15話:流れ星が消えるまでに三回お願い事を唱えるのって割とムリゲーだよね?
前話訂正。ペシテちゃんの髪の色を黒→白に変更しております。
迫りくる幾つもの巨大な隕石を前に、ラグドール族の住人たちは叫び声をあげて転げまわる。うん、縛られてるから逃げられないんだよね!
「真人様!」「にゃああああ!!??」「ぴぃぃ!!??」
ロベリアちゃんは俺を庇おうと抱き着いて、クロエとビオラちゃんは頭を抱えてその場に倒れこむ。クロエはスパッツだけど、ビオラちゃんはどうやら水色……いや、うん、危険が危ないからそれどころじゃなかったね!
木札取り出し迫りくる隕石めがけて投げ放つ。
――纏うは風、強烈なる陣風にてその幻影を打ち払う。
そう、隕石は幻。実際に放たれていたのは小石程度の石ころだったんだよ!
「つまるところ、残念ながら俺にはこういう幻影とか幻術とか効かないんだよね。わかったかい、そこの可愛い襲撃者さん?」
「!!??」
ペシテちゃんを分身の俺からこっそりと奪おうとしていた少女が驚いてその場を飛びのく。
和装の黒い装束に頭巾とマスク身を纏ったその姿は正しく忍。……うん?忍者!忍者だよ!忍者がいたよ!
「なんでそんなに冷静で……岩が消えてる!?」「はっはっは。にゃ、にゃーんだ、幻影だったのかにゃ。ふふ、別に怖がってないよ?ないよ?」「ニンジャ?に、にんじゃってなんですかぁ~」
みんなが現状に全く気付いてくれてないので、くのいち少女をじっくりと観察して心を落ち着かせよう。うん、持っているのが普通の刀じゃなくてちゃんと忍刀なのもポイントが高いよ!アミアミな装飾が多くて露出がそれなりに高いのも素敵だ!でも、ちゃんと鎖帷子着ないとだめだと思うんだよ?あれって重たいけど結構あると防御してくれるからね!
「な、何なのだお前は!私の幻術をあっさり破ったばかりか、ニンジャとしてアドバイスだと!?」
「何なのだと言われたら、答えてあげるが世の情け?」「そうそう、世界の平和を守るため?」「例えば、愛と平和を守るため?」「まさしく、怪しく素敵な忍者な勇者!そう、それがこの俺!うん、俺ってば忍者だからね?ニンニン?」
分身して分裂して見せつけるようにニンジャポーズを決めて見せる。ふはは!どうだ、格好いいだろう!
「ニ、ニンジャ、アイエエエ!ニンジャ、なんで!?」
驚いたくのいち少女は驚きの声をあげ、慌てた様子で逃げ始める。誰だよその反応教えたの!絶対ユウシャがバックにいるだろおお!!
「真人様逃げられます!」
ロベリアちゃんの慌てた声が聞こえるけど、大丈夫だ問題ない。
忍者というものは姿を現すことはほとんど無いんだけど、見せるときはお仕事を終わらせたときか、そうする必要があるときだ。
「ふぇ?ひゃあああ!!??」
くのいち少女が降り立った場所は落とし穴。俺の分身から逃げていくとピンポイントにそこを通るようになっているわけだ。うん、こっそりと掘って置いたんだよ?
「んきゃあああ!!ふぎゅ!?」
穴に落ちた少女が仕掛けてあったネットの反動でぽーんと飛び出してきた。お目々をくるくると回してグルグル簀巻きで。ふふふ、計算通り!
「あ、悪辣です……」「襲撃して奇襲したのに襲撃されて奇襲されて捕まってるにゃ」
あれれ、ここは俺を褒めるところじゃないのかな?なんでくのいち少女に同情的なの!?
「だって」「ねぇ……」
ううん、二人の視線がなんだかジトだ!ふふ、ありがとうございます!
さてはてと、気絶してしまったくのいち少女の頭巾とマスクを外すと、肩までのやわらかな栗毛と可愛らしいお顔が出てきた。
うーん、うん?なんだかこう、既視感があるお顔だなぁ。そう、ここに来てから毎日見てたり、海で襲われたり、遺影でも近い顔を見た気がするんだよ。今、分身の腕に抱えられているペシテちゃんを見ててもそんな感覚を覚える気がする。うん、この子バアルの娘だよ!
「バアルの娘って、魔石持ちの最後の一人の……ですか?」
「残念ながら違うみたい。たぶんこの子には魔石は無いよ」
残されていた資料によると、最後の一人の少女は大体十歳くらい。縛られて気絶しているくのいち少女よりももう少し幼い筈だ。彼女は見た目的にどう考えても十歳じゃない。そう、彼女は和装の上からも谷間がのぞけるくらいにたわわだった。アーリアちゃん……いや、フレイア様ほどじゃあないけれども、それでもかなりの……。
あ、うん。何でもないからね!変なこととか考えてないよ!グルグルに網で縛ったのにたわわな部分が強調されててエロいな!とか、詰め物とかしてない本物か確認したほうがいいかなーなんて考えてないよ!うん、ちっとも?あ、あれれ~?なんでロベリアちゃんたちだけじゃなくてラグドール族の皆さんもそろってジトなのかな!お、俺変なことしてないからね!きちんと縛りなおしただけだから!思っただけで変なところ触ってないから!うん、ありがとうございます?
今日は早めに更新……。