表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第四章:勇者な執事と海と水着とバカンスと。バカンスはお仕事と見つけたり?
195/554

6話:芸術は爆発だけれども実際に爆発したらとっても迷惑だよね?

「なるほどなるほど、それで連れて帰ってきたわけですか。簀巻きにして」


 コテージのリビングで朝早くから俺の帰りを待っててくれたロベリアちゃんだったけれども、なんでか頭を抱えて大きな大きなため息をついている。不思議ダナ?


「ええと、この子のお母さんがさらわれた後ですぐにお城が爆破されちゃってね?つい連れて帰って来ちゃった。うん、簀巻きで?」

「いい加減に縄を解いて!というか何で簀巻きなの!?こういう時ってお姫様抱っことかじゃあないの?」


 残念ながら俺の腕は二つしかないんだ。お姫様抱っこをする子は決めてるし?申し訳ないけれど簀巻きなんだ。


「どーいうことなの!?」


 ふんがー!とベルは怒髪天がごとく憤慨している。ドリルがぎゅるぎゅるんしてるきがする!


「その、いろいろと問題じゃないんですか?え、えと一応この子ってこの領のトップ……なんですよね?」


 そう、その通りだよロベリアちゃん!魔王バアルの正妻であったアスタロト・ゼブルの一人娘であり正当後継者であるのが彼女、ベル・ゼブルだ。

 けれどもまだ若く、幼い彼女がこの領の全権を握るということは叶わず、結局は大臣たちがその実権を握っているのが現状である。

 甲殻将アルカ・カブテリオス……は先日の戦いで戦死してて、残されている宮廷顧問魔術師リリア・モルファ、そして水軍将ジョーンズ・エノシガイオスが先だってこの領を統治しているのだ。

 魔王バアルがやってきたことを、彼が死んだ後、同じことを部下だった者たちにやられているのだからこれも因果応報とも言えなくもないだろう。もっとも応報を受けているベルにとってはたまったものではないのだろうけども。


「というか、そもそも寝て起きたら金髪ドリルっ娘が簀巻きでソファに転がされてるのってシュールだよね?」

「いいから!早く!とーいーてー!さ、さわるなぁー!」


 いつの間にか部屋から出てきたクロエがベルのほっぺをぷにぷにとして遊んでいる。

 ううん、縄を解いたら逃げそうだから却下かなって?うん、逃げたらたぶんすぐ死にそうだし?主に外でこっちを見張ってる連中にこう、サクッと首をはねられそうかなって?


「そ、そんなわけ……!」

「ないわけないにゃ。うん?真人さんお魚のにおいがするけど……」


 すんすんとクロエが俺の尻ポッケにあるものを目ざとく見つける。うん、これ?さらわれて見失っちゃったし、現場百篇で家宅捜索的に調べてたら鱗が落ちてたから回収してきたんだよ。乾いててパリパリでキラキラ綺麗だったからすぐに見つかったんだよ?


「鱗……まさか、いえ、でも……」

「落ちていたのは事実だからねー。まぁ、それはどうでもいいんだけど。問題はどこに連れ去られていったかな?うん、心当たりとかある?」

「あるわけないじゃない!どう考えても、どこの派閥にもお母様をさらうメリットが見当たらないの」


 ベルはシュンとして眉をひそめる。

 鱗が犯人のものなのだとすれば犯人はジョーンズさんの関係者の可能性が高い。けれどもハッキリと言って彼にはメリットが無い。うん、現状維持が一番のメリットだし?そもそもお城を爆破してベルを殺そうとする意味も分からない。いないと傀儡にできないのに殺す意味がないんだよ?


「爆破したのは十中八九バアルの隠し子たちだろうねー」

「え、あの魔王に隠し子なんていたんですか?」


 ロベリアちゃんが驚きの声をあげ、クロエは頭を抱えている。

 うん、いたの。正式でもなんでもなく、出合頭に声をかけて子供をポコポコ作っていたらしい。うん、俺にとって、とってもとっても迷惑な存在なのだ。ふふふ、アポ〇ガイストさんかな?


「あ、あぽ……?」

「ああ、気にしなくていいです。どうせいつもの妄言ですから」


 ベルにザックリと説明をしようとしたのに、サックリとロベリアちゃんにさえぎられてしまった。あ、ジトありがとうございます?


「ふぁぁ、みなさん朝早いですね。おはようございま……何で女の子が簀巻きで?!」

「おはようビオラちゃん。うん、諸々の諸事情という奴で簀巻きにしてるんだけど、この領のトップなんだ。仲良くしてあげてね?」

「え、ええ……は、はい?」


 ビオラちゃんは頭を抱えて大きく首をかしげている。

 あれ?わかりづらかったかな?


「真人様、簀巻きにされてる人を朝突然見せられて、仲良くしてあげて?なんて言われて混乱しない人なんていないと思います。というか、縛るにしてもそろそろ簀巻きはやめてあげてもいいのでは?」


 ううん、ロベリアちゃんは優しいなぁ。個人的にまだそのままにしておいてあげたいけれども、この子に八つ当たりをしてもしようもないしね?


「今八つ当たりって!八つ当たりって言った!絶対お父様のことでしょ!?私は関係ないから!というか、八つ当たりするんなら私もお父様に八つ当たりしたい!!馬鹿親ああああ!!」


 フンスフンスと鼻息荒くベルが叫ぶ。

 もう、駄目だよ?どれだけ糞で屑で救いようもない馬鹿で阿呆な親だとしても、一応は親は親なんだし?


「その親のせいで死にそうなら縁も切りたくなるわよ。はぁぁ……領運営を簡略化して将来のんびり安泰に趣味人として暮らす私の計画が……」


 なんだかとっても暗い顔でしくしくと涙を流している。うん、流石に少しだけ、ほんの少しだけかわいそうになってきたかもしれない。


「……あれ?そういえばミラさんは?」

「お休みだからまだ寝るそうです」


 まさかの二度寝だった!お休みだから仕方ないね!

遅くなr(ry

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ