38話:残業代がでるから休日出勤もいいじゃないと言うけど休みってお金に代えがたいものよね?
閃光が空を切り裂き炎が奔る。
魔獣が狙うはブラッティアー。うん、俺の事を完全に無視して敵認定してくれてるみたいだね!
寸でのところで、八咫鏡で防ぎきる。魔力砲も効率化されてきてて、リリアさんの圧縮詠唱すら省略されて放たれている。これ、親子の二重奏な同時で放てるようになって来てないかな!
「うん、マジで危ないと言うかやばいというか!ねぇ、すももちゃん!そっちビームシールド的なのって無いのかな?というか武装は無いのかな!」
『ぶ……そう?拳があります!』
「それ以外で!」
『あ、えっと、ナイフがあります!あとは……特には……』
ビオラちゃんが代わりに答えてくれたけど、ふふふ、それってほとんど丸腰じゃないですかやだー!
『だけど、時間稼ぎくらいには!』
そう言ってブースターを奔らせてナイフを煌めかせる。ただのナイフといえど、それはロボが持つサイズ。大きさで言ってしまえば人ほどの大きさはある。更に刃には魔力が通っており、超速で刃が回転している。ナイフという名の電ノコさんだよこれ!
だが、その刃は通らない!
『か、固い!?』『違います、リリアさんが圧縮詠唱で――』
ガキンと金属がはじける音がしてブラッティアーは二階建のビル程もあるその巨体を軽く吹き飛ばされる。
『きゃ』『く、ぅうう!』
「二人とも!って、ああもうまだまだ湧いてくるのね!」
倒れた二人を心配したいところであるが、まだまだどんどんワラワラと魔獣ゼブルの分体たちが増えていく。うん、目を少し話したらまた増えたんだよ!
手元の木札を確認する。二十……五はあるかな!割と微妙であるが、これで何とかするしかない。
木札を切って自らの分身を増やして、サイズダウンした分体へと切りかかる。小さくなってはいるがその能力はそのまま据え置きらしい。これ放置したらもっと強くなりそうで怖いな!
『こいつら、取りついて――』『噴出孔に侵入!ブースター点火!よし、吹き飛ばせました!』
羽の乾いていない分体たちは空を飛ぶことはできない。だからブラッティアーはブースターを吹かせて空へと舞い上がる。
「ダメだ、ビオラちゃん――!」
空をゆっくりと飛ぶ巨体なんてものは、単なる的でしかない。
オギャアと楽しそうに笑う魔獣は咆哮と共に二重の閃光を解き放つ。
『おーほっほ!そうはいきませんわぁ!』
青い光が放射され、展開されたのは水のベール――これは魔法障壁!
放射されたその光は障壁に拡散され、ブラッティアーにかすり傷すらつけることは無かった。
「今のは、ま、まさか!」
空の遥か彼方。高速で飛来するのは巨大な鳥――いや、飛行機だった!
『え、えと、ブラッティトライブースター推~参~……にゃ?』
その機体からドップラー効果マシマシで通りすがりに聞こえてきたのはペシテちゃんの声だった。え、ペシテちゃんも乗ってるの!?
『私もいるわよ、私も!』『はぁ~い、真人さん♪私たちもお助けに参上ですわぁ!』『にゃ~』
どうやらベルにアーリアちゃんにペシテちゃんまで来てしまったらしい。というか、どこかで見たことがあると思ったらサテラさんのブラスティアの支援マシンじゃないか!いいな、俺も乗りたい!前にお願いしたら魔石持ちにしか使えないって言われてお断りされちゃったんだよ!ぐぬぬぬ!
『まずは雑魚を掃討するわ!アーリア、下からお願い!ペシテ、あの魔獣の意識をこっちに向けさせるわよ!』『諒解ですわぁ!』『はぁ~い』
魔力光がブラッティトライブースターから発せられた瞬間、その影が三つに分かれる。一つはタンクに、一つは戦闘機に……もう一体も戦闘機だった!
高速で動き回る二機の戦闘機は小型の魔力砲を発しながら魔獣へと接近していく。
地上では、ブースターで地上へ降り立ったタンクが砲身をこちらへと向けて……。うん、待ってねアーリアちゃん?俺いるよ?いるからね?い、いるんだからね!!
『はい、しっかりと避けてくださいまし☆』
まし☆と、かわいらしい声が聞こえた瞬間に爆音が響き渡り砲身から魔力弾が放出される。やばい奴だよ!アレ当たったらやばい奴だ!!慌ててダッシュで逃げ出して、何とか着弾点から回避する。けれども見事に爆風に巻き込まれて宙を舞う。だーかーらぁー!!
『二射目、いっきまーす☆』
「ぬ、ぬぁーん!」
追撃の爆風から逃れようと木札を追加で切って空へと逃げ出して、空の飛行機に乗る二人の放つバルカンが頭を掠めた。うん、慣れてない武器をみんな使ってるせいか標準が甘くないかな!甘いだけだよね!
『ふふふ、どうでしょうねー』『ごめん~』
『べ、ベルお姉さま遊ばないでください!』『すももちゃん、前、前!』
うん、すももちゃんは癒しだな!
二機の戦闘機が魔獣ゼブルが逃げ回るのを追い立て、ブラッティアーが蹴りをかまして少ないながらもダメージを与えている。初出撃にしてはなかなかに連携が取れている。ゼブルの胸にいるリリアさん周りには圧縮詠唱で特に固い障壁が張られているらしく、それならばと気兼ねなく打ちまくっているようだ。それでも容赦ないな!
ともあれ、ここが勝負所――!
「さぁ、――応えろジ・アンサー!!」
それは聖なる剣。すべてを断つ勇者の剣――!
――無限流/刃/奥義ノ壱/武御雷!!
残った八尺瓊勾玉の力を纏った剣閃が奔り、目の前のその全ての分体を飲み込んで、諸々含めて吹き飛ばしていく。
『な、なんて火力……!』『人の出せる火力を超えてますわぁ』『か、格好いいです!』『はい、真人さんですから!』『にゃ、にゃ!?』
驚きの声が聞こえているけど、まだ終わりじゃないからね!
微妙に間に合わなくて申し訳ありまs( ˘ω˘)スヤァ