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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第五章:勇者な執事と白き龍の招待状。そう、絶望が俺のゴールだ!
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32話:南極に隕石のたまり場があるんだと聞くと何だか掘り返しに行きたくなってくるよね?

 嵐の如き風が吹きすさび、三匹の龍が咆哮を上げて空へと飛びあがる。


『死ぃいねええええゴラぁあああ!!』


 ただ一匹、龍と化したタリウスが爆風を纏い拳を振り上げて迫りくる。

 だからあえて前に出る。


「真人――!」


 不安げなシルヴの声を後ろに聞きながら、その拳を捌いてそのまま足蹴にして飛び越えて行く。


『な!?』


 驚きの声を上げたのはその先でプカプカと浮かんでいたデブ龍(ボーマン)さん。タリウスが吹き捨てた風を拾って集めて形にしちゃって、無防備などてっ腹に飛び蹴りをプレゼントして差し上げる。


――無限流/無手/翔


「せいやああああああああああああ!!」


 つまるところはライダーキックだったりする。うん、どう見ても趣味技だな!


『がぁああああ!?』


 さて、びっくりしてるところ悪いけど?

 ボーマンが吹っ飛んだところに追いついて、尻尾を掴んで風で滑らせクルンと回してぶん投げる。


『邪魔だ、ぼけぇ!』

『はぎゃあ!?』


 タリウスに向けてぶん投げたら、仲間なのに殴り飛ばされてしまった!切ないな!


 だけど、それは盛大な隙となる。うん、ごめんね?こちらを見失ったところで、頭上から蹴り下ろしてそのまま顔面にありったけの拳を叩き込む。


――無限流/無手/穿


『ほげあ!?』


 なんだか情けない声を上げて、タリウスは気持ちよく吹っ飛んでくれる。うん、弱いな?


『ははは、隙を見せたな!』


 空高く、雲のそのさらに遥か高くからキラキラと白い何かが落ちてくる。


 それは賢龍ガリアスの刃ともいうべき羽。斬羽とも言うべき甲殻は高速にて飛来し、竜巻の如き暴風を伴って、大地へマシンガンの如く降り注ぐ。


『ぐわあああ!?』『ぎゃあああ!!』


 もちろん、他の賢龍を道連れに。うん、本当に仲悪いんじゃないかなこいつら!


『ははは!これでどうだ!この高高度からの攻撃であれば、シルヴを倒した勇者と言えど――』

「言えど、何かな?」


 俺の声に驚いた様子で、ガリアスは自分しかいないはずの空を見回す。そう、いるはずが無いのだ。常人であれば空気も少なく、風の加護が無ければ鳥すらも落ちてしまうこの高さには……。


「だからお前はそこまでなんだよ?」

『は――?』


 遥か――ガリウスの頭上の上の上、大気のあるぎりぎりから俺は風と炎を纏い、音速を超えて落ちて行く。


『躱っ――』

「させねーよ!」


 風を纏って飛翔するガリウスの背中目掛けて、蹴り落とす!


 ――無限流/無手/奥義ノ肆/迦楼羅(ガルダ)


 纏い紡いだ霊力に気に魔力を一点に集中させて蹴り落とす、つまるところは――


「W!!エクストリイイイイイイイイイイイイイム!!!!」

『ぬああああ!!馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿な!何故貴様がぁあああ!!』


 そう、それは単純な話である。風に乗って空を舞った。そこからはダッシュで飛び上がっただけだよ?うん、簡単だな!


『そんなバカな話があるかああああああああああああ!!』

「ははは!あるからお前は堕ちるのさ!!うぉりああああああああああ!!」


 更に蹴りぬいて、ガリウスをそのまま地面へと叩きつける。

 風を纏い、炎をかき消して地面をくるくると回って着地する。うん、死ぬかと思ったな!



『が、ぐ、な、なぜ、ひと、ごと、きが……』


 しかし、それでもガリウスは生きていた。うん、頑丈さだけならシルヴと同じくらいはありそうだな?


「だから言ってるじゃあないか。勇者だからさ」


 そう言って、ボロボロになった三体に拳を構える。うん、まだやるのかな?


『このままで、終われる、ものか……ッ!終われるはずが、ない!貴様ら!アレを……使うぞ!』


 ガリウスの咆哮に二体は体を強張らせた。



『ば、馬鹿者!アレは最後の最後の手段であると!』

『そうだ、あんなもの使えば戻れるか――』


『知 っ た 事 か !!!』


 二体の抗議に頭を振ったガリウスが自らの胸に刻まれていた()()に魔力を籠める。


『さぁ、勇者よ――絶望するがいい!』

『やめろ!やめぇ!?』『ふざけるな!お前っ!が、ぎゃああああ!!』


 龍たちが太陽の如く輝きを放ち、粒子となって一つに集う。




『嗚呼、素晴らしいIII:*II!!わたAAしこそOOO!!魔王RYUUUUUUU@UUU!!!』

 

――それは、あまりにも歪で、醜悪なモノだった。


 巨大な二本の腕と二対の小さな腕、風を纏った三対の刃の如き翼を羽ばたかせ、三本の尾と三本の首を持つソレは正しく化け物と言えるだろう。


「こ、これは一体……!」


 シルヴがお堂の影から驚きの声をあげた。

 そう、これは本来ありえない事なのだ。以前あった邪龍たちの時は喰らう事で一つに吸収して行っていたけれど、今回は全く違う。三体の別物がくっついて全く違う別物に成り果てようとしているのだ。うん、未だに変化し続けてるから、このまま行くと理性の無い化け物が出来上がっちゃうわけなんだ。ヤバイ……ヤバくない?


「うん、今のボクにはどうしようもないな。えー、真人。聖剣ぶっ放していいから、アレどうにか出来ないかな?」


 うん、シルヴさんやそう簡単に言ってくれるけど。ここね、異空間だから多分あの聖剣さん圏外なんだ。


「け、圏外というと……?」

「呼んでも来ない」

「ほぁ!?」


 そう、残念なことにあの聖剣ジ・アンサーさんはこういう場所には呼んでも来てくれないことが大半を占めていたりするのだ。大魔王の魔で呼べたらと何度思ったことか……。


 だから、この場はあるモノで何とか切り抜けるしかない。うん、俺今上半身全裸だよ!どうしよう?


「どうしようじゃないよ!このバカ真人ぉ!」


 涙目でシルヴがこっちを睨んでくる。ふふ、もう可愛いし気にしなくていいかな。はい、ありがとうございます!

とっても遅くなりま( ˘ω˘)スヤァ

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