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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
メイド忍者とまかないご飯
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メイド忍者とまかないご飯

 カオスブラッティアー。


――それは古の科学と魔法が生み出した英知の結晶。


 基本体となるブラッティアーそのものはうち(エスティリア)で発掘されたものをお父様が改修したもの。けれどもそれは、アマチュアが研究を施してやっと動くように調整されたものに過ぎない。


「つまるところはオーバーホールで部品交換も必要で、さらにはブラッティトライブースターのレンタル費用がこのくらいですので」

「んふふふ、まって、待ってくださいグルンガスト卿。それはその、ぼったくり……ではなくて?」


 今でも思い出します。ベル姉さんの震える声と涙目を。

 うん、どう考えても頭のおかしい金額だったし仕方が無いと思うんです!ゼロがあんなに並んだ領収書、初めて見ましたし。


「ええ、支払いはいくらでも待ちましょう。もちろん利息付きですが?」

「利息!?」


 冗談です、というメイド姿のグルンガスト様は美しくもやっぱり魔王様なんだなって思ったんです。容赦なくないですか!?


 そうして、つまるところは人身御供と贖罪として私とすもも、そしてお母様はアークルへと払い下げられたのでした、マル。


「それで、こっちの待遇ってどうかしら?」

「ええと良すぎて逆に困るんですけど、ええと、うん。本当にこれって私たちは借金のかたとして贈られたのですか?」


 お掃除洗濯家事一般。お母様にそれなりに鍛えられていたせいで、こっちの領でのメイド生活が全く苦になららないんですよね。むしろ、その程度のお仕事でそんなにお給料もらって、お部屋にご飯までついていて、夜勤は夜型の方々がやってくれるからと定時で帰れちゃうんです。うん、ハッキリ言って向こうにいたころよりも待遇が良すぎて困るんですけど!

 アークル城の談話室にて、先輩たちとのんびりお昼のお茶会中。今日もご飯が美味しかったぁ……。


「気にしたら負け、ええ負けなのよ。ふふ、私なんて元々は勇者側だったの。まぁ、操られていたのだけれど、それで真人様に救われてこの領で働くことにしたのだけど、本当に待遇が良すぎて最初の頃は全くなれなかったわ。本当にもう、食べ物がおいしすぎて。違う意味でエルフの森にもう帰れないわよ」


 そう言って、エリスさんがなんだか遠い目をしていた。彼女は勇者に命じられるがままに自らの森を焼いてしまい、もう帰ることができないのだそうだけれど、うん、そういう意味じゃない気がします!


「わふん!ようやっと新人さんが増えてくれました!はい、私が先輩のアンズです!よろしくお願いしますね、あんずさん!」


 そう言って同じ名前のアンズちゃん(犬っ娘)が腰に手を当ててふんすふんすと目を輝かせています。とってもかわいくて思わず撫でてしまったけれど、うん、本人が嬉しそうだしいいんですよね?


「い、いいんじゃないかなぁ?」


 目を細めるアンズちゃんを横目にエリス


「それにしても、元々忍と聞いていたでござるが、成程動きが中々に様になっていたでござる。うむ、やはり潜入の為に家事一般を学ばれていたのでござるか?」


 梅雨先輩は大きな胸を抱えてううんとうなっている。確かにその理由もあったけれど、お母様曰く、料理洗濯家事一般はどんな身分の人と結婚するにしても覚えていて損は無いと言っていたからなんです、と言うと皆一様におおと歓声をあげていた。


「でも確かに家事は覚えていないと結婚のけの字もみえないからねぇ」

「エリスはそれで結婚を逃した口でござる?」

「ち、ちち、違うわよ!私のいた森にまともな男がいなかったからよ。大体が上から目線で高圧的で、女を装飾品か何かと勘違いしているような奴ばかりだったし」


 どうやらエリスさんの森の男たちは好みじゃあなかったらしい。でも確かにそう言った男性は私もちょっと……。


「私もそう思います。うん、ええまぁ、父の事ですがね。本当にどうしてあんなに女狂いになっちゃったのかわからないんですよね。恐らく原因は父に接触した勇者が原因なんだろうとお母様は言っていましたが、やはり女性をないがしろにしちゃう男の人って最低だと思います」

「あんた、実の父親なのに容赦がないわね」

「まともな父親ならこんなこと言いませんよ。はぁ……」


 思わず大きくため息をついてしまう。私のお母様もお妾さんなのだけれども、お妾さんにすらならず、気づいたら子供だけが増えて行っていたらしい。責任は取っていたとの話だけれども、聞いているだけでも最低です。ええ、本当に最低ですよね!!この領にも被害者な方が沢山いらっしゃって、もうすでに頭を下げて回ったけれど、本当に沢山だったんです!ああ、眩暈が……。


「もう、みんな言ってたけど、あんずが気にすることじゃあないんだからね?」

「そうそう、誰も気にしてないって。というか、死んだ人の事をとやかく言ってもしかたないしねー」


 もふん、と頭に何か柔らかいものを乗せられたと思ったら、先輩のパティさんだった。な、なんて質量!


「そう言う分けで、新人ちゃんとのお話はそこまでほらほら、もうお昼が終わるから持ち場に戻って!」


 はーい、とパティさんの言葉を返し、私たちは持ち場へと戻っていきます。

 だけれども、私は思う。


――それでもきっと、私が、私たちが贖罪をしなければならない。


 それがこの領にやって来たいみなのだろうから……。

気づいたらこんな時間になってました申し訳ございま( ˘ω˘)スヤァ

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