通さないといけないんだよね!いつもやってる!!

 ポンポンポン、と自分の分身を木札で出して、分担作業でガリガリと作業をこなしていく。うん、手を増やしただけで実際は全部一人で考えてるんだから割と面倒くさいんだけどね!


「ふふ、真人さんって本当にオウカ様の事が好きなのねぇ~」

「そりゃあそうだよ。サクラちゃんがいなかったら、きっと俺は自暴自棄(ヤケ)になっていただろうしね。うん、たぶん行き場のない情動をずー―――――っと大魔王(グリム)にぶつけてたかも?うん、八つ当たりだな!」

「ふふふ。真人さんって~大魔王様とも仲がいいしねぇ~」


 仲が良いと言うか、一方的に俺が殺されてるんだけどね!蟻一匹で象に挑んでるようなもので、相手をしてもらえてるだけ不思議でならないレベルだったりする。うん、ごまかしごまかしでグリムをぶん投げたり魔法反射してアフロにしたりしてるんだけどね?やっぱり倒せないんだよね!アイツ絶対チートしてるよ、絶対!


「ん~、まず大魔王様と戦いらしい戦いになっている時点で~真人さまの強さって相当なのだと思うののだけど~」

「ははは、戦いというか大体遊んでるけどねあの大魔王さん!この前なんて俺が世界の希望だ、とか言ってキラキラしながら十メートルくらいの斧をサイコー!フィニッシュストライク!ってぶん回してたよ!魔力を高めて物理で殴るって、子供向け特撮としては分かりやすいとおもうんだけど、ネタでしかないよね!」

「ううん、真人さんの言ってることって~お姉さんたまに分からないのよね~」


 だろうと思っているけど愚痴らざるを得ないんだな、これが!うん、割りと負けっぱなしって辛いからね!

 ともあれ、デートのコースはこれで決まりだ。さぁ、サクラちゃんと思いっきりデートを楽しむぞー!の、前にサテラさんに車出してもらわないと!はっ!ま、また手続きがっ……ちゅらぁい!

今日も今日とて遅くなりましたOTL

次回はたぶん20日ごろになるかと思われま( ˘ω˘)スヤァ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ