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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第四章:勇者な執事と海と水着とバカンスと。バカンスはお仕事と見つけたり?
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39話:ロボの合体変形って現実的には無理無茶だろうけどやっぱりいいものだよね?

 空を蹴り、空を走る。うん、何度も言ってるかもしれないけど飛べないから走るしかないんだよ!


 魔獣ゼブルは怒り狂ったように魔力砲を放ち、眼下の庭も、城も、ほぼ跡形も無く吹き飛んでしまっている。ふふふ、おかしいな砲門増えてない?さっきまで二つだったビームは気づけば三つに増えてる気がする!放っておけばまだまだ増えそうだな!ヤベーイ!


『きゃわわわぁー!待って、こっちに砲撃を向けないでくださいまし!障壁で防げるのだけど、それでも怖いから!こわいのですよぉ!』


 タンクに乗ったアーリアちゃんの悲鳴が聞こえるけれども、こっちは構ってあげる暇なんてまるでない。翔けて駆けて、躱して避けて、飛んで跳ねてのアクロバティックな動きで空を走る。木札はあと四つ。無駄撃ちは出来ない。


『それで真人!リリアとあの化け物、引きはがせる充てはあるのかしら!あれ、どう見ても魂が癒着していない!?』


 空から響くベルの声。そう、単純にリリアさんを魔獣の胸部から切り落としたとしても解決しない。アレが死んで、教会で復活したならばきっと今の状態で復活して元の木阿弥になってしまう。だからあの魔獣を殺しても、リリアさんをただ切り離しても解決しない。けれども――


「あるさ。ああ、ある。今この手に」


 手にあるのはその答え(ジ・アンサー)。すべてを断つ聖剣。


『なら、私たちがやることは一つ!アイツの動きを止めるわ!』


 ベルの乗った機体が反転し魔導バルカンをバラまいて魔獣ゼブルをけん制する。


『きゃああ!でも、お姉さま。ブラッティアーではパワーが……』『ええ、圧倒的に足りません!』


 ゼブルに組みかかったブラッティアーが軽く吹き飛ばされ、悲鳴にも似たすももちゃんとビオラちゃんの声が聞こえた。うん、確かにその通りだ。初撃は良かったのだけれども、それ以外はどう考えてもベルたちが現れなければ確実に押し負けてちゃてるしね!


『そんなこと百も承知!だから……合体よ!!』


 ん?今何と言ったかなベルさん?がったい……合体だとぅ!?やっぱりするのね!!


『ペシテ!合体にアレを巻き込んで動きを止めるわ!そこから一気に畳みかける!真人は離れてて!』


 ベルの機体(ブラッティアタッカー)ペシテちゃんの機体(ブラッティガードナー)が、すももちゃんビオラちゃんの乗ったブラッティアーをぐるりと囲むように飛び回ると魔力障壁が球体を描きながら取り囲む。


『ガードナー!浮上、ですわ!ええと、弾幕、弾幕!』


 アーリアちゃんの乗った機体(ブラッティタンク)はブースターを点火し、ゆっくりと空へと上がっていき、そのシールドへと入っていく。うん、弾幕張るのは良いけど、ミサイルこっちにも来てるから!危ないよ!あぶなあああああ!


『あ、当たった?』『ぎりぎりで躱していますわねー』『『ま、真人さああん!?』』『離れてて~』


 割と本当に危なかった!走って躱して躱しきれなくて思わず木札を一個だけ投げるくらいに危なかった!純粋に火力が高いよタンクさん!!


『ともかく、行くわよ!!』『『『はい!!』』』


 ベルの掛け声とともにアタッカー、ガードナー、タンクが展開していく。


『こちらブラッティアー!合体プログラム、インストール開始!完了まで二十!すももちゃん、シークエンス開始を!』

『かしこまりました!合体シークエンス起動――開始!』


 タンクがレーザーの誘導に沿ってブラッティアーの足と合体し、機械音と共にその形が巨躯の足へとカタチを変える。


「ガアアア!!!」


 最早赤子の声すら忘れたゼブルは、まるでじゃれつくがごとく障壁へと突進を加えているけれども、逆にそのシールドへと取り込まれて動きを封じられてしまっていた。なるほど、このシールドでさっきまでのゼブルの魔力砲を弾いていた訳ね。そりゃあ固いわけだ!


 アタッカーが上半身を覆うように形を変え、接続し肩と腕に形を変えたガードナーから手首、そして紅の1本角の生えたメットがブラッティアーの頭へ装着されマスクが口へ覆いかぶさり、全工程を終える。



――それは紅の鋼鉄の巨人。



――邪悪を打倒す、勇気の力。うん、乗ってるの魔王の子供たちだけど?



『『『『『完成!カオスブラッティア!!』』』』』


 障壁がはじけ飛び、その巨体が姿を現す。


 合体は男の子のロマンだよ!ああ、あの巨大ないかにもな感じなロボ感がたまらなくいい!戦隊ロボ的な、なんとも言えないゴツゴツとした感じがとっても素晴らしいんだよ!


『すももちゃん!』『任せてください!はああああ!』


 可愛らしくも勇ましい掛け声とともに全身のブースターを吹かせ、魔獣へと巨体を躍りかからせる。しかし、ようやく痺れの取れたゼブルが至近距離で魔力砲を解き放ったのだった。これは――


『アクア・ブラッティシールドですわぁ!って、ブラッティっているのかしら?これほぼ私の魔力障壁なのだけど。うん、強化はされてるけど?』

『いいから集中!』


 なんだかアーリアちゃんとベルが仲良くなってる気がする。うん、俺も集中しよう!魔力砲の拡散が掠めたんだよ!怖いな!!


『エネルギ~しゅ~ちゅ~』

『だぁあああああああああ!!!』


 魔獣バアルへと掴みかかったカオスブラッティアがは高速で飛び回りながらバアルの関節を極めて動きを止める。


『真人おおおおおおおおおお!!』


――ベルの声が聞こえた。


「聞こえたぞ。ああ、()()()()()()。俺は答えた。目の前の護りたいものを護るんだ!お前の力を見せてみろ――!」


 最後の木札を全部切って風を纏って吹き飛んで、勢いのままに突き進む。狙いは一点、ゼブルの障壁に守られた彼女。


 ただ切り離すだけでは駄目だ。殺してはダメだ。()()()()()()()()()()


「この(えにし)を断ち切れ!ジ・アンサああああああああああ!!」



――無限流/刃/奥義ノ弐/天之尾羽張(あまのおはばり)



 瞬間にて霊力を纏った刃を一瞬にて十閃をも(はし)らせ、障壁ごと魔獣とリリアを切り放つ――!


 それは、勇者でも、魔王ですらできるはずのない神域の力。ぐちゃぐちゃ混ざりあったゼブル(魔獣)とリリアさんの魂を切り分かつ奇跡の一刀であった。ああ、だけどこれはそれ(聖剣の力)だけじゃあ――





 おぎゃあ、と可愛い声が聞こえた気がした。

今日は早めに。

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