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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:大魔王のお姫様と新たな勇者と女子力リターンズ
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挿話:大魔王のお姫様と新たな勇者と女子力とリターンズ6

 わしゃわしゃわしゃとアワアワでもこもこもこもこと、青々な空の下、白い泡があふれ出す。プニカさんの触手は止まることなく、ものすごいスピードで洗浄し、すすいで脱水していきます。けれどもその一つ一つの工程は丁寧で、色柄ものまできれいに洗われています!


「んふー。そう言ってもらえるとうれしーなーって」


 スキュラのプニカさんがにっこりと柔和な笑みを浮かべる。アーリア姉さまの側近のスキュラのお姉さんとは違って足が全部触手さんなんです!その代わり、髪の毛はサラサラの普通の髪でした。

 プニカさんによると同じ種族でも地域によって違うのだそうです。


「もともと私たちスキュラって魔物上がりの魔族だからねー。同じ魔物から魔族になって場所で姿が変わった感じー?」


 とのこと、うん。とっても不思議です……。


「それで、その、真人くんとかそのぅ、お姫様のとこに入り浸ってるけどー。大丈夫……なのー?うん、真人くんが強いのはー。知ってるんだけど?」

「大丈夫というか、逢ってるときは本当にラブラブしてますよ?いっつもくっついてますし」

「思った偉丈夫バカップル状態ぃー!?


 触手を止めることなく、プニカさんは驚きの表情を見せている。きっと現場をみたらほっこりしちゃうと思うんですけどね。本当に見てて和むくらいにラブラブさんなんです!


「けれどー。お姫様の眼が、ねー。私ー前に見ちゃってー……んふ、気絶しちゃったから」

「プニカさんが、ですか?」

「そ、アレは大魔王妃様の葬儀の日だったねー。うん、姫様がー空っぽの棺を見たときにー、魔眼が覚醒しちゃってさー」


――それは、悪夢ともいうべき事件だったという。


 参列するほとんどは魔王でしたが、城に勤める者や一般の人々も参加していて、その総てにオウカ様の魔眼が届いた。届いてしまったそうなんです。


「ほとんどの魔王様たちは倒れこむだけで済んだみたいなんだけどー。その他大勢は気絶したりー、発狂したりー?死者は奇跡的に出ていなかったけどねー。うん、根源的な恐怖っていうのかなぁー?そういうのをじぃーっと見つめらさせられちゃったのよー」


 悪夢などと言うには生易しく、魂を抉り出すようなそんな恐怖だったそうです。


「まぁーだからぁー。あの塔には、基本的には誰ーも近寄らないの」


 洗濯物を洗い終えたプニカさんがお茶をごちそうしてくれました。ハーブティーだそうで、オウカ様が無料で提供してくれているのだとか。


「けどね、姫様自体はなーんにも悪くないの。それだけはー、みんなに判って欲しいなーって思うんだけど。最近は言った子たちはー、昔のその事件を知って、変に怖がったりー、姫様を差別の眼で見たりするのよ。こうして姫様が作ったお茶を美味しいーって飲んでるのにねー」


 あとは様々な魔道具や魔導家電なんかも便利で使いやすいと評判なんだそうです。


「それってなんだかおかしいです。だって、オウカ様ってとっても優しくて可愛らしい人なんですよ?私たちが来ると喜んでくれますし、昨日だってスコーンを焼いてくれたりもしてくれて!」

「え、何それうらやましいー」


 それなら一緒に来ればいいんですよ、と言ったら首を横に振られてしまった。


「どうしてもねー近くに行けないの。行ったら多分、私ー平静でいられない、というか、気絶しちゃう気がするし」


 オウカ様の魔眼の後遺症なのだ、とプニカさんがいいます。


「姿を見るだけで、震えが出てきちゃうの。あの人には逆らうな、逆らってはいけない。近づいても行けない。姿を見るだけで膝をつきそうになっちゃう。……大魔王様の支配の魔眼と同じものって聞くんだけどねー。うん、たぶんそれ以上の何かじゃあないのかなぁー」


 そう言って、プニカさんがお洋服を整えていきます。……あれ?さっきまで沢山あった触手さんはどこに?

 スカートから覗くのは綺麗な二つの足。触手の「しょ」の字も見当たらなくなってしまいました。


「んふー、これは乙女の秘密なのだー。と、乙女といえばー最近、ジョシリョク?なんて言葉を姫騎士たちから聞くんだけど、すももちゃんー知ってるー?」

「もちろん知ってます!女子力とは、女の子が持つべきもので、その力が強ければ強いほど女が磨かれて、婚期が近づくんだそうですよ?」

「こんっ……!?」


 まるで雷にでも打たれたような表情でプニカさんが固まってしまいました。あ、あれ?私何か変なことを言ったのでしょうか?


「な、ななな、成程ねー。こ、婚期かぁ……」

「あれ?そう言えばプニカさんって……」


 ご結婚は、と言いかけたところでハッとする。表情がなんだか死んでいます。というか目が虚ろに……!


「ふ、ふふ、じ、実家から、そろそろ孫の顔でもーって、い、いっつも言われて、い、妹は結婚したぞーって、子供もできたぞーって。お、お前の友達も結婚してたぞーって。う、うふふ、な、なるほど、ジョシリョク、それが、それがあったのかぁー」


 プルプルと涙目で震えています!

 女子力ってそこまで深刻になるほどの事だったのでしょうか……?


「すももちゃんはね、まだ若いからわからないんだよ?うん、二十を超えちゃうとヤバいの。焦るの。怖いの。こ、このまま結婚もできずにずぅーっと独り身じゃあないかなーって。しかも実際にそんなメイドさんがねーち、チラホラと」


 いるらしい。なるほど、それは確かに……。


「そう言う分けでー、すももちゃん」

「へ?」


 肩をがっちりと掴まれて、にっこりとプニカさんがほほ笑む。


「ジョシリョクについてもぉおおおおおっと、詳しく!!」


 笑顔が怖いです!怖いですプニカさん!!お、おお、教えますからぁ!

とおおっても遅くなりましたあああああ( ˘ω˘)スヤァ

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