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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:大魔王のお姫様と新たな勇者と女子力リターンズ
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挿話:大魔王のお姫様と新たな勇者と女子力とリターンズ5

 ダイエットが女子力だなんて誰が言い出したのかはわからない。

 けれども、俺は今のままのサクラちゃんでも十二分過ぎるほどに可愛すぎて堪らなく抱き着きたいんだけど、あ、うん、抱き着いていい?いいかな!


「まーくん、その、もう抱き着いてますけれど?まーくんのお膝の上で」

「はっはっは、すまないねぇ。気づいたら自然とだきしめてたや!うん、やっぱりサクラちゃん全然軽いよ。重いって言った奴はどこのどいつだい?顔面にライダーキックをぶちかまして来てあげるからさ!」

「誰も言ってないけど、その、私が気にしてるの!ほら、その……夏凛ちゃんとかライガと比べると、お腹がぷにぷにだし……」


 久々の大魔王城傍の我が家の自分の家。またまたこっそりとやって来たサクラちゃんと久々のイチャイチャタイム中。寝る前の時間なのでいつも顔につけている魔布もはずして素顔のサクラちゃんである。この素顔をみんなにも見せてあげたいけど、残念なが見せられないから俺が存分に愛でておくことにする。うん、可愛いな!

 薄い寝巻の上からサクラちゃんは自分のお腹ぷにぷにしている。ううん、見るからにぷにっと感がわかって、なんだかエロ可愛い。けれどもポッチャリと言う感じではなく、本当に女の子らしい柔らかさの範疇に収まっていると思う。うん、比べる基準が間違っているんだよ?夏凛ちゃんは鍛えすぎだし、ライガーは鍛えるのがお仕事だからね!ライガーの場合は細身過ぎて女の子に見えなくもないからもう少し鍛えちゃってもいいと思うんだけどねぇ。


「そうですか?でも、私どうしても気になっちゃって……。お腹がぷにぷにだとまーくんに嫌われちゃうんじゃないかって」

「嫌いになんてなるわけないじゃない!うーん、まぁでも最近はお部屋で机に座ってることが多いみたいだし少しくらいは体を動かすのも健康にいいかもしれないね」

「健康のため……」


 そうそう。健康的なのは美しさにもつながるんだよ?まぁ、ほどほどが一番だけど。うん、運動しすぎてマッチョになるのは……うん、嫌いじゃあないけど、俺は!今くらいが!丁度いいかなぁ!


「な、なるほど……つまり今くらいを維持できれば……。でもアリス姉さまみたいにお城の中をランニングは出来ませんし、お庭を走るのもすこし気が引けますし……。はっ!そうです!同じところでずっと走り続ければいいんです!前に漫画で見ました!ランニングマシンがあれば室内でも運動が出来るんです!」


 目をキラキラと輝かせながらサクラちゃんがガッツポーズをとっている。なるほど、それならながら運動もしやすいし、普通に運動をするより続けやすいのかもしれない。……けれども、まだこの世界にランニングマシンなんてものがあった気がしないんだよね?確かに運動器具はあるけれど、だいたいダンベルとか重りとかつけて運動するくらいだし?


「そう言えばトレーニングマシンなんてものがまーくんがいた世界にはありましたね。アニメなんかで普通に出てたからあんまり気にしていませんでしたが……。なるほど、トレーニングマシン……」


 ブツブツと俺のお膝でサクラちゃんは考え込んでしまった。ううん、しまったなぁこうなってしまったらサクラちゃんは中々戻って来てくれないんだよね。少しくらい悪戯しても振り向いてくれないんだよ!

 試しに、ほっぺたをツンツンとしてみる。……反応なし。

 頭をなでなでして見る。反応は……うん、なんだか心地よさそうだけど気づいてなさそう?

 お腹……はやめておいて、そのままぎゅっと抱きしめる。華奢で、俺の腕の中にすっぽりと収まってしまうくらい。年齢は十七の俺とそう変わらないくらい。可愛くて、頑張り屋さんで、優しくて、少しおっちょこちょいで、やっぱりかわいい。寂しがり屋さんで、こうしてくっついてるだけでも幸せだって言ってくれる。うん、どう考えても俺ってサクラちゃんにベタ惚れだね。困ったな!困らないかな?


 サクラちゃんの横顔を眺めながら、ふと思う。


――もし、サクラちゃんがいなかったらどうだったのか?


――もし、俺が大魔王城じゃなくて、普通に人の国に召喚されていたらどうだったのか?


――そして、もし、勇者として魔王オウカと戦うことになっていたら――


 頭を振って、息を吐く。


 そうでなかったことを考えても、どうしようもないよね!過去は変えられない。というか、俺の意志で大魔王の間に召喚してもらっていないんだよ!どうすることもできないよ!死んだら大体またすぐに死ぬんだよ!本当にどうなってるのかな神様!うん、でもサクラちゃんに逢わせてくれたのだけは感謝するよ神様!ありがとう!!


「あっ。……うん。その、ま、まーくん。その、顔……」

「ふふ、やっと気づいてくれた」


 ぎゅーっと抱きしめながら頬をスリスリしていたんだけど、戻って来たサクラちゃんは顔を真っ赤にしている。ああもう本当に可愛いなぁ!


「……えと、その。ちゅ、ちゅーしても……いいんですよ?」


 真っ赤な顔のままサクラちゃんがもじもじしている。


 ……これは、これはチャンスなのではなかろうか?

 

 部屋には二人きり。

 外にはサクラちゃん在中!と書いた札を出している。うん、もしもの事を考えた安全策なんだよ?

 つまり、邪魔する人は誰もいないわけだ。


 ごくり、と思わずツバをのむ。


 そっと目を閉じるサクラちゃん。唇をこちらに向け――顔は林檎のように真っ赤で可愛い。

 ここは行くべきだろう。行かねば男じゃあない!


 サクラちゃんの頬に手を添わせ、顔を近づけ――


「余が!来た!!」


 バンっと扉が開かれ、現れたのは大魔王だった。うん、こんな夜更けに何しに来てるのかな!


「はっはっは!何を言う!夜はこれから!ほれ、夜通しクラヒを……あれ、その、サクラ?なんで魔力を練っておるのだ?うん、その、流石にそれは余でも割と痛いというかきついというか……」

「お父様の……お父様の、ばかああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

「待ってサクラちゃんそれ部屋で撃っちゃあ!?」


――それは絶対零度の氷獄魔法。


 つまるところはブラスティングフリーザ。一撃必殺……的な?うん、相手は大魔王であろうとカッチコッチに凍っちゃうんだよ!こ、怖いな!


「ぐす、せ、折角、この上なく、まーくんといい雰囲気だったのにぃ!ふぇぇ、ま、まーくぅーん!」

「うんうん、本当に空気の読めない大魔王だよねぇ。そう言う分けで、そこでしばらく凍ってるといいんだよ。多分そのうち自力で抜け出すだろうし?」


 泣き顔のサクラちゃんをなだめつつ、自分の部屋へと返してあげる。俺もついていきたいけど、たぶん今度はアリステラさんが来る気がするからやめておくんだよ!

 はぁ、本当にもう少しでワンステップ進めたのになぁ……。


「はっはっはっ!余は真人にとって、とっても迷惑な存在なのだ!」

「うん、本当にはた迷惑だったね!そう言う分けで、俺はリビングでのんびりゲームしてるよ」

「あ、ま、まって。頑張って今溶かしてるから!もう少し、うん、一時間くらい待ってくれたらうれしいな!」


 がんばれーと手を振って俺はそっと扉を閉めた。

 なんだかシクシクと声が聞こえた気がするけど、大魔王が泣くはず無いしきっと気のせいなのだろう。うん、気のせいだね!

お仕事行く前に颯爽と( ˘ω˘)スヤァ

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