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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:大魔王のお姫様と新たな勇者と女子力リターンズ
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挿話:大魔王のお姫様と新たな勇者と女子力とリターンズ3

 大魔王城、桜の大木の生えた塔。


 私の魔眼の力を放出しても外部に漏れいでないよう、強固に組み上げられた結界の施された私だけの箱庭。

 頑張って一人でお手入れして、花畑みたいと言われているみたいだけれども実際は薬草が大半だったりするのはここだけの話。お薬にもなるし、可愛いんです!そして中央部には全体が見渡せる屋根付きのベンチが備え付けられています。

 まーくんが来てくれるようになってから、姫騎士の皆さんとまーくんの部下になった勇者のみんなとも仲良くなって、寂しくなくなったお庭。こんなにも賑やかになってくれて私はとっても幸せなのです。

 けれども今はそんなことを言っていられない。おいっちにーさんしーと姉さまにお願いした女子力講座パートツー!その名もアリス・イン・ブートキャンプなのです!

 最近気になりだしたお腹周りのお肉をすこーし、そう、ほんのすこーしだけ落とすお手伝いをお願いしたのだけれども!思ったよりもきつくて辛い!というか!姉さま!ペースが速すぎます!!


「ほらほら!足が止まっているわよサクラ!はい、ワンツー!」

「わ、ワンツー!ワンツー!ひ、ひぃーん!」


 お腹のぷにぷには一にしてならず!ぷにぷには一日にしてなくならないともいう。うん、とっても頑張らないとちっとも落ちてくれないんです!頑張れ私!綺麗になってまーくん褒めてもらうんですから!


「貴女って割と頭が悪いのかしら」

「そう言いつつも莉愛さんも参加されているじゃないですか!」


 そう、私と同じくスパッツと、燃やせ脂肪!と大きく書かれたシャツを身に纏って莉愛さんもこのキャンプに参加してくださっています。なんでもまーくんがこっちに滞在するので、その間メイドのお仕事や書類仕事のお勉強をするのだとか。その合間を縫って最近の不摂生でついてしまったというお肉を落としたいのだそうです。やはり、そうなんですね!女子力とは!ダイエットと見つけたり、です!


「うん違うんだけどね!ダイエットが女子力ってわけじゃなくって!ワンツー!お腹のお肉は!女子力の大敵なの!綺麗で可愛い買ったばかりのお洋服がきつくなってきたのは!もう見逃せないの!ワンツー!!」


 林檎ちゃんもスパッツ姿で参戦中。流石は現役の勇者さん!動きのキレが私と全然違います!


「ダイエットなんて七面倒なことよくやれるよ。……ん!このパウンドケーキ、うめぇ!」

「ふふふ、教会の子供たちにいつも作ってあげていたキャロットパウンドケーキなんです。健康にも良って美味しいって評判だったんですよ?」


 にこにこと莉愛さんの娘さん――すももちゃんが夏凛ちゃんに作って持ってきたというお菓子をふるまっていた。いつの間にやらロベリアちゃんも苺ちゃんも、さらにはエルゥーシーちゃん集まってパウンドケーキにかぶりついています。ああ、甘い香りが……。


「これには温かいミルクティーがとってもあうんです!」


 可愛らしい笑顔を振りまきながらすももちゃんはみんなにはちみつたっぷりのミルクティーを配っていきます。ああ、なんて美味しそうな……。じゅるり!


「その、私もいただいても――」

「お母様はだめです!」

「!?」


 あ、莉愛さんがものすごく驚いたかおで固まってます。うん、そりゃあそうですよね。莉愛さんがブートキャンプに参加されてる理由って、すももちゃんに薦められてって話でしたし。


「最近おなかのお肉がついて着てるじゃないですか!お腹にくるみがいたからというのは分かるのですけど、今はもうお母様のお腹にいないのですから栄養の取りすぎはいけません!その、真人さんにお世話になってるのですから、もう少し、こう、気にされた方が……」

「はぁ、なんでダイエットに真人の名前が出てくるのよ」


 体を動かしながら莉愛さんが応える。百八十度の見事な開脚!や、柔らかいなぁ……。アイタタタ!


「お母様も私も姉さまも真人さん助けられた恩があるんです。それなら何をしてでも返さなければいけません。お話によると、その、お母様も真人さんに悪い気はないようですし?」

「い、いやいや何を言っているの?その、確かに恩は感じているけれども、真人はあの人の仇なのよ?なのにそう見えるのは――きっとこれのせいね」


 そう言って、莉愛さんは自分のからだに刻まれた魔紋をそっと撫で上げます。

 魔王バアルに出会う前、魔物に捕らえられてつけられてしまったらしいその魔紋は今はまーくんが主となっています。


「ああ、アタシらにもそいつはあるけどアイツその効果のほとんどを封印してるって言ってたぞ?」

「へ?」

「そうそう、好きな人ができたらその人に気兼ねなく譲っちゃうからかその時は言ってねって」

「はぁ!?」

「真人……さん、そういうところ、結構……律儀」


 莉愛さんが頭を抱え、ため息をついています。うん、確かにまーくんならそうすると思うかなぁ。


「お母様、そろそろ認めてもいいんじゃないですか?真人さんのこと、もう恨んでなんかいなくて、むしろ――」

「それ以上はなしよ、すもも。確かにその通り……なのでしょう。だけど、それは認められないの。認めちゃだめなの。誰が許してくれても、私が許せないのだから」


 そう言って、莉愛さんの顔に影が差す。

 そりゃあそうだよね。大好きな人を殺した人に、救われて、助けられて、娘たちや大好きな人が大事にしたものまで守ってくれた――なんて私だって同じ立場でしたらきっと認められないと思うんです。


「もう、そうやってまた意地はって……そんなこと言ってると私がお妾さんになっちゃうんですから」

「ん……?は、はぁ?!な、何を言ってるのすもも!ま、真人だけはやめておきなさい!そう、ダメよ!選ぶんなら……ほら、ライガさんなんてどうかしら?彼って結構イケメンだったと思うわよ!」

「お、お母様、ライガさん女の人です……」

「そうなのぉ!?」


 どうやら本当に気づかれていなかったみたいです。確かに、見た目は男の子っぽいですものね、ライガさん。


「ふふふ、お話はそろそろおわりましたか?」

「あ」「え?」


 振り向くとアリスお姉さまがとってもいい笑顔をしていました。


 うん、忘れていませんでしたからね!きちんと柔軟頑張ってました!ちっとも曲がらないですけど……。あ、ね、姉さま?そんなに強くおさないああああああ!!??痛いよぉ!!

とおっても遅くなりましたああああ(((( ˘ω˘)スヤァ

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