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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第三章:炎の龍と温泉と、勇者な執事でベストマッチ!
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5話:サウナから出た後の水風呂はとっても気持ちがいいけどすぐに入ると心臓に悪そうだよね?

 タンカで運ばれていくマネちゃんを見送って。

 改めてフレイア様と対面する。うん、美人でおっきいなあいたぁ!だから足を踏まないで欲しいな!!


「くふふ、あれほどまでの力を持ちながら面白い男よの」


 からからと笑いながらフレイア様は目を細める。うん、本当にきれいな人だ。


「それで、私共のお願いは聞いていただけるのでしょうか?」

「ああ、船を作ってもらう事、そしてそちらの領に製鉄所を作ることは話を通そう。しかし、部品などを製造するのはドワーフ一族の仕事。我がいくら許可を出そうともあ奴らが首を縦に振らなければ無理であるぞ?」


 それは百も承知。だからこそマネちゃんについて来てもらったわけだ。気絶して運ばれて行っちゃったけどね?


「ドワーフたちの労働連合があるからそちらへのとりなしはこちらからしておこう。っと、あと注意をしておこう」

「注意、ですか?」

「ああ、お前ほどの力を持っていれば問題ないとは思うが、最近この辺りで亡者やグールが多く出現しておる」


 亡者とは死んでしまった肉体に再び魂が宿り動き出した存在。意思もなく、心もない、ただ魂があるから動いてしまうという存在。つまりはゾンビだ。グールとはその上位の存在……らしい。うん、見たこと無いから伝聞なんだよ!


「しかし、亡者となると裏に冥界の者がいると?」

「そこは分からぬ。グルンガスト、奴の動きはどうなのだ?」

「……城の地下で引きこもり生活を続行しています。ライフラインは生きていますので死んではいないかと」


 んんん?お城お地下というと大魔王の地下だろうか?そこで引きこもりって……。


「四天王が一人、冥府侯爵クリュメノム・エルステイン。侯爵と名を打たれておりますが、冥界の王となっております。ただ、その、仕事はすべて部下に投げ捨ててしまっていて、普段は大魔王城の地下深くに引いたライフラインでネットゲームにいそしんでいると……」


 なるほど、ネトゲ廃人さんかー。うん、ネットゲームってことは異世界とのゲートを開いているんだね!それだけの力を持っているのにネトゲ廃人……。


「この異世界ってどうしてこう、アタシたちの予想の斜め上を行ってくれるんだ……」


 夏凛ちゃんが頭を抱えてる。うん、死の王ともいわれる冥王さんがお城の地下でネット廃人やってるだなんて誰も想像だにしないよね。俺も予想外過ぎて頭を抱えそうだよ!


「まぁ、あのバカが動くことは無いだろう。となれば別口……死霊を繰るヴァンパイア共、或いは……」

「勇者、ですか」


 サテラさんとフレイアさんが思慮にふける。

 誰かを護る存在であるはずの勇者が死霊を操るだなんておかしな話だけれども、彼らのチートの一部にその能力があるといわれてしまえばそれで納得してしまう。それほどまでに規格外な存在、それがこの世界でいう勇者なのだ。俺は認めないけどね!!


「そこんところどうだい夏凛ちゃん?」

「ううん、死霊とかグールを操る奴だなんてアタシは聞いたこと無いなぁ。でも勇者教の奴らが外聞が悪いって隠してる可能性もあるし、なんとも」


 手掛かりは無し、か。でもううん、正直ヴァンパイアの線は無いと思うんだよなぁ。あの貴意の高い蝙蝠のおっちゃんがこんなまどろっこしいことをするとは思えないし、何よりメリットがなぁ。


「そういえばかの吸血鬼侯爵をお前は討ち果たしたのであったな」

「討ち果たしたというかぐるぐる巻きで封印しただけですよ。封印解除をすぐにできるようにしてたんであの後かなり奥さんに絞られてたみたいですけど?」


 奥さんに頭が上がらないみたいで、頭を踏まれてたんだよ!うん、なんでか嬉しそうだった気がするのは見なかったことにしておこう。きっとそれがあのおっちゃんのためだしね!


「この件は保留だの。吸血鬼侯爵でなくともヴァンパイアはおる。もしかすると野良で動いている奴が領地を求めているのかもしれんしな」

「そうですね。何もわからないうちに結論を出してしまう方が危険です」


 とりあえずは亡者(ゾンビ)とグールに要注意ということだ。見たら近寄らない触らないで逃げてしまおう!まぁ祓ってしまえばいいんだけどね?お祓いはお仕事だったから得意なんだよ!


「ともあれそちらの領との件の仔細は一度こちらの文官に投げたのちに、改めて文章としてそちらに送ろう。それでよいか?」

「ええ、こちらとしては申し分ございません。ありがとうございます、フレイア様」


 言って俺は頭を下げる。うん、成果としては上々、これ以上無いといっても過言ではないんだよ!ああ、緊張したなぁもう。


「ふむ……ふふ、帰るときにまたここに来るとよい。その時は、そうだな何か土産を用意しておこう」

「期待しております。それでは失礼いたします」


 再び頭を下げて俺たちはようやっと謁見の間を出ることができた。



「しかし、真人。よくあの幻影を見破れたな?」


 夏凛ちゃんがもじもじとしながら歩いてる。うん、着替えはまだ我慢してね?この後、宿に行ってからで!


「というかそもそも俺には幻影は通じないから、無理くり木札を使って幻影に入っていたんだよ。いやぁ、実力を測ってくれるのにその場にいなかったらやばかったんだよ!」


 あれ、夏凛ちゃんが唖然としてる。うん、俺には最初からあの場でフレイア様がニヤニヤしながらこちらを眺めてたのを知っていたんだよ?


「な、ばっ!それならなんで最初からぁ!」

「あそこで速攻で見破ったらフレイア様の立つ瀬ないでしょ?というか、そうなってたら実際に戦う羽目になってたかもしれないからひやひやしてたんだよ!」


 うん、あの火力をまともに浴びたらマジで魂ごと焼かれるところだったからね!


「最も、フレイア様はそれを承知のようでした。あの方は私が元々この姿だった頃からあのお姿ですので、いろいろと、そう。年季が違います」


 つまりは承知の上であの幻影バトルだった訳だ。ふふ、どちらにせよ容赦がなくてすっごく疲れたんだよ……。


「いえ、そんな事より幻影の中で、戦いながら交渉してたことが頭がおかしいのでは?」

「あ、確かに」「その通りだと思われます」


 納得された!?おかしい、俺は普通。普通だよ?だってほら、今回は戦いに来たわけじゃなくって交渉しに来たんだから!ね、俺間違ってない!


「ねじが三本くらい外れてると考えたらいいのです」

「ああ、なるほど。いや、もう少し外れてないか?」

「ねじというか部品と捉えてもよいかと」


 三人の言葉が辛辣だ!あれれ、おかしいな!目から汗が流れてきたよ!ふふ、ここもなんだか熱いなぁ!……ぐすん。

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