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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第四章:勇者な執事と海と水着とバカンスと。バカンスはお仕事と見つけたり?
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閑話

『――そうか、計画は失敗したか』


 暗がりの中、水晶から嫌いな男の声が響く。

 ここは各地に点在する俺の隠れ家の一つ。仕事をようやっと終え、今はこのいけ好かないおっさんに報告をしているところと言うわけだ。ああ、こいつに耐性さえなければ噴水のモニュメントにでもしてやるのに!いや、汚いからいらねーか……。


「ま、実験は成功だったみたいだがな。魔王の血筋の魔石で魔王の肉体を疑似的に作り上げることはできていたみたいだったな。まぁ、何でかロボが出てきて吹き飛ばしていたとか目撃者はいってたな」

『ロボ……まさかグルンガストが――』

「赤い色って話だからそれはどうだろうな?アイツは白色を好んでいたと思うけど……。はは、それにしてもあの女がこちら側に来ていないのを見るに、魂事消滅させられたかな?アイツら母娘(おやこ)が便器になって泣き叫ぶさまは、いやはや楽しみにしていたんだがな」


 ケラケラと笑いながら奴の反応を見るが、どうやら興味はなさそうだ。


「そんで、問題が一つ」

『何だ?』

「そのロボの他に、太陽みたいな光で化け物を切り裂いた奴がいたと言う証言が」


 糞男の目の色がギラりと代わる。ああ、きっと興味を持つだろうと思っていたさ。


「その光に当たった化け物は灰みたいにボロボロになって消えちまったって話でね。はは、まさかとは思うが――」

『聖剣――』


 今から十年以上も前、とある勇者が大魔王討伐の為に掲げて戦い、そして喪失されたと言われるその剣。一振りにて魔王をも屠ることが出来ると言われる「この世界の答え」と言うその剣。

 ()だけはこちら側に残されているが、それだけでは使うことは叶わない。言ってみればあれは――


『ともかく調べろ。あの剣は勇者の手にこそあるべきものだ。』


 アイツは言うだけ言うと通信をブツリと切った。ヤレヤレ、早い男は嫌われるんだぞっと。


「さてはて、どこから調べてものかね。……まぁ十中八九、噂だけ流れてる魔王オウカの執事――昏き勇者マナトって奴が持っているんだろうが、おらどうだ?なんか知ってるか吐け!」

「ひんっ!?」


 尻に敷いていた裸の椅子に向けて手をふるうとペチンといい音が響き、悲しみの声を上げた。げひ、いい音だなぁ!


「そんなの、知るわけが無い!アタシは、仕事を請け負って行って失敗して――」


 そうそう、一瞬で砂浜で地下洞窟に落とされて、何とかもがいてたところをどこかのバカがチートを使って脱出しようとして見事埋もれて死んだ……いうなんとも情けないことになったのだ、と言ってはいるがその一瞬でも見ているはず。しかしいい女だ。まぁ、女勇者は神が選んでるだけあって美人ばかり。狙うなと言う方が間違っているんだよな!こいつは頭は悪いが顔も能力も悪くない。まぁ、そこそこの拾い物だった。


「くそ、くそう!早くアタシらを開放しろ、このゲス野郎!こんな、アタシらを辱めて!この、動け!うご――」

「いいからほら、でかい尻を振ってないでさっさと思い出せ」


 パチンと、指を鳴らす。


「――あ。ぅ、あ、か……仮面と、アロハ……シャ、ツ」

「……なんだそりゃ。そんなの情報にもなりゃしねぇじゃねーか!ほら、他の奴らはどうだ!」


 もう一度指を鳴らし、部屋の()()()()()と化していた今回の作戦に参加していた勇者どもが口を開く。


「た、短パン……アロハ……」「な、何で……ビーサンなんて……」「ふえ、ふえる、ふえるワカメじゃあるまいし……」「あ、アイエエエ……なんで、なんでっ!?」「窓に、ああ、窓に!」


 ダメだ、こいつら何にも使えやしねぇ!まぁ、趣味で女勇者にばかりに尋問してるせいで情報が偏っているのだろうけど、まぁいいだろう。二度目人生!趣味に生きて何が悪い!うん、悪くない!いひひ、俺は何も悪くない!俺は正義側、何をしても許されるんだからなぁ!


 ともあれ、マナトってやつが今回の件に加担してるのは間違いねーだろう。……しかし、これ以上調べるってことはアークルに……最悪、大魔王の領に潜入する必要が出てくるってわけだ。


「ああ、めんどくせぇなぁ!まぁ、あっちじゃ獣人の亜人どもに魔人も多い。久々にそっちで楽しませてもらうとするかね。そろそろ新しく奴隷のバリエーションを増やしたいと思っていたとこだしな!おら、ゴミども!使えないお前らは俺が飼ってやる!うれしいか?うれしいよな?ははは、()()()()()()()()()()()!せいぜい俺の為に情報と金を集めてくるんだぞ」


 いくつものすすり泣くような声が部屋に響いた。これからの自分たちの未来が分かってしまったのだろう。ああ、お前らは俺が飽きるまでずぅっと俺の奴隷ってわけだ。ああ、消えないように印も刻んでおいてやるからな!いひひ、喜べよゴミども!


 そうしてまた俺の手足を増やしていく。俺が潜入するのは最後の最後、事が終わるときだけだ。俺は絶対に危険を冒さない。犯すのは女だけだしな!だから手ごまを増やして、増やしに増やして、情報を金を女を手にする。



――さぁて、今度はどこから楽しんでいこうか?いひひ。

今回は一日早めに……!


これにて四章は完結となります。

ご覧いただきありがとうございました。


いつも通り挿話をいくつか挟んだのち、五章へ入りま( ˘ω˘)スヤァ

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