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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第五章:勇者な執事と白き龍の招待状。そう、絶望が俺のゴールだ!
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33話:花火大会に足を運ぶのもいいけど家でのんびりとテレビでみるのも乙なモノだよね?

『『『ころろろ!殺す!KILすぅ!!勇者!勇者ぁ!みなせえええええまなとおおおおおお!!!』』』 


 吹きあがる風で空へとふわりと飛びあがった、三つ首のトライテンペストドラゴンとでもいうべき化け物が咆哮を上げる。略してトラゴン!うん、カッコ悪いな!


「どうするんだよ、どうするんだよアレ!」

「そんなこと言われてもなぁ。うん、こっそりと仕込んでる木札じゃアイツのうろこは貫けそうにないしなぁ!って危ないな!」


 トラゴンさんは辺り構わずに魔力砲を吐き散らし、風を体に纏わせて空を無軌道に飛び回る。ダッシュで逃げる俺とシルヴの傍を幾度も掠めるけれども躱すことはできないことは無い。


「なんだか、狙いが雑というか適当というか遊ばれてるのかなこれ?」

「いや、恐らくはまだ肉体の生成が完了していないんだろうな。見ろ、アイツら今はまだ三つ首だが、少しずつ、一つになって行ってる」


 飛び回るトラゴンさんをよくよく見ると確かにさっきよりほんの少し三つ首やら羽がくっついているように若干、微妙に、ほんの少し?見えなくもなくもない。うん、微妙な変化過ぎないかな!


「だからアイツが完全体になる前に倒さないと、より厄介なことになると思う」

「というと?」

「アイツら三人がくっついたとして人格が統合されるとは思えないからな。たぶん、辺り構わずすべてを破壊し尽くすだけの化け物に成り下がる。ほぼ確実に」


 空から振り下ろされる数多の光の筋をひょいひょいと避けて躱してダッシュで走る!うん、いつも通りだけど、相方がいると何だか気がまぎれるな!


 ともあれどうにかするにしても、トライテンペストドラゴンを地面に引きずり降ろさないことにはいかんともできないのだけれど、くるくる回ってて一向に空から降りてくる気配はない。うん、降りたら負けると思ってるのかな?

 さっき俺が風を使って空へと飛びあがって来たせいで風龍なのに風での攻撃は全然してこない。うーん、さてはてどうしたものかな?


――と意識をはたと外した瞬間、黒くて長い何かがこちらに向けて飛んできた。思わず受け止めると、()()()()がその手の中にあった。


 う、うん、何で飛んできたのかな?


 風は吹いていない。俺の服と木札と木剣と諸共に、さっきの戦いの中で瓦礫に埋もれているものだと思っていたのだけど、何でか急に俺の手にくるくると飛んできてくれた。な、なして?


「おい、それなんだ?」

「うん、譲ってもらった刀なんだけど、何でも名工が鋼龍の逆鱗で打ち出した逸品、銘刀鼓草さんなんだけどどうかしたかな?って、ヤバいな?」


 キラキラと今度は魔力弾が散弾の如く降り注ぐ。ええい、迷っている暇はない。スラリと刀身を煌めかせ、魔力の塊を弾いて往なして切り捨てごめんで――あれ?なんだか斬ると魔力弾が消えてくぞ?


「それ、魔力を帯びてるな。もしかすると意思でも宿ってるんじゃあないか?」

「はは、そんな、まさか……」


 いや、待てよと頭を巡らせる。そう言えばマネちゃんがこの刀には魂が宿っていると言っていた気がする。


――付喪神。


 それは俺のいた世界の伝承。古く、使い込まれ、大切にされてきた物品に宿ると言う神霊だ。だから、古いモノや使わなくなった大事なモノはお焚き上げとして供養してもらいにお寺に持っていったりしていたわけだ。つまるところはこいつにもそう言ったたぐいのモノが宿っているかもしれないわけで。


「まぁ、大事に使わせてもらうとするから――ひと踏ん張りしてもらうよ鼓草」


 リン、と返事をするように鍔が鳴った気がした。


 ああ、それだけで十分だ。それならば俺はアレに勝つことが出来る。


「そう言う訳でちょっと行ってくるね?」


 ぐん、と足に力と気を込めて、トトンっと空へと飛びあがり舞い上がり豪雨の如く降り注ぐ魔力弾を鼓草で斬り払って払ってその距離を縮めて行く。足場が無くても走ればいい。そう、空を飛ぶなんて贅沢なことは風の精霊さんを全部あのトラゴンに持っていかれてできやしないのだけれど、走ることなら今の俺にでも簡単に出来る。だからダッシュダッシュで走りに奔って、縦横無尽に空を飛び回るトラゴンをその視界に収める。

 けれどもこの速度じゃトライテンペストドラゴンに追いつくのは不可能だろう。だから、靴に隠し持ってた虎の子の木札を切って、炎を纏ってその速度を上げていく。


『『『勇者!ゆうしゃ!ユウシャ!!ホロべえええええEEEEE!!!』』』


 収束された光が空中に線を描き、直線に俺を包み込む。それは間違いなく致命的一撃――だけど、それを待っていたんだよ。


 韋駄天と言う技は大地に根差した技であり、穿であれば拳、翔であれば蹴りとなりその基本は瞬動による全力疾駆による高速の一撃。


 つまり、これは――本来の世界では使う事すらなかった技。

 刀身を前に突き出して、気を、霊気を、魔力と炎を纏って流星の如く駆ける。魔力を喰らうたびにその鼓草は金色に輝き、そしてついにトライテンペストドラゴンを捕らえた。



――無限流/混成/奥義ノ零/鼓草



 鋼の如く固く頑強な鱗を容易く突き貫き、溜めに溜め込んだ魔力をその体内へと放出させる。


「吹っ飛べええええええええええええええ!!!」

『『『ぎゃああああああああああああああAAAARRAAAAA!!???』』』


 その爆発的威力はトライテンペストドラゴンを突き抜け、金色の花火の如く幾線もの光の筋を描いて体の中見事吹き飛ばしたたのだった。



 タンポポだよね?うん、タンポポだこれ!!

とってもとってもとぉおおおおっても遅くなりましたOTL

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