表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第三章:炎の龍と温泉と、勇者な執事でベストマッチ!
146/554

14話:都会に比べて田舎の方が星空がきれいなのってなんだかうらやましいよね?

 居場所もなく、寝床もなく、俺は縁側で星を見る。

 旅館のお部屋は沢山あるのに、なんでみんな自分の部屋で寝ないのかな?自分の部屋に行っちゃったのマネちゃんだけだったよ!


「それだけ傍にいたいってことですよ」

「あれ、サクラちゃん眠れないの?」

「ええ、やはり枕が変わるとどうにも」


 たはは、と笑いながら俺の横に腰かけてきた。シャンプーの香りがふわりとして思わずどきりとしてしまう。今更ながらにこんなに美人で可愛い子が俺の恋人さんなのだ。幸せ者だな、俺!!


「星を眺めていたんですか?」

「ん、まぁね。俺のいたところとは星座も月も何もかもが違うけど、やっぱり星空は嫌いじゃないんだ」


 小さいころから眺めていたから、いや、星詠みなんてやっていた義母さん(かあさん)の影響かもしれない。


「……この眼帯を外して一緒に眺められたらよかったのですが、ごめんなさい。まだどうにも力が制御できなくって」

「気にすることは無いよ。一緒に眺めるだけなら、大魔王城に帰ればいくらでもできるし」

「ううん、そうじゃないの。今この瞬間、まーくんと同じものを見たかったから、だから――あ、まーくん?」


 いじらしくって可愛くって思わずぎゅっと肩を抱き寄せる。今のサクラちゃんは浴衣姿。いつもと雰囲気が全然違っていて、やっぱり可愛い。


「サクラちゃん、大好きだ」

「ふふ、私もです」


 俺に体を預けてくれて、サクラちゃんの体温と柔らかさを感じる。静まれ、静まれ俺の息子よ。ザンバットソードは開放しちゃダメだ!ああ、胸の高鳴りがサクラちゃんに伝わりませんように……。うん、たぶん耳まで真っ赤だよ!


「いつかこの目を使いこなしていろんな景色をまーくんと共有したいです。でも、少しは使えるようになったんですよ?昨日だって、その、マネちゃんを気絶させるくらいで済ませられましたし」

「そういえば昔までもっとひどかったんだっけ?」


 俺がうわさで聞いた話では発狂まで行ってしまうレベルの能力だったそうだけど、マネちゃんは意識を刈り取られただけで済んでいた。この前のバアルのときに使ってもらったことを考えると決して弱くなったとは考えられないし、少しずつではあるけれども着実に前進できているようだ。


「昔はこの目を見ただけで発狂させたり、廃人にしてしまうクラスの力だったんです。実際の被害はなかったらしいんですけど、あまりの力のせいで母様がいなくなってからはずっとあの塔で一人で……」


 おそらくきっとアリステラさんやサテラさんが様子を見に来ていたのだろう。けれどもそれは合間を縫っての事、いつもこうして傍にいてくれるわけじゃあない。


「いまこうして誰かが傍にいてくれる。それだけで私は幸せなんです。お友達もたくさんできて、お話も沢山出来て。ううん、なによりこうしてまーくんにギュッとされてるだけで私は生きていた中で一番幸せです」

「俺もだよ。こんな風に好きな人と穏やかな時間を過ごせる日が来るだなんて思いもしなかった」


 俺の人生も波瀾万丈すぎてヤベーイ!って感じだったからね!マグマに向かってゴー・シュート!なんてされた日もあったし!熱いってもんじゃなくてマジでヤバかったよ!


帰る(生きる)理由が無くなって、どうすればいいかわからない時に君がいてくれた。いてくれなかったら俺はきっと壊れてた。だから俺は幸せ者だ」

「私は何も。あの日、私を鳥かごから解き放ってくれたのはまーくんです。まーくんがいてくれて、私は幸せ者です。ふふ、同じですね」

「だね」


 ぎゅっと手をつないでまた星空を仰ぎ見る。満天の星空にかかる天の川。三つの月が輝く異世界の星空は淡く、優しく光り輝いて――あれ、なんか降ってき――むぎゅる!?


「な、なんかふかふかの何かが降ってきたよ!?既視感というかこの感触って、やっぱりサラマンダーさんだ!いやいやどうしてどこに行ってたのかな?」

「きゅうう……」


 なんでか目をクルクルと回して気絶している。もふもふ。ううん、いったいどうしたんだろう?サラマンダーさんなのに焦げてるし?もふもふ。


「ま、まーくん。その子がさっき言ってたもふもふさんですか?」


 サクラちゃんがもふもふしたそうにしている!ああ、キラキラしててカワイイなあ!もふもふ。


「だよ。いつの間にかどっかに行ってたんだけどお空から降って帰って来たんだよ。ううん、また危ないことしてたのかなぁ」


 この時間帯にまだゾンビたちが出たという話は聞いてないし、もしかしたら何かまた事件が起きたのかもしれない。もふもふ。


「どちらにせよ調べるのは明日だけどね。今動くとコッソリついてくれてる警備の人に迷惑かかっちゃうし」

「ですよね……」


 サクラちゃんがいるという話をした後からこの旅館の警備が明らかに増えている。うん、VIPだからね!大魔王の娘だし、一応は魔王だし?もふもふ。


「ん?あれ、この子ってどこかで……」

「なに、サクラちゃん知ってるの?」


 首を可愛らしくかしげるサクラちゃんをじっと眺める。ああ、モフモフしてるサクラちゃんも可愛いなぁー。もふもふ。


「知ってる気がする、ですね。ごめんなさい、思い出せないです」

「いいよ、謝らないで。サクラちゃん、全然悪くない」


 この子も割と謎だからね。もふもふ。お城に行ったときにでも知ってそうな人に聞いてみるかな。もふ!

とっても遅くなりました。申し訳ありませんOTL

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ