表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第三章:炎の龍と温泉と、勇者な執事でベストマッチ!
150/554

18話:温泉のお土産の食べ物ってつい自分の分も買っちゃうよね?

 牢屋でなくて貴賓室でお茶を飲んで報を待つ。

 体のいい軟禁のような気がするけど、ここで文句は中々に言いにくいのが客賓の悲しいところだよ。


「とか言いながら早々に抜け出しているのはどうかと思いますが、そこのところはどうなのでしょう?」

「はい!?いやいや、目の前におるやん!」


 マネちゃんがびっくりしているけど、やっぱりサテラさんの目はごまかせなかったらしい。うん、ここにいるのは分身なんだよ。ニンニン?


「このままだったら動けないから仕方ないね。解決すると言っちゃってるんだし?少なくとも犯人がどんな奴で、何をどうしていたかとかまでは突き止めておかないとマネちゃんのお兄さんに話ができないんだよ」


 百聞は一見に如かず。自分の目で見たことは何物にも勝る。だから陰に隠れてニンニンしてるんだよ?


「それに、ちょっと気にもなるしね。あのおっちゃん少しだけ死臭がしたんだよ。血の匂いは無かったけど?出勤途中にでもゾンビに襲われてたのかもしれないし?」

「はっきりと将軍が造反している可能性があると言えばよいではありませんか」

「否定はできないけど、まだ肯定もできないんだよ。情報さんが足りないからね。だから実際に見てこようかなって?」


 そう、今回許可をもらい、出撃したのは将軍さんとその部下数名。これだけでも普通の勇者であれば圧殺できるクラスの強さを持っているそうだけど。うん、どれほどのものか気になるしね?


「かしこまりました。それではこちらの分身は居眠りでもしておいてください。その方が真人様のご負担も減ると思われますし」

「ん、寝たふりでもしておくよ」

「あと、買い食いはほどほどにしましょう。お土産もついでにお願いします」


 あれ?なんでサラマンダーさんと一緒に温泉饅頭食べてるのがばれてるのかな?はっ!衛星!?


「ぐ、その、お小遣いが……」

「頑張ってください。オウカ姫様も買ってきて下さるのを心待ちにしていると思いますので」


 うぉん、そのセリフはズルいよぉ!わかったよ!買っていくよ!ええと、サクラちゃんと大魔王城のお世話になってる人とアークルの知り合いと……あれ、お小遣い全部飛ばないかな?跳びそうだ!あ、あー通信状況が悪くなってきたかな!後はよろしく?……ぐぅ。


「あ、寝てもーた」

「寝たふりですよ。真人様はどんなに疲れていても寝ることはありませんから」

「それ、病気とちゃうん?」

「そうであれば、どれだけ……」





 サテラさんの心配そうな声を聴いて、ため息をついてしまう。うん、単純に寝ないだけだから心配しなくてもいいのになぁ。人間寝なくても休んでれば死なないんだよ?働き続けたら過労死するけどね!したけどね!


 温泉街の石畳の道を追加で買ったあんこ入りの人形焼きをぱくつきながら歩いていく。分身をこそこそと放って、忍んで隠れてニンニンと情報をかき集める。

 やはり最近きな臭いのはあの将軍のおっちゃんらしい。執務中にいなくなるのはしょっちゅうで、書類仕事を部下に投げるなんてことはしょっちゅうだとの話。うん、なんだか優しそうな雰囲気の宰相の眼鏡の兄ちゃんの方が職員さんからも兵士さんからも人気があるみたいだった。


「それでもやっぱり、フレイア様の人気がダントツなんだよなぁ。強さだけじゃなくて美人さんでスタイルも抜群だし?頭もよくて、人当たりもいい。どんなに低い身分の人間とでも打ち砕けて話してくれるって最高じゃないかな?」


 本当に大魔王とは大違いんだよ。あの大魔王ってば打ち砕けて話すんじゃなくて、打ち砕きに来るからね?主に物理的に?


「本当に何度決め技!とかヒッサーツ!とか言いながらコロコロされたか……。ぐす、あれ、なんだか雨が降ってきたのかな?ぽつぽつ降ってらぁ」

「きゅうぅ……」


 ポムポムと頭の上のサラマンダーさんが慰めてくれる。ああもう可愛いなぁ!お前がずっと一緒にいてくれたらどれだけ俺が救われるか。うん、連れて帰りたいなー。ダメだよなぁ……。


 サラマンダーさんと露店の足湯につかりなが温泉卵をちゅるりと食べる。ここの国は修羅の国からお醤油さんが沢山輸入している。もちろん温泉卵にもお醤油が掛かっているのだ!ああ、幸せだなぁ。……うん、なんだかお城の分身に向けられるサテラさんの視線が痛いな!大丈夫ちゃんと働いてるからね?分身さんは結局自立型じゃないから、自分で動かしてるんだよ?マルチタスクでいつも通りだから、休んでるようで休んでないんだよ!


「うん、この後はやっぱり冷たいモノが食べたいなー。サラちゃん何かいいとこある?」

「きゅー……。きゅ!」


 ふむふむ、どうやらここから少し先のアイスが美味しいらしい。うん、後で行こう!


「ぐふwぐふふwwおふぅうwwwそ、そのww可愛いwwもふもふwwですなwwwおふぅww」


 何とも言えない独特の口調に驚いて振り返ると、とてもふくよかで眼鏡をかけたボサボサの黒髪の男が足湯に入ってきた。何だろう、とても親近感という何かを感じざるを得ないけど、とても怪しいんだよ!!え、何かなサラマンダーさん?俺も怪しい?し、心外だな!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ