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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:解説!ハローなお仕事!
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挿話:開設!ハローなお仕事!3

 いつ振りかの暖かな、それでいて食べたことも無いほどに美味しい料理をたらふくお腹に詰め込み、幸せ心地で大きなお風呂で汗を流し、城の中にあるふかふかで暖かなベッドで眠りにつく。


「いや、おかしいでしょ!?何この待遇!」

「んー、エリスさんまだ夜中だよぉ?」


 同室になった犬族の少女、ポチ……改め、アンズちゃんがねむねむと目をこする。うん、ごめんね。あんまりに想定外にちょっと頭が止まってたかな?気づいたら昔暮らしてたエルフの村より豪華なご飯をたべて、豪華な湯あみをして、豪華なお城の部屋で立派なお布団に包まれてたら誰だってビックリすると思うの!


「すぅー。えへーマンガにくぅー」

「寝てる……」


 アンズちゃんはとっても幸せそうな顔でよだれを垂らして寝ていた。うん、確かに巨大骨付き肉美味しかったし仕方ないだろう。


「やってみたかったマンガ肉!味を追求してやっと完成したんだよ!」


 とかなぜか調理場に立ってた勇者……この領でナンバーⅡであるはずの真人様が言っていた。ちなみに、大型の牛の魔物のお肉らしい。詳しいことは聞かなかったけど、ま、魔物のお肉ってあんなに美味しかったのね……。


 空を見上げ、三つの月をみる。ルナエルフは紅、蒼、白の月のうち、白の月を司る女神を信奉する種族だ。私はルナエルフではなく、普通のエルフなのであるが、美しい月たちは嫌いではない。


 ――見上げる夜空は何処でも変わらないのだから。故郷の森でも、あの地獄のような勇者教の城でも、魔王の城でも。


 息を大きく吐いて真っ白なシーツに包まれたふかふかのお布団に包まれる。柔らかで、いい香りがして、あの悪夢のような日々が嘘のような幸せ。


 けれども、私はそんな温かさを享受してもいいのだろうか?私はこの手で村の皆を――頭を振って、布団に潜り込む。それを考えるのはこれからだ。この領で与えられる仕事の中には過酷なものもあるだろう。きっと、帰ることのできない私たちにはそんな仕事を割り振られる。だからこそ、きっとこんなにも豪華な食事を振舞っていたのだ。だから――


 旅の疲れと、ぽかぽかに温まっていたせいか、私はとろけるように眠りに落ちた。毎日のようにうなされていた悪夢を見ることもなく。あの暖かな日々を思い出しながら……。





 町には仕事が溢れている。

 料理を作るもの、衣服を作るもの、武器を作るもの、カデンなんていう者を作るもの、そしてそれを売るものや運ぶもの、そして運ぶ道路やお店を作るもの。ううん、思っていた以上に職種がおおい!というかそのどれにも何でか真人様がいた!いやいや、だから何で分身してるの!?


「人手が足りないなら自分で増えればいいんじゃないって?うん、そろそろしんどいから人が欲しいんだよね!たまに俺ってゲームオーバー(過労死)しちゃうし?」


 と、聞いてみたら本人は言っていた。何でそこまでするんだ、この人は!?


「真人さんだからしかたないですね」

「アイツだからなぁ……」

「うん、バカだし?」

「バカだからねー」


 町やお城のみんなの評価はこんなところだった。うん、頑張ってるんだからもっと褒めそやしてあげるべきじゃあないのかなぁ!


「いいのよ、だってあれ好きでやってるんだもの。誰かが止めても止めれない。走って走って走って死んで、死んでも勇者だから復活して、それでも働き続けるの。まぁ、人がいないのは確かだけれどね」


 そう言って、彼の直属の部下だという勇者の林檎はそう言った。彼女もまた彼に救われたのだという。尤も彼女は勇者にではなく他の領の魔王に囚われていたのだというが、救われたのも魔王側と言うのは皮肉なのだろうか?


 しかしながらに困ってしまった。これ程までに仕事があるのならば私は何をすればいいのだろう?できれば、そう、私達を使役の呪縛から解き放ってくれた彼の元で働きたいところなのだが、直属になることは断られてしまった。


「せっかく勇者から解き放たれたのに、勇者の下で働いたら元の木阿弥じゃあないの。だからダメダメそれはダメだよ。みんなはもっと普通に暮らして普通に幸せになってくれればいいの。うん、それが義務って奴だからね!まぁ、この領で暮らすんなら働いて税を払ってもらうけど?うん、普通だな!」


 そう言いながらトイレ掃除をしている真人様に、私は何も言い返すことができなかった。うん、だからそういうお仕事くらいは別の人に投げたらいいんじゃないの!?


 けれども、お城の中ですら人手が行きわたっていないから仕方なく彼がやっているのだという。それならば彼の周りの雑事をこなすことができる仕事に就けば、彼を助けることにもなるのではなかろうか?


 そうして私は城付きのメイドとなる事にした。


「一緒に頑張りましょう!えへへ、また一緒です!」


 丸まった茶毛のモフモフとした尻尾を喜びでブンブンと振る犬族のアンズも一緒にである。彼女曰く、ここのご飯を食べれるお仕事という事で即決したらしい。うん、それでいいの?!

こっそりともう一話。

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