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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第五章:勇者な執事と白き龍の招待状。そう、絶望が俺のゴールだ!
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31話:3匹の子ブタの藁の家ってせめて泥で練り固めておけばよかったのになって小さいころに思ったよね?

 さて、相手は三人で俺は一人。一人ずつ相手をしていくのが一番楽なのではあるが、それではとっても面倒くさい。


「うん、だから掛かって来なよ。一人一人じゃ時間がかかるし?ほれほれ」


 くいくいと手招きして差し上げる。うん、来ないのかな?いいかげんとっとと終わらせてサクラちゃんのところに戻りたいんだけど?


「こいつ、舐めた口を!お前ら、手ぇ出すんじゃねーぞ。俺がやる」


 そう言って前に出たのはシルヴをボコっていたええと、誰だっけ?


「タリウスだ!お前をぶっ殺したあとで、そこの糞雑魚のご主人様になる男さ!」


 にやにやと俺に張り合って上着を脱ぎ去った筋肉ダルマがこちらを睨む。服を脱ぐなんて……え、何?露出狂かな?怖いな!


「自分が脱いどいて何言ってるんだよ、お前」

「そりゃごもっとも!」


 シルヴの突っ込みにテヘペロリとしたところで、拳を構えずに前に出る。うん、この程度の奴に拳を構えるのすら戸惑われるんだよ。


「こいつ、ふぅざけるなああああああああああ!!!」


 タリウスが筋肉にモノを言わせて躍動し、俺に向けて拳を振りかぶる。


――だからこの程度なんだよ?


「んな!?があぁ!?」


 勢いのままクルンと回してあげて背中から叩きつける。無限流ですらない、只の投げ技である。


「ああもう、ため息しか出ないんだよ。これならシルヴと戦っていた方が幾分も楽しかったよ?俺はサンドバックじゃあないんだからね?動かない的目掛けてどれだけ楽しんできたんだって感じだねー」


 こいつは戦いというものを経験したことがないのだろう。やってきたことは一方的な暴力。つまるところは自分と同等、或いは強者と戦ったことが無いのだ。うん、弱すぎるな!


「けほ、この、くそがぁ!」


 ふらふらと、せき込みながらもタリウスが立ち上がる。うん、流石は龍。固いな?


「でもまぁ、一人じゃ相手にもなりゃしない。ほい」

「んがあ!」


 また何も考えずに突っ込んできた馬鹿を繰るんと回して投げ飛ばす。今度は地面とキスしてくれたみたいだけど、気絶すらしてないようだ。


「く、くそう、こいつ!」

「ふん、脳みそ迄で筋肉のお前じゃあそこまででしょうよ」


 小太りのヒゲがふがふがと笑う。


「ボーマン、てめぇ!」

「聞き分けをもってください、タリウス。こいつは我々三人がかりでも勝てないと侮辱したのですよ?ならば、その考えを改めさせヴぁ!?」


 何だか暇そうだったから蹴り飛ばしてしまった。うん、話の途中だったかな?ごめんね!


「こ、この、人の話は最後まで聞けと教えられなかったのですか!」

「んー教えてくれる人いなかったかな!えへ!」


 と、テヘペロしてる最中にタリウスがまた突っ込んできたのでくるんと回して背中からまた叩き落として差し上げる。まったく、人の話は最後まで聞けと教わらなかったのかな?


「お前がいうな、お前が」

「はは、聞こえんなぁ!」


 シルヴのジトを躱しつつ、タリウスをヒゲに向けて蹴り飛ばす。本気でこいつら弱いんだけど……。


「ふん、脆弱な人間が。貴様にこれが耐えきれるかな――」


 一人暇そうにしていた男――ガリアス卿が集約した風を大砲の如く撃ち放つ。さながら空気大砲(エアバスター)と言う所だろう。けれども、うん。この程度そよ風だ。


「カッ――!」


 気を呼法を伴って音となって放出し、空気大砲(エアバスター)をかき消して差し上げる。無限流の呼吸法の一つなのだけれども、いわゆるひとつの気合防御である。


「な、触れる事すらなくだと!?」


 ガリアス卿が汗をだらだらと流して、顔でこちらを睨む。


「まったく、だから最初から言ってるじゃあないか。三人がかりでかかって来いって。ほら、来いよ三下共。お前らが賢い龍だなんて名乗っているのが笑えてくるぞ?」


 にっこりとほほ笑んで差し上げると、賢龍たちが各々に武器を手にした。剣に杖にモーニングスター……うん、剣と杖は分かる。分かるけれどもモーニングスターって何かな!


「お前を捕まえるためだよ!おらぁ!」


 タリウスが風を鳴らして振り回していたトゲトゲしい鉄球をこちらへと放り投げる。直線的な動きだし躱してやると死角から鋭い刃が煌めいた。


「うん、危ないしプレゼント?」

「ふがあ!?」 


 躱すと同時にモーニングスターのチェーンを握って鉄球を剣を振るったガリアスの隙だらけな顔面へとお見舞いする。うん、痛そうだな!


「砕け散れぃ!」


 滞留していた風が頭上から高速にて吹き荒れ、そこにいたすべてを味方ごと吹き飛ばす。風の鉄槌(エアハンマー)と呼ばれるその魔法。風圧にて相手を叩き潰したのち、吹き荒れる竜巻に巻き込んで相手を吹き飛ばすというそれなりの高度な技あのだけれど。


「うん、当てるためとはいえ、味方ごとってのは流石の俺もうん、引くなって?」

「う、後ろ――ぬぁ!」


 フレンドリーファイアをしてくれた馬鹿をクルリと投げて回して、いまだ吹き荒れる竜巻目掛けて頭をボールのように蹴り飛ばす。


「ぬぅぁああああああああああああああああああ!!?」

「この、ばかがあああ」

「うぎゃああああああああ!?」


 くるくると吹き荒れる竜巻に巻き上げられた三馬鹿が魔法が切れて、地面に叩きつけられていく。うん、おかえり?


「だ、ダメだ、こいつ。つええ……」

「ふざけるな、こんな人間如きに……!」

「ぐぬぬぬ……!」


 ボロボロになった馬鹿たちが殺意の篭った目でこちらを睨んでくる。ははは、全然怖くないなー。こんなよわっちいのが魔王なら、どんな勇者でも勝てるんじゃあないの?いや、勇者である必要ですらない。ただの戦士でもお前らを簡単に殺すことができるんじゃあないかな?とかにっこり笑って言って差し上げると、真っ赤な顔が何だか青やら緑やらに染まっていく。うん、血走ってるな!


「決闘なんざもうどうでもいい!こいつを殺すぞお前ら!」


 タリウスの叫びと共にメキメキと三体はその本性をさらけ出す。




――それは正しく風龍と言うべき姿――とは似ても似つかぬゲテモノだった。



 美しい筈の体の総てを刃と化しているガリアス。流線形の均整の取れた姿が見る影もない、腕だけが異様に発達したタリウス。そして、最早飛ぶ気すらなさそうな腹の出た龍が目の前にいた。


「うん、これはひどいなって」


『『『あん?』』』


 ブチっと何かが切れる音が聞こえた気がした。

 ひっそりと祠の後ろに避難してるシルヴからのジトが痛いけど、きっと気にしたら負けだね!だって事実だし仕方ないよね!はい、ありがとうございます!……ハッ!

いつも通りおそくなりまし( ˘ω˘)スヤァ

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