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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第五章:勇者な執事と白き龍の招待状。そう、絶望が俺のゴールだ!
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4話:果物って大体腐る寸前が一番熟れてて美味しいよね?

 ふしゅるると鼻息荒いシルヴと名乗る少女は大剣をふらふらしながら振り回す。力が足りていないのに振り回しているから、くるりくるりと回し斬り、辺りの調度品をぶっ壊しまくりながら俺を追ってくる。うん危ないよ!?


「い、色々と聞きたいことが山もり沢山なんだけど、一体全体何でシルヴが女の子になってるのさ!」

「それは!お前が!ボクを倒したからだ!」


 シルヴは素早く俺の股下に剣を通し体を捻って切り上げる。が、残念だけどそれって俺の分身さんなんだよ?


「な!?」


 切り上げた瞬間に柄を蹴り上げてあげる。勢いそのままに放り投げられた大剣は天井に見事突き刺さったのであった。ふふ、当たってたらヤバかったな!


「ぐ、ぐうう、小癪なぁ!」

「シルヴ!貴様何をしておるか!」


 近くにあった斧にシルヴが飛びついた瞬間、渋くて厳つい一喝が廊下に響いた。


「な、じいや!だ、だが、こいつが!こいつがいたからボクは――」

「先祖返りの影響だと聞いております。これはもう仕方ありますまい。貴女は彼に負けたのですから」

「だ、だが!」

「言い訳は無用!私は客人に非礼な態度を取るよう教育した覚えはありませぬ!」


 タキシードを着こなす鼻髭のお爺さんの言葉に、けど、だって、でも、とシルヴは語尾を弱めていく。ううん、この人ってシルヴの執事さんなのかな?あのシルヴにも敵わない人がいたんだなぁ……。


「お客様、当方の主が大変失礼いたしました。そして、真人様。ようこそおいでなされました。貴方のおこしを心よりお待ちいたしておりました」

「いえ、お、お構いなく?」


 深々と頭を下げるシルヴの執事さんにつられて、俺も頭を下げる。この執事さん、年の割に隙が無い。ううん、中々に強そうな人なんだよ。


「ともあれ、長旅お疲れでしたでしょう。応接室へご案内の途中だとの事ですね。では、ここからは私がご案内いたしましょう。シルヴもついてくるのですよ?彼はこのパーティーの()()なのですから」

「む、むぅぅ」

「返事は?」

「はい……」


 なんだか不服そうだけど、渋々と言った様子でシルヴが頷く。

 ……うん?待って、待とう。いま執事さん変なこと言わなかったかな?言ったよね!俺がこのパーティーの……主賓!?


「ね、ねぇ、まーくん。ま、まさかとは思うんだけど、そのえと、ええと」

「オウカ様落ち着かれてください。その、なんだか冷気がっ!冷気が出てますよ?!」


 プルプルと震えるサクラちゃんを。ライガーが何とか落ち着かせようと必死だ。けれども俺はそれどころじゃあない。

 この婚約パーティーの主賓という事は、俺はここで結婚することになるらしい。う、うん、だ、誰とかな?


「ああ、そうか。だからシルヴ様の隣が空欄だったんだね。ここに真人さんの名前が入るから、真人さんのお手紙だけこんな感じだったんだにゃ」


 クロエの言葉に俺の頭が完全にフリーズする。

 は、ははは。お、俺とシルヴがけ、け、け、結婚……!?


「あ、真人様が固まりました。かなりの衝撃だったみたいですね」

「それはそうや。何かにつけ、シルヴ様は俺のライバルやー的なことを言ってシルヴ様が、まさかの女の子になって真人さんと結婚するー言うてるんや。うん、アタシでも固まる」

「まぁ、そうでしょうねー。何かにつけシルヴ様との戦いを話の中に出してますし、よっぽどあの時の戦いに勝てたことを誇りに思ってたのでしょう」


 ロベリアちゃんとマネちゃんがまるで他人事のように言っているのが聞こえる。

 うん、言うのは良いんだけど、恥ずかしいから誇りとか言わないで欲しいなって!なんだかシルヴもプルプル震えてるし?なんでか耳まで真っ赤だけど!


「ふ、ふん、ボクの醜態を言いふらして楽しかったかい?水無瀬真人」

「べ、別に醜態を言いふらしてたわけじゃないさ。その、シルヴとの戦いくらい自分を賭した戦いは無かったし、想いをぶつけた事もなかったしね。あの戦いで勝てたことは間違いなく俺の誇りだよ」

「なっ!?ふ、ふん!口では何とでも言えるさ!」


 俺の顔を見ることも無く、シルヴは語気を荒げる。ううん、怒らせちゃったかな?


「なぁ、あれって完全に……」

「いややなぁサンスベリアはん、それを言うんは野暮ちゅーやつやぁ」


 なんだかサンスベリアと椿さんまでにやにやしてる。うん、なんでそんなにニヤついてるのかな!?


「いや、だってなぁ?はたから見たらこう、中高生の初々しいカップルに見えるというか」

「うん、仲いいな……って」


 夏凛ちゃんと苺ちゃんまでそんなことを言い出したよ!いやいや、だってアイツ男だよ!?イケメンな男だったんだよ!?


「……ま×シルヴ……ううん、ここはシル×まの方が……ふふ、うふふふっ」

「あー……。林檎ってああいうの昔から好きだったな。家に遊びに行ったときに薄い本がたくさ」「夏凛!それ以上!いけない!」


 林檎ちゃんが夏凛ちゃんの口を慌てて抑える。

 なるほどなー、と林檎ちゃんをチラ見すると、なんだかキラキラとした目で見つめ返されてしまった!うん、絶対にお断りするからね!俺ってそっち方面の趣味って無いんだから!え、今は美少女だよって?……な、無いから!

今日は早めに( ˘ω˘)スヤァ

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