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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第三章:炎の龍と温泉と、勇者な執事でベストマッチ!
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12話:温泉旅行に行くたびになんだか事件が起きないかそわそわするのは小説の読みすぎだよね?

 ぐるぐると、市内を巡り回って、足を棒にして、ようやっと帰ってきたよ温泉旅館!


「はいはいお帰り。そんなに交渉に時間がかかったのか?」

「交渉中というか、探索中?交渉に行って気づいたら事件に足を突っ込むことになってたんだよ!」

「うん、意味わからん!」


 夏凛ちゃんが考えるのをやめた!まぁそうだよね。普通に聞いて意味わかんないし?


「交渉で、こちらが最近巷に現れるゾンビやグールが現れている事件の解決を依頼されたわけです。それを解決すれば条件を飲む、と相手側が言ったためにそういう事になりました」

「なるほど、サテラさんの説明でストンと来た」


 おかしい、なんで伝わらないんだ!?人と人とは言葉だけじゃ分かり合えないと言うのか!!


「んで、なんでオウカ姫さまは隅っこで膝抱えて落ち込んでるんや?」

「ああ、お昼ごろにアリステラ様から通信があってこっぴどく叱られていたからな。それからずっとあんな感じだよ。まぁ、暇を見てお風呂に連れだしたりはしたけどよ」


 やっぱり怒られたらしい。一国のお姫様が勝手に抜け出したらそりゃあ怒られるよね!


「うぅ、サテラさんが連絡を入れてくれているから大丈夫だと思ったのですが、ぐす、やっぱりすごく怒られました……」

「うん、サクラちゃんをカバンに詰め込んでいきますとか言ってないとは思うけど、何も連絡せずに出ようとしたのは事実だからしかたないね。次からは連絡していこう!」

「いえ、恐らくは姫様が外に出たこと自体が問題なのかと」


 どういう事、と言葉にする前にはたと気づく。――魔眼。サクラちゃんは今だにその力を制御できておらず、眼帯をすることで封印している状態だ。そんなサクラちゃんが自分たちの領に来るとなるとその領はとてつもなく警戒をする筈だ。なにせいつ爆発するかもわからない爆弾をひょいと投げてよこされてきたようなものだ。うん、一言でいえばふざけんな?と殴り掛かられてもおかしくない状況ではある。


「そういう事はサテラさんが想定しないとは思えないんだけど、そこのところは?」

「はい、問題ありません。どうせフレイア……様の領ですし?」


 どこか遠いところを見ながらため息をついている。何となく気になってはいたけど知り合いだったんだよね。たぶん?


「ええ、私がこの体(勇者)だった頃からの。幾度やりあったかも覚えていないくらい戦った記憶があります。機械の体になった後寂しそうな顔をしていた理由が今になってやっとわかりました」


 ライバル的な感じだったらしい。殴り合っていたらいつの間にか友情が芽生えていた的な?なるほど、タイマン張ったらダチ理論か!ユウジョウ!


「つまるところ、その旨はすでにフレイア様にお伝えしておりますので、問題はないかと。この領を去る折りにオウカ姫様を連れて行く約束ですので、覚悟だけはしておいてくださいね?」

「ひゃ、ひゃい……」


 サテラさんの笑顔が怖い!サクラちゃんがプルプル震えてるんだよ!

 こういう時は癒しが必要だね……ってそういえばいつの間にかモフモフ、じゃなかった、サラマンダーがいなくなってる。おかしいな、旅館に入るまではいたはずなんだけど……。


「あのモフっ子なら温泉の方に行ってたで?もしかしたらお風呂にでも行ってるんとちゃうか」

「サラマンダーってお風呂いるのかな?」


 火の精霊さんなのに温泉は大丈夫なのかという心配もあるけれども、ここの温泉は霊泉でもあるしきっと大丈夫なんだろう。


「それで、結局そのゾンビの事は分かったのか?」

「いい質問だね、夏凛ちゃん。大体わかったんだけど、わからないことが分かったんだよ!」

「そこのところどうなんだ、サテラさん」


 華麗にスルーされたよ!おかしいな!おかしいよね!ロベリアちゃんどう思うかな?


「自業自得じゃないです?」


 すっごいジト目で見られた。うん、ありがとうございます!俺少し泣くね!……グスン。


「今日分かったことは、昔多くの人が死んだところにゾンビが発生しており、原因は魔術式によるゾンビの召喚であり、肉体は魔力によって編み出されているようでした。ゾンビが発生した各所にてサーチしたところ、魔力が空になった魔石が落ちており、その見解はおおよそ正解かと思われます」

「おお、もうそこまでわかっているんだな!」

「ふふ、さすが俺!」

「それで、犯人は?」


 また華麗にスルーされた!サクラちゃん!みんながいじめるよぉ!


「ぐす、はい。ぎゅっとします。ぎゅー」

「えへー」


 サクラちゃんにぎゅっと頭をだきしめられて、柔らかな温かみに和む。

 ああ、ぼかぁ、しあわせだぁ……。


「何ですかこのバカップル」

「無視だ無視。それで、どうなんだ?」

「はい、残念ながらそこまではいきついておりません。ですが、傾向は掴んでおりますので、明日城に赴いて人死にが多く出ていた場所の情報を得る予定です」

「え、そんなの町の人に聞きゃ一発なんじゃねーのか?」


 夏凛ちゃんが当然のことを言ってる。けれどもそれは残念ながらできない相談なんだよ。


「ここは観光名所だからね。悪いうわさが立っちゃうと客足に影響がモロに出ちゃうんだよ。だから誰もそのことに関しては話してくれない。ゾンビの事に関しても町の人からはゾンビ?ああ、兵隊さんがやっつけてくれるから大丈夫だよ、くらいしか言ってなかったからね」


 だから正確な情報が得られない。聞くんなら長期間泊ってるようなお客さんなんだよ。あっちの方がまだ利益も損もないから話してくれることも沢山あるしね!


「本当は早く行って早く解決したいんだけど、夜にお城に行くのも迷惑だし、夜のお店に俺はまだ立ち入れないから聞き込みもここまでなんだよ。聞き込みによるとなぜか一番活性化するはずの夜にはゾンビさんたち一度も出たことが無いらしいからね!うん、フシギダナ?」

「それも気になるところですね。なにか理由があるのでしょうか?」


 あるとすれば向こうさんの都合なのだろう。そこも含めてそれは明日考えるんだよ!今日はもうお休みタイムだ!


「そういう分けで、お風呂行ってくるんだよ!疲れた時の温泉は格別だからね!」

「はいはい、のぼせるんじゃねーぞー」

「行ってらっしゃい、まーくん」


 ひらひらと手を振ってお風呂セット片手に大浴場へと向かう。ふふふ、男は俺だけだから思いきり泳いでやるんだよ!本当はダメだけど、少しくらいなら……ね?

遅くなりましたOTL

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