表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:モフモフドラゴン娘の異国漫遊記
176/554

挿話:モフモフドラゴン娘の異国漫遊記4

美味しいごはんを食べて、苺とロベリアと共に街中をぶらぶらと散策中。二人は町のみんなに知られているらしく中々の人気者らしかった。ううむ、人の姿でもお菓子を貰えるとは……。


「あなたはお菓子を貰えればどんな姿でもいいのですか!?」

『こだわりがないと言って欲しい。己は何であれ己であるしな』


 そう、どのような姿であれ己が炎であることに変わりはない。いずれは母上のようになりたいとは思うが、己の力のみで爆炎龍の姿になれるのはいつになるやら……。


「いやいやそういう事ではなく、フレイアさまと同じ人の姿になんでならないのかという事です。人の姿ならもっといろんな人とお話したりできますよ?」


 そう言いながらもむもむと美味しそうに冷やした果物を棒に刺したものを食べている。串フルーツと言って最近人気があるらしい。確かにンまい。


『そもそもだ。己は話が苦手だ』

「ぶっちゃけましたよこのモフモフ!」


 ぶっちゃけたも何もその通りなのだから仕方がない。普段は城で勉強&勉強。お付きの人とも話をすることもほとんどなく、一番話すとしても母様の側近であるサラくらいである。つまり、誰かと話す機会がほとんどない訳だ。


「そう……言いながら、町に繰り出して、るんだね?」

『お城ではお菓子とか甘いものをあんまり食べさせてくれないから』

「女の子にとっては重要な問題かもしれないけど、そんな理由でお城を抜け出してるなんて……。向こうの衛兵さんたちは大変ですね」


 迷惑はかけてない。ちゃんと書置きは残しているから問題ない。


「ううん、この天然っぷり……。早く何とかしませんと」

『ところで、どこに行ってる?』


 そう、己は苺に抱きかかえられたままどこかへと連れられて行っていた。

 ご飯を食べたあと真人は二人に「お仕事は今日は大丈夫だから二人はフレアを連れて町を散策して来てくれないかな?この領がどんなとこかとか見てもらいたいし、あと、うん。もし人の姿になったときの対策もよろしく的な?」とか言っていた。ううむ、対策とは一体……。


「そんなの決まっているじゃあ無いですか」

「お洋服選び。ここ……かわいいの、沢山ある……よ?」


 そこは何とも小洒落た場所だった。木造でできた店内は外からの光をうまく取り込み、店内に展示してある洋服が映えるようになっている。……フリフリ。フリフリが多くないかな?己はその、そういうフリフリは似合わないと思うのだよ。思うのだけど?


「それは着てみない限りは分かりません!さぁ、早く人の姿になってください!早速試着&お買い物です!軍資金はこっそりとサテラさんから頂いていますので!」

『なぜグルンガスト(サテラ)様が……ハッ!まさか母様が手回しを!?』


 恐らくは我がこちらの領の真人のところにパスを伝って逆召喚したことを察知してグルンガスト様にお金を渡していたのだろう。何と周到な……!


「そういう訳でハリー!ハリー!沢山可愛い洋服を着せるんです!ついでに私もお買い物です!」

「えへ、私……も」


 くっ。この二人もすでに母様に買収されてしまっている。逃げ出そうにもがっちりとホールドされて逃げられない!炎を出してしまえばそれまでなのだろうが、流石にそこまではできないし、ぐぬ、ぐぬぬ……!


「ちなみに、洋服選びが終わったらここらへんで美味しいくて甘ーいスイーツのお店に一緒に行こうと思っています」

「カフェも……回って、ケーキ……巡り」


 なるほど、甘いもので釣ろうと言う作戦か。そんな見え見えの策に己が乗るとでも思っているのだろうか?


「どうだ、これが己だ。さぁ服を選ぶといい!」

「落ちるの早いです!?」

「ぜ、全裸……!?」


 二人が驚いている。ふふ、何だかしてやったりだ。……勢いでやって少し恥ずかしいけども。


「兎も角まずは下着、ですね。下はサイズで選ぶとして……」

「ブラは……採寸して、もらわ……ないと、無理……かも」


 なんでか己の一部分をじっとみて二人が固まっている。やはりこの駄肉は邪魔なのだろうか?


「邪魔と言うか……」

「とって、も……うらやま、しい……と、言うか……」


 寄せてあげると二人が頭を抱えていた。何かおかしいところでもあったのだろうか?


「見せつけるように!」

「色も、形も……!」


 二人は一体何をうんうん唸っているのだろうか?!そう言いながらも可愛い下着を持って来るし。ううむ、女心とは複雑怪奇なものらしい。己も女であるが。





「結果このような形に落ち着いたのだが、その。やはりフリフリでスカートはこう、落ち着きが無いのだが」


 結局決まったのは白とピンクの可愛い下着のセットと赤色の少し大胆に胸元と背中が開いたドレスだった。足元は白いニーソックスと服と同じ赤色の靴となった。

 ううん、己のアイディアが通ったのが赤色という事くらいしかないのだが!?


「だって、フレアの意見だとダサいですし」

「上下、ジャージ……と、Tシャツ……スパッツは、ちょっと……」


 ダメだったらしい。おかしい。とっても機能的でかつ動きやすい服装であるのに!?


「機能的を追求しすぎです!女の子なんですから!もっと可愛く!そしてあざとく!」

「あ、あざと……?」


 良くわからないがこの服がいいらしい。確かに、可愛いとは思う。思うが、己に似合っているのだろうか?


「大丈夫です。これで真人様はイチコロです」

「殺すのか?!」

「ハートをですね。射貫く的な意味でですよ。真人様の婚約者なんですし、真人様にアピールしないとです!」


 それはつまるところ、真人との子作りへの布石と言う訳だろう。なるほど、この服ならばイチコロなのか。……でも、なんだか恥ずかしい。は、はおるもの、欲しい……。


「さっき全裸だったのに何言ってるんでしょう」

「人のときと、獣のときとは違うのだ!」


 たわわで邪魔に大きな胸をぎゅっと持ち上げて息を吐く。


 ――ああ、こうなればやけ食いしかない。


 己はまだ見ぬ甘味に思いを馳せるのだった。

とっても遅くなりましたOTL

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ