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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第五章:勇者な執事と白き龍の招待状。そう、絶望が俺のゴールだ!
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24話:月間の雑誌って完結まで読むのに十年クラスの覚悟が必要になってくるよね?

 草木も眠る丑三つ時。


 美しい月は雲にかげり、闇の(とばり)が世界を覆い尽くす。


――ゆらり。


 影が枕元で揺らめいた。


 手には黒く塗りつぶされた刃。キラリ煌めくことなく振り下ろされたその刃は、枕の持ち主へ振り下ろさ、その命を奪ったのだった――とか心の中でモノローグとか流してみたけど、うん、ごめんね?俺ってばほら寝ないし?あと忍者だし?暗殺者さんくらいなら返り討ちなんだよ?


「な、なんだとぉふ!?」


 パンといい音がして暗殺者さんが崩れ落ちる。顎を張り手で揺らして気絶していただいた訳である。ふふふ、鍛錬が足りんよ、鍛錬が!お師匠さんなら、このくらい耐えて当然だぞ!耐えなければ死ぬと思え!って全力で気絶……殺し……眠らせに来てたんだよ!本当に勘弁してほしかったんだよ!ガクガク。


 窓の外にはまだこちらを睨む影が二つ。ふふ、もてる男は困っちゃうな!


「な!?なぜ後ろんぎゃ!」「馬鹿な!あの部屋からどれほどの距離ぎゃえんっ!?」


 まぁ、この部屋を一生懸命に覗き込んでた時点で俺を狙いに来たって判りやすすぎなんだよ。だってほら、俺ってば暗殺され慣れしてるし?この場所から狙われるなって大体わかっちゃうからね!うん、暗殺にも慣れるもんなんだよね。フシギダナー。


 気絶した三人の口を開けて毒を抜く。ふふ、同じ轍は二度は踏まんよ!


「それで、その人たちはどうするつもりです?」

「うん、亀甲縛りした後それぞれの玄関に飾ってあげようと思ってたんだけど、ダメかな?」

「やめてあげた方がいいんじゃないです?見つけられたらこの三人殺されますし」


 外で暗殺三人組を縛っていたら、いつの間にか起きてたロベリアちゃんがやれやれと首を振っている。

 どうやら俺が暗殺されないか心配して見に来てくれたらしい。うん、心配してくれたんだよね?


「え?」

「え?」


 何でか頬を赤く染めてプイと顔を背けられてしまった。うん、どうやら違ったらしい。だけど、だからと言って足は踏まないで欲しいな!痛いよ!


「それじゃあこの暗殺さんたちどうするかな?オッサンにお兄さんにオッサンか……。はぁぁぁぁ……。まったく、大魔王国とかエスティリアを見習って欲しいんだよ。ロベリアちゃんとかあんずちゃんみたいに可愛い暗殺者さん寄こさないなんて何考えてるんだよ!うん、ロベリアちゃん膝を蹴らないで欲しいな!弁慶さんでも泣いちゃうところだからね!はい、ジトありがとうございます!」


 痛むスネをさすりつつ、三人をビビビッとビンタで優しく起こしてあげる。口には猿ぐつわ。こちらをジトりと睨まれているのだけれども、男のジトだと何とも感じないんだよ。うん、ごめんね?


「真人さま、話が進まないのでさっさと済ませてください」


 ふぁ、と欠伸をしてロベリアちゃんは眠たそうだ。うん、美容にも良くないしね?


「君たち三人が誰の命令で来たのかは大体というか、まぁ、うん、察しはついている。ダメダメな上司を持つと苦労するよね、ホント。俺なんてお師匠さんのせいで何回って、うん、ロベリアちゃん話を巻くから脇腹をつねらないでね!眠たいなら俺のベッドで寝てていいからさ!」


 ともかく、と間を置いて俺は言葉を紡ぐ。


「俺は、あの三人を魔王とは認めない。魔物としては最上なのかもしれないけれど、王としては下の下の下だ。魔王であるならば国を国としてまとめ上げる技量が必要になる。ああそうさ、分かっているんだろう?彼らにはその能力が著しく欠如している。なのに、このまま彼らに使えるのかい?本当にシルヴェスの事を考えているシルヴを踏みにじるアイツらの元に」


 三人の目が泳ぎに泳ぐ、何やら掃討に迷ってくれているようだ。まぁ、そりゃあそうだろう。あんな奴ら金と権力がなければ烏合の衆に変わりない。


「だから、俺が君らを買い取ろう。そうだな、答えは明日以降に聞くとするよ。パーティの終わった後にでもゆっくりと、ね」


 そう言って、客間のクローゼットにしまい込んでおくことにする。うん、使わないクローゼットだし別にいいよね?


「何故、我らを殺さない。殺してしまえばそこでしまいだろう?」


 俺の枕をダメにしてくれた()()のエルフ耳な兄ちゃんが俺を睨む。


「本当は放り投げてやろうかと思ったんだけど、このまま放り捨てちゃうのは単純にもったいないなって思ってね。だって、偵察任務が出来る人って訓練がとっても必要で、育てるまでの人的コストってかなりかかる訳。それなのにポイ捨て加減で三人も送られてきたら、流石にもったいないって思うのが普通じゃない?」

「い、いやいや、それはその、何か大事なことが抜けておらぬか?我らはお主を殺そうとしたのだぞ?」

「それがそもそもおかしいんだよ。だって俺って勇者だよ?殺しても生き返るし?うん、俺が無罪って言えば無罪だしね!この世界法律ゆるゆるすぎるよ!」


 ヤレヤレと俺が首を振ると、三人はそろって首を傾げていた。


「諦めてください。真人様はこういう人ですので。そう言う訳で限界です。寝りゅ」

「ま、待ってロベリアちゃん!?何で俺の背中によじ登って寝始めるのかな!まぁ、そう言う訳でおとなしくしておいてね!お休み?」


 パタンと扉を閉めて鍵をかけておく。あの様子ならまかり間違ってても抜け出して来て俺をまた殺そうとなんて考えないだろう。あの三人も無理難題を押し付けられていたことに気づいた事だろう。

 ふぅ、と息を吐いて窓の外、曇天の空を見る。

 彼らは間違いなく捨てられたのだ。俺への当てつけの為に。

 それにしてもエルフの暗殺者さんなら美人さんを送ってくれたらよかったのになぁ。アークル(うち)のお城でメイドさんやってるエリスさんクラスの美人さんなら大歓迎なんだけどな!オッサンだらけはあんまりなん……うん、ほっぺたつねらないでロベリアちゃん!いふぁいひょ!

とってもとってもとーっても遅くなりまし( ˘ω˘)スヤァ

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