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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第五章:勇者な執事と白き龍の招待状。そう、絶望が俺のゴールだ!
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2話:ハンドルを握ると性格が変わる人っているけど男の子って大体そうだよね?

 ウォンと排気音を吹き鳴らしながら黒塗りのリムジン風の装甲車がひた走る。

 うん、リムジン風なだけあってすごく長いんだけど装甲車なんだよ!窓があるけど、窓じゃなくて映像になってるってどれだけ凝ってるのかなこれ!


「暗殺防止のためって話だけど、流石に窓の一つも明けられないのは息が詰まりそうになるわね。うう、私昔から車には弱いのに……。異世界なら車になんて乗ることないと思っていたのに……うぷ」

「ああ、ダメですお母様!こんなところで出したら!」


 今にも虹色のナニカを吐き出しそうな莉愛ちゃんの背中を優しくすももちゃんが撫でてあげている。

 うんうん、いつ見ても仲のいい親子だなぁ。


「うう、ごめんなさいね、すもも。お、オウカちゃん、来る前に話していたアイスハーブティーもらえるかしら?」

「はい、こちらですね。……はい、どうぞ」


 備えつけの冷蔵庫からボトルを取り出して、サクラちゃんがコップに注いで莉愛ちゃんに手渡した。

 なんでも、スッとするハーブと胃酸の出を弱めるハーブが使われいて更には味も美味しく仕上げている薬膳茶らしい。流石サクラちゃん、可愛い!


「ごくごく、ああ、美味しい……。ありがとうね」


 何とか落ち着いた様子だけども、なんだかグロッキーといった様子だ。本当に車に弱いんだなぁ。


「馬車なんかに比べればはるかに快適だけどね。ボクが実家にいたころなんてまだ魔導車なんて無かったからそれはもう、ひどいものだったよ。悪路もそうだけど、車体にスプリングが無いから乗った後はお尻が本当に堪らなく痛くなるんだ。こんなに座り心地のいいソファもついてなかったし?」


 なんだか幸せそうにライガーが座席でゴロゴロしている。まるで猫みたいだけど、よく考えたら猫だったね、こいつってば!


「獅子だってーの!」

「はは、マタタビ嗅いだら一発でデロンデロンになっちゃう奴がよく言うよ」

「それはサンもだろ!」

「アタシだって猫系種(トラ)族だからしかたねーんだよ。最近入って来たキウイテキナモノって奴もダメだったんだよなぁー。甘くて酸味があって旨いのに、喰ったら朝になってるってヤバくね?」


 そう言えばそんなものをクロエに食べさせてにゃんゴロゴロとなってたっけ?濃縮還元ジュースとか飲んだらどうなるのかな?


「の、飲ませるなよ?興味はあるけど、飲ませたら絶対に許さないからな!」

「アタシはちょーっときになるかなぁ。アレの濃縮還元……。ゴクリ、おっと思わず唾が出てきやがったぜ」


 どうやら興味が尽きない様子だ。実のところ、その木の実の生産地がこれから行くウィンディアなんだけど。うん、きっと知らない方が幸せだよね!だから知らなかったことにしよう。そうしよう。


「そういえば椿さんの持ってるのって何かな?お土産的な何かかな?」

「ああ、これかぁ?大魔王様からの頼まれものでなぁ、パーティーの前日に行くーいう話やったから、ついでにえるふの森の塔までお届け物を頼まれたんよ。何でもオウカ様の所縁(ゆかり)のある人がおるから挨拶に行くよーに言われてなぁ」


 そう言って黒い大きなバッグをポンポンと軽くたたいた。うーん、中身は何だろう。冷蔵ボックスじゃあなさそうだから食べ物の類じゃあなさそうだし、叩いた音的に機械や武器の類でもなさそうだ。ううん、一体何だろう?すっごく中身が気になるんだよ!……開けちゃ駄目かな?ダメ?


「ダメやぁ。これは大魔王様の直々の命令やからな。いくら真人はんでもそうやすやすと開けさせるわけにはいかんのや。堪忍してぇな?」


 椿さんはそう言って申し訳なさそうな顔をする。

 むむむ、大魔王のお願い事なら気にすることなんてないと思うから開けてもいいと思うんだけど、それじゃあ椿さんに迷惑がかかるから開けられないんだよ。困ったなぁ……。


「いや、そこは困るところじゃあなくて諦めるところじゃないの?」

「いやいや、気になるものがあると調べざるを得ないじゃないか!こう、サーチ的な魔法で調べたりとかできないのかな?こう、スキャニングチャージ!って?」

「何をチャージしてるのよ!はぁ、全く。スキャンは出来ないわ。もちろん透視もね。このバッグ、見た目は普通だけど、かなりの魔術的防壁が組まれているわね。だから魔術的にサーチをしても無駄ね。たぶん科学的にもアプローチがされてるんじゃないかしら?」


 莉愛ちゃんはなんだかんだで調べてくれるところがいいところなんだと思う。うん、お願いしたら何でもOKしてくれそうでお兄ちゃんちょっと心配なんだけど?


「私の方が年上なのに何でお兄ちゃんぶっているのよ!はぁ、本当に調子が狂うわね。だけど私も少し気になるわね。オウカちゃん、何か心当たりはないの?」

「んー、私もエルフの里にある塔の魔女さんに逢いに行くのは初めてなので、中身の推測は……」


 サクラちゃんも困り顔である。

 ううん、一体全体なんだろうこれ?というか塔の魔女って?


「塔の魔女……聞いた事、ある。私が出た魔法学院……の三賢人の、一人……。その昔、大魔王と……戦った勇者様の仲間だった……とか」


 なるほど、つまるところはサクラちゃんのお母さんの仲間の一人だったと言う分けだ。

 それならきちんと挨拶をしないといけないね!うん、ちょっと逢ってみるのが楽しみだな!


「あれ、ところで林檎ちゃんと夏凛ちゃんに、ロベリアちゃん。ついでにマネちゃんは?」

「後ろで……寝てる。長旅だし、寝ておくって」


 振り向くとスゥスゥと寝息を立てる四人の姿が見えた。

 うん、なんだか突っ込みがさみしいと思ったら寝てたよ!ううん、仕方ない。起こしちゃ悪しい、静かにボケるとしよう。ところで、車を運転してるのって誰だろうね?


「え、誰って……あれ?」

「そう言えばグルンガスト様は今回は来られないと……」

「ミラさんもいないしなぁ……」


 首をかしげる面々に俺(本体)は振り向いて親指を自らに突き立てた。


「ふふ、俺だよ?お、れ♪」

「「「「!!??」」」」


 瞬間、みんなの顔が凍り付く。なんだかサクラちゃんは分かっていないのかハテナマークが浮かんでいる。ふふ、大丈夫!俺ってあんぜんうんてん?がもっっとーだからね!


「う、嘘だ!怜くんから話は聞いてるんだぞ!モノすっごい運転だったって!」

「はっはっは!いいかいライガー。この世の理とはすなわち速さなんだ!」


 アクセルを踏みしめ、一気にスピードを上げる。世界がどんどんと後ろへと流れていき、体へずんと心地よいGが掛かった。ああ、良い心地だぁ!


「うわあああ!速い!速い!前!前見ろまええ!!」

「あははははは!ライガー分かるかい?物事を早く成し遂げればその分時間を有効に使える遅いことならだれでもできる二十年もかければバカでも傑作小説が書けるらしい!有能なのは月間漫画家より週刊漫画家より日刊だって!つまり早さこそ有能なのが文化の基本法則ぅ!」


 崖っプチを疾走し、地図上の最短経路を導き出し、道なき道を疾走する。この車ならできる!出来るのだ!出来るならやらないと駄目だよね!


「そこ道じゃあらへん!ちゃう!ちゃうんよ!?どこ走ってうわああああん!?」

「だから速さとはすなわちこの世の基本法則なんだって?うん、昔のアニメでもそう言ってたし、俺の持論だよ!そうだよね兄貴ぃ!!」

「「「「「兄貴ってだれぇええええ」」」」」


 空しくみんなの言葉が車内にに木霊する。ああ、車っていいなぁ!!

いつも通り遅くなりましt( ˘ω˘)スヤァ

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