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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第四章:勇者な執事と海と水着とバカンスと。バカンスはお仕事と見つけたり?
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24話:ひらひらと空飛ぶチョウチョって意外と虫取り網で捕まえるのって難しいよね?

 まぁ、ともかくとして俺はこの子を殺すつもりは毛頭ない。うん、小さい子が好きだからとかそんな理由じゃないからそんな目で見ないで欲しいな!


「けれども、すももちゃんが魔王になるのだけはダメだ。まず能力が足りていないし?」

「うちの子が弱いっていうの?」

「ね、姉さん……」


 ギロリ、とあんずちゃんが俺を睨む。気持ちは痛いほどにわかるけれども、すももちゃんがアワアワしてるから落ち着いてね?うん、可愛いな?


「魔石の大きさだよ。すももちゃんは確かに魔石は持っているんだけど、大きさがあんまりにも小さい。つまるところ持ってる魔力量が少ないから魔王になろうと考えてもまだまだ無理だってわけ」


 つまるところは実力不足。恐らくは箱入りで育てられてきたせいで魔石を取り込んでこれなかったのだろう。だからこんなにも純真で純粋に育っている。うん、ペシテちゃんもアーリアちゃんも同じ理由で魔石が育っていない。ベルの場合は自己鍛錬を欠かしていなかったから他の子たちよりも魔石がきちんと育っている。


「魔王としての判定は魔石によるものが大きい。もちろん他の諸々の条件もあるんだけど、まずはそこなんだよ」


 より強大な魔石を持つものが魔王となる。というか、魔石もちは強くなると魔石が大きくなるんだよ?

だのに、その大きさじゃあ魔王になるのは何年後になるのやらと言う感じである。

 うん、ロベリアちゃん?別に胸のことは言ってないからね!分身のお膝のライフはもうゼロよ!いたぁい!


「それは、お父様の魔石さえあればすべて解決するわ!」

「バアルの、魔石……?」

「ええ、次代に魔王となる者は先代の魔王の魔石を取り込みその力を自らのモノとすると聞くわ。それならその点は解決するでしょう?」


 と、ドヤ顔であんずちゃんが言う。

 確かにその通り。血縁継承していく魔王は死した先代の魔王の力を魔石を取り込むことで受け継いでゆく。だけどね、それは不可能なんだよ?


「なにを、言って……」

「簡単な話さ。バアルの魔石はもうこの世にない。あの戦いの中で消し飛んじゃったし」


 そう、最後の最後に放った聖剣とブラスティアの一撃にて魔石ごと消し飛ばしてしまった。だから、バアルの魔石はもう無い。あるわけがないんだよ?あればもう少しね、生活が潤ってるんだよ?他の魔物たちの魔石も一緒にほとんど吹き飛んじゃったから実入りはほとんどなかったんだよ!悲しいな……。


「そんな、馬鹿な……。じゃあ、あれはお父様のじゃ……?」

「あるのなら多分別の誰かの魔石か、それっぽく見せた別の何かじゃないかなぁ」


 なるほどなるほどと心の中で独り言。どうやらすももちゃんが魔王候補として立候補したのはその魔王バアルの魔石(仮)があったからのようだ。まぁ、そうでなければすももちゃんを魔王に使用だなんてこの子の母親ユウシャも考えないだろう。……けれども、なんだろう。何かが引っかかる。


 そもそもな話だ。魔王バアルの魔石があるのなら――


「そこまでよ」


 振り向くと甘栗色の長い髪を一つにまとめた少女がそこにいた。身に纏ているのはクロアゲハをモチーフにしたかのような割ときわどめな衣装で、同じく蝶をイメージしたかのような杖をその手に携えていた。そして、その顔はあんずちゃんとすももちゃんと瓜二つ。うん、彼女が噂の二人のお母さんユウシャらしい。美人というか可愛い系?見た目はどう見てもあんずちゃんと同い年くらいだよ!というかエロいな!やっぱり年取らないのね、ユウシャって……。


「本当に使えない子。いらない貴女を使ってあげている私の身にもなってくれるかしら?」

「あ、主様、申し訳ございません」

「お母様、違うんです!姉さんは……!」


 片膝をつき、あんずちゃんは母を主様と仰ぐ。ううん、なんだかとっても複雑怪奇で摩訶不思議な家庭環境みたいだね!


「そういうわけで初めましてユウシャさん?それともお母さんと呼べばいいのかな?それともおかあちゃん?」

「いつ私が貴方のお母さんになったのかしら?それにしても、ふぅん。貴方がバアルを倒した魔王オウカの部下のユウシャというわけね。その()()の下の素顔は見せてはくれないのかしら?」

「仮面?いつの間に?!」


 うん、悲しいかな俺ってば魔王(サクラちゃん)側の勇者だしね?向こう側には顔はあまり晒したくないんだよ!そう、情報は武器なんだよ!うん、割とオープンだけど?ふふふ、なんだかライオンさんが飛び出てきそうだな!


「申し訳ないけれども、俺の素顔は安くなくてね?ふふ、忍者だからさっきの顔も実は変装していた顔なんだよ?」

「なんと!?」


 本当は素顔だけどね!さすがあんずちゃん、見事に信じてくれてる!……将来が心配だなこの子。


「それで、何の用かな?お母さん?」

「だからお母さんではないと……はぁ、仕方ないわね。私の名前は――そうね。私の名はリリア・モルファ……貴方にはこの名前がいいでしょう?」


 ――宮廷魔術師リリア・モルファ。


 そう、すももちゃんとあんずちゃんの母親であり、ユウシャである彼女こそ、バアルの側近であり、宮廷魔術師のその正体だったのだ!


 まぁ実のところ、ここに来た時点でもしかしてーとか思っていたんだけどね!予想内だけど、ここで出てくるのは想定外だったかな!それにしても本当に二人の子持ちなんだなー。どう見ても、うん、どう見ても俺と同い年か少し下くらいにしか見えないんだよ!美少女さんだな!ふむす、あんずちゃんのたわわに実った果実は遺伝だったわけだ。うんうん、遺伝は偉大だ。


「な、何か視線がいやらしいわね。ふん、二人は連れて行かせてもらうわよ?ふん、貴方はこの子たちを殺す気はないのでしょう?」

「もちろんその通りだけど、連れて帰ってどうするつもりなのかな?」

「ええ、それはもちろん――この領に新たな魔王を生み出すのよ」


 そう言って美しい蝶のごとき少女は妖艶な笑みを浮かべ、あんずちゃんとすももちゃんと共に揺らめくように消えて行った。転移魔法――かなり高位の魔法だ。宮廷魔術師は伊達じゃないというわけだ。


「さて、情報は出そろった、か。それにしても新たな魔王……ね」


 一人ごちってステンドグラスをじっと眺め、俺は大きくため息をつくのであった。

気づいたら眠っていました。はい、申し訳ありませんっっOTL

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