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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
メイド忍者とまかないご飯
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メイド忍者とまかないご飯4

 「おかえり、あんずねえたま。おみやげ、あるの?」


 夕刻、城にあてがわれた部屋へと帰ると、待ち構えていたくるみが抱き着いて来いました。最近は長くなってきた栗毛の髪を後ろでツー再度アップでまとめていました。ああもう、本当に可愛いです!


「ただいま、くるみ。良い子にしていたのなら、ちゃんとお土産はありますよ?」

「ん、だいじょうぶです。くるみ、とってもいいこ」


 そう言ってスリスリとまるで子猫のように私に頭を擦り付けてきます。


「ふふ、大丈夫よ。ちゃーんと良い子にしていたものね?」

「ねー」


 部屋の中、ベッドに腰かけていたパティさんとくるみがにっこりとほほ笑みあいます。どうやらとっても仲良くなってくれたようで、ほっと胸をなでおろします。


「ごめんなさい、パティさん。お休みでしたのに」

「いいのよ、今日はどうせ暇だったしね。うん、玲君とデート……じゃなくて、お買い物に行きたかったのだけど、玲君お付の勇者娘たちに邪魔されてね……。契約してるからって玲君を独占しちゃってずるいのよ、本当に!」

「ずるいらしいです?」


 ぷんすかと腰に手を当てるパティさんのマネをして、くるみもまたマネをしています。意味は全く分かっていなさそうだけど、ああもうなんでこう、可愛いんでしょう!思わずなでなでとくるみの頭をなでてしまいます。ああ、癒されますぅ……。


「うん、私の話聞いてないくらいに重度のシスコンだねぇ」

「あ、い、いえ、聞いてます。というかシスコンって何ですかシスコンって!私は普通です。くるみが可愛いから可愛いと言ってるだけですし?」

「十分にシスコンだよぅ!」


 ズビシと見事な突っ込みを入れられたのだけど、納得がいきません。それではくるみが可愛くないとでも言いたいのですか!くるみは!とっても!可愛いんです!


「うん、ごめん。言った私がバカだった。っと、そう言えばあんちゃんの他の子って今日はお休みじゃなかったの?確かお手伝いにこっちに来てるって話だったわよね?」

「ですね。工場のお仕事にかかり切りだそうで……。というか、趣味が半分以上に入っているせいでどうやらかなり熱中してしまっているらしく……」

「あーうん。そう言えば好きなんだっけ、メカとかロボとか」


 ()()()()そうなのだから仕方が無いんです!……お母様は全く持って機械とか興味を示さないのですが、父が自分の子供たちみんなに物心がつく前から工具を持たせて遊ばせていたらしくって。


「何その英才教育!?はっ!そう言えばあんちゃんの私物化なって思ってた可愛い工具って……」

「ああ、あれですか?くるみのおもちゃですね」

「女の子のおもちゃが工具ってどうなの!?」


 どうなの!と言われても私もそうだったのだから仕方がないのですが……。ううん、やっぱり普通じゃないんです?


「普通じゃないわよ!ああもう頭が痛くなってきた……。女の子のおもちゃと言えばぬいぐるみとかお人形とか……」「ドライバーとか」「そう、ドライバーとか。……うん、何でドライバーが出てきたのかな?何を回すの!?女の子だよ!女の子が何を分解するつもりなの!?」


 それはもちろん時計やらなにやらです。と言ったらパティさんが顔を両手で覆ってしまいました。そ、そこまでおかしいことだったのでしょうか!?


「じゃ、じゃあ聞くわよ?小さい女の子がするお遊びって何思いつく?」

「そうですね……。壊れた機械式ゴーレムの解体とかでしょうか?」

「何でゴーレム出てきたかな!機械式だったらロボかな!何で女の子がロボ解体してるのよぅ!」

「解体するのがとっても楽しいからです!」

「なんでさ!!」


 今度は完全にベッドに突っ伏してしまいました。そ、そこまでおかしいことなのかしら!?


「う、ううん、くるみはどう思いますか?」

「かいたい!たのしい、です!」


 ですよね!と言ってなでなでとくるみのサラサラの髪をなでてあげます。間違いなく楽しい筈なんです。私だってそうでしたし、すももだってそうだったのですから!


「あーうん、血筋なんだって理解できたわ。なんというか突っ込みどころ満載ね、本当に」


 パティさんはやっぱり頭を抱えたままです。おかしい、何で分かってもらえないのでしょうか……。


「ふしぎねー」

「そうよねー」


 二人して首をかしげる。かしげる私たちを見てパティさんも首をかしげる。ううん、まねっこでしょうか?


「そもそもな話、ロボって可愛くないじゃないの」

「え、可愛いわよね?」

「かわいい、うん、とってもかわいいです!」

「いやいや、えーとぬくもりがないというか」

「え、あったかいですよね?」

「タービンねつ、ぽっかぽか」

「そ、そうじゃなくてぇ!はぁ……まぁ今日は楽しかったしいいとしましょうか。おままごとは気に入ってくれたみたいだし?」


 どうやら今日はパティさんとくるみでおままごとをしていたそうです。ああ、見たかったなぁ……。


「うん、とってもたのしかった、です!」

「喜んでくれたなら何よりよ。でもね、くるみちゃん。ナットのネックレスに指輪はお姉さんどうかと思うの」


 ガン、とした顔でくるみが固まってしまいました。どうやらくるみの精いっぱいのおしゃれがナットアクセサリーだったようです。ううん、まぁ、おしゃれではないですね。それならもっとこう、デザインを変えてですね……。


「デザインの問題じゃあなくてね!ああもう、私帰るぅ!またね、くるみちゃん!」


 そう言っておよよ、とパティさんが駆けて行ってしまった。ああ、お土産渡しそびれました!せっかっく買って来たんですけど……可愛い工具セット。


「んー、あんずねーさま。たぶんパティねぇ、よろこばないとおもうです」


 そ、そんなことは……無い、よね?あるのかなぁ……?


 くるみの突っ込みに今度は私が頭を抱えたのでした。

今日も今日とて遅くなりまし( ˘ω˘)スヤァ

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