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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第四章:勇者な執事と海と水着とバカンスと。バカンスはお仕事と見つけたり?
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22話:港の波止場に来たら片足を載せて格好つけてみたくなるのって男の子なら当然だよね?

 森の奥のさらに奥、人の国との国境に近い港町。

 人と獣人たちが入り交じり、人種も何も関係のない商人たちの戦いの場がそこにはあった。そう、ここは商人たちの交易拠点であり、勇者たちがこっそりとひっそりと沢山潜んでいる町だった。


「うん、流石の俺も予想外というか想定外というか、普通絶対に()()()()()()に預けておかないよねってところに預けられているんだけど、うん。嘘とかついてないよね?」


 言われるがままに来てしまったけれども、俺騙されてなよね?ないよね?


「ここまで来て嘘なんてつかないわよ。あんたならあの子の害になるようなことしないって思えるし」

「根拠はあるの?」

「……私がペシテをさらいに行った理由はあの子の保護よ。隣の領からわざわざやってきて、観光という名目で各地に出没している、とっても怪しい人から守るためにね」


 んんん?いったい誰の事かな?あんずちゃん、何でこっち見てるの?うん、後ろかな?誰もいないよ!


「アンタよアンタ!アークルから視察として魔王オウカ……様の配下がやってくるから、次代のベル以外の魔王候補を保護しようとしていたのよ!」


 がるる、とあんずちゃんが俺に威嚇してくる。いやいや、おかしいよ?俺って普通に観光しに来てただけだからね?時間短縮しながら全力でこの領を楽しむために、分身しながら全力疾走してただけだから!ほら、全然怪しくない!


「怪しさしかないわよ!同じ人物の目撃情報が急に色んなことに出没したら誰だって警戒するに決まってるじゃない!」

「……大丈夫、仮面はしてた!」

「そういう問題じゃないでしょう!」


 仮面だけじゃダメらしい。ううむ、変装って仮面付けてれば大丈夫だと思っていたんだよ?ほら、あれって呪いのお面だし!あ、俺呪われないんだった!それが原因かー。


「だれか、お願い。誰か助けて!この人話が通じないの!」

「失礼だなぁ。ちゃんと話はしてるじゃないか!」


 そうじゃないの!と言ってあんずちゃんが頭を抱えている。

 言葉は通じてるんだけどなぁ。不思議だなぁー。


「姉さん、帰っていらして――なんでそんな不思議なかっこうされてるんです?」


 ガチャリ、と出てきたのは長い栗色の髪を後ろでツインテールにまとめた少女だった。うん、黒と白のワンピースを着ていて胸にはロザリオ。うん、どこからどう見ても可愛いシスターさんなんだよ!


「すもも!?あ、いえ、その、違うの。これはお仕事で、ええと、そう、演劇の?お仕事の?衣装なのよ!」


 どう考えても苦しい言い訳。というか、疑問符だらけで言い訳してるの丸わかりなんだよ!


「なるほど、そうだったんですね!さすが姉さんです!」


 にっこりと純真な笑顔であんずちゃんの妹……すももちゃんはそう言った


「ん?んんん?あれあれあれ?もしかして、まさかとは思うけど信じてくれてる?信じちゃってる?信じてくれちゃってるよ!?あんずちゃん、これはいったい……!」

「なんというか、うん。すももは純粋というか、純真というか、人の心を疑うことを知らない子なの。特に私とお母さまの言葉は絶対に疑わないのよね、うん、困ったことに」


 あんずちゃんはどこか遠い目をしている。

 なるほど、ここまで人を疑わない性格であるなら、色々と諸々が大変なのだろう。こう、騙されたり詐欺られたりさらわれたり?


「……よく分かるわね」


 ふぅ、と年齢に見合わないようなあんずちゃんが浮かべる。ううん、苦労が偲ばれる……。


「ところで姉さん、この方は?……はっ!まさか姉さんの恋人さんですか!ついに姉さんに恋人さんが……。挙式はいつなんです?」

「うん、この子人の話を聞いてないうちに超暴走していくね!振り切るぜ!とばかりに振り切って暴走してないかな?絶望(けっこん)が俺のゴールだ?いや、違うんだけどね?違うからね!?俺にはちゃんとサクラちゃんって素敵で美人で可愛い婚約者がいるんだから!」

「そうなんですか、残念です……」


 俺のセリフをサラリと流して、すももちゃんはシュンと落ち込んでしまった。よっぽどあんずちゃんに恋人ができていないことが悲しいらしい。うん、大丈夫だよ?あんずちゃん美人さんだし?そのうちきっとできるって!たぶん、きっと、恐らく、メイビー?


「そこは普通にできると思うよ、でいいじゃないの!はぁ、何でアンタといるとこんなに疲れるのよ……」

「ううん、ここまで姉さんの表情を引き出せる人なんて滅多にいないのに……」

「すもも、いい。この人は絶対にないから。ありえないからね?ぜえええええったいに!」


 そこまで否定されると男子高校生的な繊細な心がブラスティング(ひっさつ)フリーザ(わざ)で粉々に粉砕されてしまいそうになるんだけどな!うん、なんでジトなのかな?とりあえずお礼を言っておこう!ありがとうございます!


「まぁ!姉さん、この方とってもいい人ですよ!」

「今のどこにいい人の要素があるのよ!ああもう、連れてくるんじゃあなかったぁぁ……」


 この街一番の大きな教会にあんずちゃんの慟哭が響いたのだった。

 そう、ここは勇者教の大聖堂。つまるところ、ユウシャたちの復活ポイントなのだ。なんだか視線が痛いな!ううん、不思議だな?

とっても遅くなりまし( ˘ω˘)スヤァ…

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