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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第四章:勇者な執事と海と水着とバカンスと。バカンスはお仕事と見つけたり?
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21話:いくらがんばっても結果が出ないと意味がないと言われても経過を楽しむのも趣味の内なんだから知った事じゃないよね?

 やっと話をしてくれるようになってきたあんずちゃんを安楽椅子に座らせて、作業を進める。うん、木札少な目だから分身も少なめなんだよ?ああ、好きなだけ巨大ロボをいじれるって幸せだなぁ!


「いやいや、なんでさらっと分身してるのよ!?」

「だから忍者なんだって、君もそうでしょ?」

「そうだけど、普通出来ないわよ!はっ!?まさかそれがアンタのチート!」


 残念ながら違うんだよねぇ!チートとか!もらってないんだよ!!うん、大体ほとんど自前だし?前の世界の神様の加護はあるけど、単に運がいいだけだよ?運は良いけど、こっち来てから割と普通に大魔王に殺されるんだけど!まったく、人の命で遊んじゃダメだって教わらなったのかなって、大魔王の情操教育のやり直しをしてもらいたいくらいなんだよ!まぁ、その分新しくおもちゃが増えて行くんだけど?だからこっちもそろそろロボを用意しておかないとなんだか怖いんだよ!絶対用意してくるし!!顔にロボとかろぼとか書かれてるロボ作って来るよあのおっさん!!


「うん、意味わかんない」

「知ってる!とりあえずゴーレム化させて守ってくれるだけでも助かるんだよ!」


 カチャカチャと弄り回してこねくり回す。ううむ、斜め四十五度でチョップしたら動かないかな?無理だよね!!知ってた!……痛いな?


「何で私こんなバカに捕まったのかしら」


 あんずちゃんはあきれ顔で大きくため息をついている。


「いいかい、あんずちゃん。ロボは浪漫なんだ。浪漫だからしかたないんだよ?」

「お父様と同じようなことを言わないでください!」


 どうやらそういうところはバアルも同じだったらしい。そういう意味では分かりあえたかもしれない。けれども、動力炉をユウシャにしようとしたり、サテラさんを使おうと考えていた時点でアウトなんだよ?趣味は他人に迷惑が掛からないようにしないと、とっても迷惑な存在になるのだ!と自分で言い放っているようなものだ。アポロガイストさんかな?


「誰よ、それ」

「赤くて格好いい、人類にとってはた迷惑な存在な怪人さんだよ?うん。やっぱり俺じゃダメそうだなー。サテラさん呼びたいけど今忙しいみたいで連れてこれないし、機械いじりが出来そうな人……メイドさんかな?」

「何でそうなるの!?」


 そうなるの!?と言われてもなんというかこっちのメイドさんって何でもできるイメージがあるんだよ?だって超優秀なんだよ?うちのロベリアちゃんもかなり優秀なんだからね!小さくて可愛くて小動物みたいだけど、元々は諜報専門の暗部出身で俺も危うく殺されるところだったし!


「うん、本当に何であんた普通にその子を部下にしてるのよ!」

「初めてを奪っちゃったからね。男として責任を……うん、分身のすねを蹴られてるんだよ!割と痛いな!」


 村に置いたままの分身でじっとロベリアちゃんを見てただけなのに、何でか蹴られた!テレパスかな!?


「一つ、聞いてもいいかしら?」

「うん、ナニカな?俺の大好きな人はサクラちゃんだよ?」

「聞いてもないことを答えないで!」


 怒られてしまった。ううん、こういう時に聞きたいことって好きな人の事じゃないのかな?違うか!


「……どうしてベルを、あの子を助けるの?確かに、この領のトップを抑えるのは統治の基本なのだろうけど、あの子じゃあ求心力が足らなすぎるわ。なのに――」

「見も知らずの人にベットするほど、俺はギャンブラーじゃないからだよ」


 確かにベルは求心力もなく、自分から動く胆力も行動力もない。魔王としての能力はサクラちゃんに比べても下の下の下。ハッキリ言って幹部クラスにようやっと手に届くか否かと言ったところだろう。

 けれども、それでも彼女は努力家だった。

 自分が魔王であればどうすべきか、何をすべきかいつも考え勉強をしてきていた。それなら動けよって話なんだけど、うん。流石に強面のジョーンズのおっちゃんとか文官連中にモノ言えるほどまだ強くないから、ハッキリ言っちゃうと仕方ないんだけどね!まぁ、それでも頑張ればついて来てくれてたんだろうけども。


「努力家が何よ、それなら……」

「それなら君の妹も同じだって言いたいんだろうけど、さっきも言ったはずだよ?俺は見ず知らずの人にベットはできないって。魔王になると宣言はしても、顔も見せない誰かさんと話なんてできないと思うんだよ?ベルはお手紙くらいはくれてたからね!本っ当に最低限だけど、うちの領にすべきことはしてくれてたのさ」


 その言葉にあんずちゃんは首を垂れ、つぶやく。


「それでも、あの子のほうが、すももの方が、きっと……」

「それなら逢いに行ってみよう。うん、それがいいと思うんだ。袖振り合うも他生の縁っていうんだけど、振りあってもないのに判断のしようもないしね!答えは聞いてないけど!」

「え、え?いや、待って、待ちなさい!だから何でそんなに即決なのよ!答えくらいは、聞いてー!背負わないでぇー!」


 暗い暗い地下迷宮の中にあんずの声が空しく響いた――。





「ところで、そのすももちゃんってどこにいるの?」

「知らないのに行こうとしないで!?」


 そうして俺は上手いこと最後の一人の居場所を聞き出せたのだった。ふふ、このあんずちゃんのチョロさ……まじめに保護しないとな!ヤベーイ!

台風なので早めに。

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