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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:解説!ハローなお仕事!
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挿話:開設!ハローなお仕事!8

 結局のところ、あのユウシャに使役されていた被害者たちはみなうちの領に就職してくれることとなった、

 うん、本当に助かるというかありがたすぎて涙が出てくるんだよ。


「でもね、どう考えてもおかしいと思うんだ。ねぇ、玲くん?なんでさらにお仕事が増えてるのかな!うん、住人が増えて住居が必要になるのも移民が増えてるのもわかる。けど、どうしてこんなに俺のところにお仕事が増えてるのかな!」

「では簡潔に。経費がとっても安いからです。真人さんが定められた目標までに必要な経費を他の人材で賄おうとすると万倍違いますので」


 そういうわけでお願いしますね、と玲君は大量の書類と次の公共事業という名の道路と上下水の整備の計画書を置いて行ってしまった。うん、そうだよね!ほかの人にお願いするとお給料とか建設資材費とかかかるけど、俺だとほぼタダだからね!うぉん!こんな無茶な都市計画立てたの誰だよ!俺だぁああ!


 がっくりと書類の山々のつらなる机に突っ伏して大きくため息をつく。

 ハロー!なお仕事な感じで使役されていた人たちをこの領に定職に就いてもらうという作戦は大成功に終わった。もちろん、故郷に帰りたいという人がいればサテラさんにお願いするところだったのではあるけれども、全員がここに残りたいと言ってくれたのは行幸と言っていいだろう。

 そもそもな話、本来ならば彼らはヴァルカスで処刑される予定だった。それはそうだろう。今回の一件でヴァルカスが受けた被害は甚大。いくら使役され、自分の意志でなく攻撃を仕掛けていたのだとしても、それは仕掛けられたヴァルカス側には全く関係のないことなのだから。


 だから、報酬として使役に抵抗し抗っていた子たち、或いは従わざるを得なかった子たちという条件付きでこちらの領に引き取らせてもらうことにした。


 交渉に関しては完全にこちらの成果であるからして、その報酬として受け取る形となったわけだ。

 本来なら、報酬であるのだから開放するなんて言うのはもっての他、ありえないことだとサテラさんとロベリアちゃんに散々に怒られたのだけど、これだけは譲れなかった。

 だって、せっかくあのユウシャから自由になれたのにこの領で働け!なんていうと台無しじゃあないか!

 確かにこの領で働いてほしかったのは事実だ。けれども、それは彼らに選んでほしかったのだ。

 ここで頑張りたい。ここで暮らしたい。ここで新しく人生をやり直す……なんて考えてもらいたかった訳だ。そうなって貰えるように説明会をきちんと開いてこの領とお仕事の魅力を紹介し、うれしいことに全員がこの領の新しい住人になってくれた。

 これで彼らも憂いなくここに住んで働いてくれるだろう。


「打算だらけで隙だらけの作戦でしたけど、まさかうまくいくとは思いませんでしたね」


 隣に座って本を読んでるロベリアちゃんがあきれた様子でジトっている。ありがとうございます!


「ふふふ、それだけうちの領が魅力的になって来ているという証拠さ!みんなの血と汗と涙と俺でできてる感じだけど?うん、もう少しみんな俺に優しくしてくれたらうれしいなって?」

「そう思うんならお仕事だけに集中してください!お仕事してる時間の間に外で遊んだりしてるから、あれ?この人また遊んでるよ……ってなるんです!今日だって、お仕事しながら市街を食べ歩きしてましたよね?多分本体で」


 うんん?何のことかな?ははは、そんなわけじゃいじゃないか?だってお仕事中だよ?仕事してたし?確かに八百屋のおば……お姉さんからお買い物もしたし、林檎ちゃんのとこにも顔出したし、フレアと買い食いも……はっ!?


「してたんですね。はぁ……全く。最近連れ出してくれないと……コホンなんでもないです。ともかく、お仕事するときはちゃんとしてくださいね?」

「うんうん、最近かまってくれないから寂しいって事にゃー」

「そんなこと言ってないです!なーいーでーすー!」


 クロエちゃんがケラケラと笑いながら、かわいらしく頬をぷくっと膨らませてるロベリアちゃんの頬をツンツンとつついている。

 嗚呼何だろう。こう、見てるだけで疲れが癒される感じが……。尊い……。


「はいはい、遊んでないでお仕事して!はぁ……エルフのエリアさんなら事務系に来てくれると思っていたのですが……。まさかメイドになってしまうだなんて」


 ミラさんが頭を抱えて大きく深いため息をついている。

 まぁ、仕方ないね。自分でどのお仕事をしたいか選んでもらったんだし?


「割と強くお勧めしたのに。やりがいがあって、アットホームで、楽しい職場なんですよって!」

「うん、それが原因じゃあないのかな?」

「そ、そんな、まさか!?」


 ミラさんが頭を抱えて机に突っ伏してしまった。

 うん、だってね?あっちの世界ではそんな謳い文句の仕事場には碌なところがないって、割と話題だったんだよ?いったいどうしてそんな文言にしちゃったのさ。


「だって、林檎さんと夏凛さんに向こうの世界でよく使われてる募集の文言はないかって聞いたら、こんな感じの文章がよくつかわれたって……」


 それは悲しいすれ違いだった。

 そういえば二人は向こうでは普通の女学生さんで、アルバイトをしようと求人誌をめくったことがあるくらい。詰まるところはよく知らずに教えてしまったのだろう。仕方ないね!


「じゃあ、他にいい募集の文言ってあるんですか?」


 ルナさんは涙目でこちらをジトっている。ふふ、ゾクゾクするねぇ。


「それじゃあ、未経験者歓迎!夢を目指して頑張りましょう!わからないことは先輩が優しく教えてくれます!……とか?」

「それはそれでダメな気がします!!」


 却下されてしまった。それもそうだろう。うまい文言なんて使い古されているのだし、それを使ったところで結局はどこも同じことを言っているだけなんだし?

 結局のところ、今回の募集で新しい文官さんはハロー!なお仕事とは行かなかったのであった。人気ないな!不思議だな?

ということで今回の挿話はこちらで終わりとなります。

読んでいただき、ありがとうございました。

次回より、第4章を開始いたします。


そして、遅くなりました!!OTL

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