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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第三章:炎の龍と温泉と、勇者な執事でベストマッチ!
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35話:昔の知り合いに声をかけられたとしても話し方も体格も髪型も変わってたら気付きようもないよね?

 突っ込みも追いつかないほどに大きく成長したユウシャは憐れむようにこちらを見下ろして、絶叫ともつかぬ咆哮を上げる。んん?言葉も忘れちゃったかな!


 そんなわけもなく、その声に呼応するかの如く大地からまたゾプリ、と腕が生えてきた。ゾンビ、グール、そんな彼らがまたその大地から顔をのぞかせたのだ。だけどさっきと違うのは、どう見てもこの土地の住人じゃあないということだ。


「使役……。この人たち、使役されてる」


 サクラちゃんの声が恐怖で震える。

 なるほどつまりそういうことだ。今生えてきてる彼らは死ぬ前、あるいは死んでから使役された。だから縁もゆかりもないこんなところに生えてきている。うん、割と多いな!


『げひひひ!これが!俺の!力だぁあああ!俺は!無敵だあああ!』


 黒き巨大な竜戦士は下品な笑いをまき散らし、巨大な剣を白銀の紅い龍に突き立てるが、それは寸で躱され龍は上空へと飛び上がる。


「フレイア様、さっきの炎で滅っ!ってできない?え、俺?木札がもうなくなりそうで割とピンチかなって?木剣も砕け散っちゃったからね!」


 持ってきてた武装はほとんどを使い切った。だって戦うことは想定外の予想外だったからね!それでもしっかりと用意していたつもりだったけど足りていない。聖剣さん?呼んだらあたりを吹き飛ばしちゃうから呼べないんだよ!肝心な時にこう、使い勝手が……。


『――そう言われても、その、答えに困る』


 そんな言葉(ジ・アンサーの声)がどこからか聞こえてきた。うん、ごめんね!こっちの都合だしね!


『こちらも申し訳ないが、残念ながら無理だ』

『うん、さっきの炎で打ち止め?』


 できないらしい。あれかな?よくある出てきた瞬間は最強無敵だけど、おもちゃの販促期間が過ぎたら弱くなったりしちゃう的な?


『よくは分からぬが、私とフレアは奇跡のような偶然でこのように合体しておる』

『だけどその奇跡は有限。段々と繋がりが弱まってる。持って後……五分くらい?』


 ウルトラな人のカラータイマーよりは長いけれども、十分に短い。あれ、これマジで割とやばくない?


「四の五の言わずに戦え!戦わなきゃ生き残れねーぞ!」


 夏凛ちゃんの言葉にはっとする。確かにその通りだ。戦わなければ生き残れない!うん、勇者だから死んでも生き返るけど、やっぱり死んだら死ぬほど公開するから死ねないんだよ!


「ううん、木札も木剣も鉄剣すらもないから鉄拳制裁、的な?」


 仕方ないから拳で殴る。手にはクレオさん(アラク姉さん)お手製の白い手袋。ああ、フィット感抜群で最高だ!


「夏凛さん、ゾンビって殴って倒せましたっけ?なんだか真人様に殴られたらあーうー言いながら消えて行ってるんですけど?」

「ロベリアちゃん、さすがにそんなわけ……消えてる!?なんで!?」


 夏凛ちゃんとロベリアちゃんもびっくりしてるけど、秘密は拳じゃなくて歩き方、足の運び方。いわゆる一つの禹歩(うほ)である。うほうほ?うほー!


「真人様がふざけてます!」

「いつものことだ、放っておけ!」


 渾身のギャグをスルーされてしまった。ううん、ドラミングしたのがダメだったのかな?


『真人様、ブラスティアキャノンの使用許可を。巨大ゾンビを一掃いたします』


 巨大なサイクロプスを殴り、続いてきた大鬼を投げ飛ばしながらネオ・グランブラスティアになっているサテラさんから声が聞こえる。く


「使ってもいいけど、町への被害を出さないように!ああ、こういう時は!ネオ・ブラスティアキャノン!使用――しょうn」『承知いたしました』


 最後まで言わせてほしかったな!……ぐすん。


『オウカ様、お願いします』

「はい。今なら、できる。まーくんがいてくれる。だからっ!」


 決意を示す声。そして眼帯を外したサクラちゃんの澄んだ声が周囲に響く。


『ゾンビの皆、控えろ(ひかえろ)――!』


 瞬間、凍り付くようにあたりすべてのゾンビの動きが固まった。


「あれ、動ける?気絶してません!」

「マジだ!これって――」


 二人の驚く声が聞こえると同時にサクラちゃんが膝をつく。


「でき……た!これ、で、私も……」


 涙ぐみ、血の涙を流してサクラちゃんが息を整えている。

 サクラちゃんが頑張っているんだ。ここで頑張らなきゃ男が廃る!


 でも、マジで手がない!あと二つくらいほしいけど、分身作る木札も切れてる!これ以上は増やせないのがとっても辛い!だけど、大技で周囲のゾンビを吹き飛ばす。


「――喝!」


 と思ったら吹き飛んでいった!ええ、何かな?なんで唐突に銀髪イケメンが出てくるのかな!イケメン死すべし慈悲はない?


「んふwww容赦なく殺そうとしないでほしいでござるwww」


 俺の拳をひらりと躱したそいつは、どこかで聞き覚えのある口調で話す。あれ、もしかして……・。


「ああ、ロリコンオタクの勇者さん!あ、憲兵さんこっちです!」

「んごごwwダメでござるwww拙者ロリコンではなく、好きになった人がロリだっただけでござるwwwうはwwのwwwろwwwけwwww」


 刈り取る刃が無いな!どこか、どこかに刃物はないかなぁ!


「あるで!ほい」


 ぽんと刀を渡された。マネちゃん、いつの間に?


「今の間に、や。サテラさんアタシを置いて飛んでいくんやもん。町にはゾンビが溢れとったからな、倒しながら来てたら時間かかったんや。そんで、その時にこの残念イケメンの兄ちゃんに逢ったんよ。そしたら何でか我が家の秘宝を持っとったから、問い詰めたら真人さんに届けに行くところや、言われてな」


 それで一緒にここに来たらしい。うん、マジでとっても助かった!


 剣を鞘から抜いて抜き身を露わにする。美しい刀身は滑らかな直線を描き、鋼の逆鱗で撃たれた鋭い刃はあらゆるものを切り伏せるという。その銘は龍刀:鼓草。マネちゃんのお爺ちゃんがかつて見た銘刀を追い求めて打ち上げた逸品。


「つまり、タンポポ丸やな!」

「うん、知ってるけどせめてカッコイイ名前のほうで呼ばせて欲しいなって!」


 鼓草とはタンポポの異名。いまだ本物へと至っていないと思ったマネちゃんのお爺ちゃんがそこへ至るための道程と名付けたらしい。本物の菊に追いつくためのタンポポというわけだ。なるほど、俺にふさわしい。


「試し斬りをしたいけど、奥さんに悪いしがまんしておこう」

「どぅふw九死に一生wwwというかwww斬ろうとしないでwww」

「まったく、次も痩せて出てこいよ。そうじゃないと分からねーよ、田中」


 言って俺は空を駆ける。フレイア様たちに残された時間はあと二分程。この二分で総てを終わらせる――!






「え、え?知り合いやったん?」

「知っているだけでござるよ。互いに有名人だったからね」


 どこか懐かしいむように、青年の声が聞こえた。だけど太ってたら分からないよ!せめて!痩せよう!!

とってもとっても遅くなりましたOTL

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