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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第三章:炎の龍と温泉と、勇者な執事でベストマッチ!
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20話:温泉行ったら観光するより旅館でだらだらのんびりするのがたぶん一番の過ごし方だよね?

 温泉に入って、ご飯を食べて、チャンネル数のまだまだ少ない魔道テレビを聞き流しながら、夏凛ちゃんとボーっとすごす。

 まったりとしていて、それでいてボンヤリとしていて……時間がたつのがとっても遅いんです!


「ぐす、まーくんと一緒にいたくてついてきたのに、一緒にいるばかりかこんなに暇になるだなんて……」

「それは仕方ねーな。姫様がここに来ること自体が想定外の事だし、アチラさん側も何するコレするって決めれてなかったみてーだし?」


 そもそもは商談が目的でここに来ているわけで私が来てしまったのは本当に想定外だったらしく、旅館で缶詰というか、旅館にいるしかないんです!


「うぅ、最初から表敬訪問という形にしておけばこんなことには……」

「いや、その前に断られる可能性が高いだろ」


 ぐすん!その通りです!無理ですよね!私ってまだ自分の魔眼(ちから)を使いこなせてませんし!


「んー……。その眼帯以外に防ぐ方法はねーの?」

「もう少し能力を抑えることができれば魔眼封じの眼鏡なんかで抑えることができると思いますが、いつの話になるやら……」


 正直、この眼を鍛えようにも使う機会がまるでないし、使おうにも使う相手がなかなかいないんです。この前の魔王バアルが戦いで使ったのは初めてと言っていい位で……。


「あれ?姫さんって魔王としては戦ったことはあるのか?」

「ありますよ!本当に数えるくらいですけど!大魔王の領内に入ってきてた勇者と戦ったんです!」

「へぇ、それでどうなったんだ?」

「い、威力の加減が分からず、その、永久凍結魔法を使ってしまいまして……」


 いまだに大魔王城の地下でその勇者たちは氷漬けになっていたりするんですよね……。いえ、その、開放してあげたいのですが、加減できなかったせいで私でも溶かすことができなくてですね?ってあれ、なんだか夏凛さんが引いてます。な、なんででしょう……。


「いや、うん。姫さんってなんだかポワワンってしててそんなに強くないイメージだったけど、思った以上にやばいのな!?」

「まぁ、そこまでの魔法を発動できたのは一緒にアリス姉さまがいてくれたから何ですけどね?危うく巻き込みかけてものすっごく怒られましたけど」

「そりゃそうだろうな!」


 ですよね!うぅ、思い付きでくみ上げた魔法があれほどの威力になるだなんて思いもしなかったんですよ。私の性質が水の力の陰、つまりは氷の力が強いせいだったことに気づけたのはその後になってからなんです。だから今なら加減はばっちりなんですよ!


「加減をできるのはいいんだが、しなかったらヤバイ時点で変わらないと思うけどな!」

「そもそもな話そんな魔法を放つのにものすごく時間がかかるから時間を稼いでくれるひとか、或いは魔眼を使いこなせないと正直微妙なんですよね……。剣術はそれなりに学んでいるので戦うことはできるのですが、姫騎士の皆さんと比べてしまうとやはり劣ってしまいますので」


 しかも学んでからかなり時間もたっていますし、戦いの中に身を置いていないせいかさび付いてる気もするんですよね。いいんです。どうせ私は魔法職の魔王さんなんですから。


「いや、いじけるほどでも無いと思うからな?姫騎士の剣術レベルって相当だし、そんな相手に永久凍結魔法なんてぶっぱなされた日にはたまったもんじゃないぞ」

「そんな風におだてても何も出ませんよ?あ、これ最新式のMフォンです!」

「でてるし!?いや、ありがたくもらうけどさ!って……スマホだコレ!?」


 小型のタッチパネル式操作部を持つ最新式Mフォン。魔道式通信技術を使っていて中継基地なしで同じMフォン同士なら会話もメールも写真の通信もできちゃうんです!


「だけど、Mフォンってなかなか売れなくて、さらには流通量が少なすぎて、一般じゃ電話以外であんまり使い物にならないんですよね……」

「ちなみに値段は?」

「ええと、そう、紫メダル十枚分(百万セル)くらいでしたね」

「買えるかぁ!?いや、無理だろ!アタシの給料なんて三人で折半だったから赤メダル五枚(5万セル)しかなかったんだぞ!?な、なのに……ひゃくまんせるだなんて……。こ、これを売れば……ひゃくまん……」

「売らないで!?」


 なんだか夏凛ちゃんがMフォン片手にプルプルしてます!頭を抱えてうんうん唸って……。ううん、高価すぎだったのでしょうか?


「ちなみに、もう姫騎士のみんなには配ってて、林檎ちゃんと苺ちゃんにも、もちろんロベリアちゃんにもあげる予定なんです。まーくんの分は……えへへ、帰ってから特別なのを上げるつもりでして……」

「はいはい、ご馳走様。はぁ……。それならこいつは大事に使わねーといけねーな。というか、マジでオーバーテクノロジーってんなぁ。ああいや、サテラさんがいる時点で考えたら負けなのか。な、なんか頭痛くなってきやがった!」


 そう、これらを開発できたのはグルンガストさん――サテラさんの協力がとても大きい。私一人ではこんなすごいモノ開発できませんでしたから!


「テレビで見たことはあったのでどうしても作りたかったんですよね。目標はバイクに変形させることですね!」

「うん、それは色々と目指す方向性が間違ってると思うぞ!」


 バイクはダメらしい。それなら空飛ぶ虫型ロボットとかなら大丈夫なのでしょうか?ううん、お父様やまーくんなら喜んでくれそうなので考えていたのですが……。


「た、大変です!大変ですオウカ姫様!」

「どうしたの、ロベリアちゃんそんなに慌てて」

「はは、シャンプーでも風呂に落としちまったか?」


 カラカラと笑う夏凛さんが、アワアワとしているロベリアちゃんを頭をなでなでしながらなだめている。次、私も!私もなでなでしたいです!


「えへー♪じゃなくて、違うんです!そうじゃなくて!来ちゃったんです!」

「来たって……何がですか?」

「ふ、ふ、ふ、フレイア様が……あっ!」

「え?」「へ?」

「どうやら健壮そうだの。くふ、久しぶりよの、オウカ」


 紅い長く美しい髪をたなびかせ、紅く荘厳なドレスを身にまとったフレイア様が、お連れの人と一緒にそこにいました。え、え、何でです!??


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