表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:解説!ハローなお仕事!
185/554

挿話:開設!ハローなお仕事!4

 メイドと一言に行っても仕事は多岐にわたる。

 掃除、洗濯、料理に配膳、ひいては主人やお客様のお世話に至るまで。このお城の雑務の殆どを手掛けるのがメイドと言うお仕事だ。

 そのせいか想像していたよりも仕事が多く、想定よりもしっかりとしたシフト体系で、予想外の好待遇でお給料もたっぷりだった!え、困窮してるんじゃないのこの領!?


「うん、最初のころは困窮していたんだけどね。うちの領主さん代行の真人さんがお給料が足りないならいらないモノを売ればいいじゃないの?と魔王バアルがこの領に残していた私財を売り払い、皆の給料に充てていたんです」


 先輩である狼族のパティさんが大きな胸を逸らしてフンスと鼻息荒くそう言う。


「いや、それはさすがに短慮では……」


 そう、あるものを使ってしまえばそれだけで終わる。一度払えても二度目が無いかもしれない。折角職に就いたのだ。すぐにお給料が出なくなってしまうのはとっても困る。まぁ、出なくても働くつもりなのであるけども。


「問題ありませんよ、何せ真人さんですしね。道路も整備されて運路が確保され、この領で最大の売りである魔道具……家魔導製品、略して家導(かどう)の生産ラインが効率化しまして、その輸出が現在好調なんです。そのおかげで領の経済も現在では安定しているのだとか」

「は、はぁ、なるほど?」


 いまいち家導なるものが何なのかが分からないが、お給料が急にでなくなる心配はなさそうである。これには私たちも安心……うん、アンズ?寝ちゃダメだからな?


「では、皆さんの教育係を紹介いたします。大魔王城でメイドをされていますビオラさんです!ふふふ、この方は真人さんが直々にスカウトしてくださったメイドのプロ中のプロ!それがビオラさんなのです!

「ぱ、パティさん!?そんなにハードルを上げないでください!私なんて、メイドの知識があるだけでプロと言われるほどでは……」


 あわあわと長い水色の髪を後ろで緩く三つ編みにしている少女がそう言う。年齢的にはアンズと同じくらいだろうか。うむ、私と比べるとかなりたわわ(巨乳)であるけれども、きっとそのくらいだう。……くっ。


「そ、それでは研修という事でまず皆さんがどの程度できるかを見せていただきたいと思います。けれど、できなくても落ち込んだりしないでくださいね?最初はみんなできないモノですので」


 そう言われ、まず案内されたのは職員宿舎だった。城の裏手側にあり、私達の寝床にもなっている場所である。


「まずはこの宿舎の清掃をしていただきます。本来ならば宿舎の皆さんでお掃除をするのですが、今日は練習という事でここを利用いたします」


 お城の中には高価な調度品がまだ多くあり、それを壊さないようにとの配慮とのこと。いやいや、流石に心配し過ぎではないだろうか?最初の最初でモノを壊すなんて失敗を――


「あ」


 パリンと音がして振り向くとアンズがなぜか持っていたホウキで窓を割っていた。うん、何をしてるのかな!?


「ご、ごめんなさい!その、虫がいてびっくりして(はた)いちゃって……」


 しゅんと丸まった尻尾をさらに丸めて、アンズはしょげてしまっている。


「失敗は誰にでもあります。問題は失敗を繰り返してしまうことです。どうしてこんなことになってしまったのかを考えて次につなげましょう……の前に割れた窓のお掃除からですね」

「は、はい!」


 な、なんて優しくきめ細かな説明なのだろうか!流石は大魔王城でメイドをやっているだけの事はある。


「その、あ、あんまりそういう風に言わないでくださいね?は、恥ずかしくて固まっちゃいますから……」


 顔を真っ赤にしてビオラさんがもじもじとしている。

 なんだろう、こう、胸の奥からこの子をなでなでしたいと言う感覚が無性に……。


「ビオラちゃんは可愛いから仕方ないね!」

「うむ、可愛い……って、真人さん!?何でこんなところにも!」


 振り向くとなぜかまた真人さんがいた。ほ、本当にどこにでもいるな。


「みんなの様子がどうなのか気になってね、分身を増やして見に来たんだよ。うん、その様子だと何ともなさそうでよかったな?」

「いや、窓が割れてるからな?」

「うぅ、ごめんなさい真人様……」


 さらに怒られるのではないかと、小さい体をさらに小さくしてアンズが謝る。しまった、余計なことを……。


「このくらいは想定内だし全然問題ないかなって。それより怪我無かったかな?」

「え?あ、はい。大丈夫です」


 怒られるどころか心配されてアンズはパチクリとしている。懐が深い、のだろうか?


「ふふ、懐が深いのではなく、真人さんはお優しいんです。私が大魔王城で困ったことがあったときも颯爽と助けてくださいましたし」


 ビオラさんはポッと頬を染めて真人さんを見つめる。あれ、もしかしてビオラさんって真人さんの事を……。


「それじゃあ、割れたガラスを錬金術で再構成して嵌めなおして、と。うん、このくらいだったらすぐにできるな。そう言う訳で頑張ってねー」


 壊れてしまった窓を何事も無かったように直してしまい、真人さんはポムンと消えてしまった。

 いや、普通にやったけど何をどうしたんだ!?


「真人様、すごい……」


 アンズも驚いた様子で尻尾をブンブンと振っている。うん、気持ちはわかるけど落ち着こうな?思わずもふりたく……。く、我慢だ、私!

遅くなりましたOTL

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ