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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:不器用なウサギとぶっきらぼうな狼
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挿話:不器用なウサギとぶっきらぼうな狼3

「それでなんでその話を俺に持ってくるのかな?俺修羅場中。修羅場なの!木札さん削りながら分身増やして分身増やして木札を削って、俺を増やして俺が死にそうなの!」

「普通に書類作業すればそんなことにならないと思うのだけど?」


 執務室に入ってきた林檎ちゃんがなんだかあきれ顔だった!でも仕方ないんだよ!俺の手は二つしかないからね!さらに増やさないととてもじゃないから手が足りない!頼りの猫の手クロエさんは書類を任せたら五秒で寝てた!可愛いけどそれじゃあ困るんだなー!困るよ!助けてロベリアちゃん?


「コーヒーでも飲んで眠気を覚ましてください。寝ないでしょうけど?」

「そのやさしさだけで生きてける!あざーっす!」


 真っ黒なコーヒーを一気にガブっと飲み干して作業に戻る。うん、マジでまじめに忙しいの!


「ほら喜べ追加だぞ!」

「夏凛ちゃん、喜べない!マジで喜べない!次はどこの!」

「お前さんが水蛇でつぶした鉱山だとよ?水気は抜けてるって話だが、諸々の装置が壊れているんだと。水没すりゃそりゃなぁ」


 んん!考えなしに一気にやった自分が憎い!でも大丈夫、そこは流石の俺!工場が再稼働さえすればその壊れた機械も最新のピカピカマシンで再稼働だ!


「で、その予定は?」

「未定!その前に第一次産業の農業を立て直さないとマジでまじめに何も動かせないんだよ!道路のインフラも急務なの!サテラさんのゴーレムで一気にロードローラだ!ってやってもらってるけど、それでも工程の二割が終わったとこだからまだまだなの!」


 十分に速いスピードだけども、まだまだ足りない、速さが足りない!うん、俺が分身して一気に整備していくには木札をもっと増やすしかないわけである。書類整理をしながら公共事業をやって、工場を立て直す!立て直しのほとんどはサテラさんに丸投げしてゴーレムを使った作業の機械化を増やして減ってしまった工員の代替わりをしてもらっている。

 うん、街単位の産業革命だよ!というかそうでもしないと人手が足りない!マジで足りない!誰だよ、こんなに人員を殺して潰して減らしたの!あいつだよ!バアルだよ!糞ったれぇええ!


「叫んでないでお仕事してください」

「そうそう、ほら、気を抜いてたら追加が来るぞー」


 くそう、おまいらも働いて!ほら、食事の準備も俺の分身さんが頑張ってるんだよ?だからそっちのお手伝いをお願いしますですぐべら!


「大丈夫なの、真人さん……」

「大丈夫でしょう、真人様ですし」

「真人だしなぁ……」

「ね、むぅ……」


 うん、苺ちゃんは沢山書類仕事手伝ってくれてるから途中で休んでいいからね!でもロベリアちゃん他、みんなは働こう!働かなければ生き残れないんだよ!


「できることはやってるさ。力仕事とかな?」

「私は治療院のお手伝いしてきたところだし?」

「お茶くみはやってますので」

「すやすや……」


 うん、俺はもっと頑張らないといけないらしい。頑張れ!負けるな俺!命……燃やすぜ!燃え尽きそうだな!つらいよおおお!サクラちゃんに逢いたいよおおおお!


「あ、壊れました」

「放置放置、で、どうする?」

「どうするって、何の話だ?」


 夏凛ちゃんが小首をかしげる。


「ほら、ちみっこいウサギのお姉さんのミウさんとヴォルフさんよ!」

「ああ、あの二人か。なーんかミウの姐さんが遠慮してるところがあるよな」

「そうなんです?どう見てもつんけんしてますけど?」


 片耳を傾けながら、今度は書類整理に移る。げっ、鉱山の諸々の損害が思ったよりでかい!ううん、沢山魔石が取れてることだしそれを使って大魔王のところから工業製品仕入れるかなー。あー、でもそれならマネちゃんの故郷から取り寄せた方が質がよさそうかな?ドワーフさんのお仕事は丁寧で精密だからこの領の工業製品にはなくてはならないものだからね!うん、そうしよう。追加発注だ!


「で、聞いてるんです?」

「お仕事ちゅうだから聞き流してるの!その話は隣で寝てるクロエちゃんにでも言ってあげたら喜ぶんじゃないのかな?」

「寝てる子を起こすのはダメだよ。うん、苺ちゃんも寝てるし?」


 それならお仕事中に話しかけるのはどうなのかな!ロベリアちゃんもちゃっかり(本体)の膝に乗ってるし!というかよく見つけれたね!


「匂いで?」

「そういえばお風呂に入れてない、温泉!温泉んんん!」


 ああ、大魔王城の温泉が恋しいんだよ!ゆっくりゆったりつかりたい!あそこって割と眺めも良いから飲み物持って入ってゆったり入るのが最高なんだよ!


「なんだか遠い目してます。手はバリバリ動いていますが」

「そっとしておこう。疲れてるんだよ、こいつも。だがなー、あのうさ耳の姐さんがねぇ」


 ソファにどかりとすわって、夏凛ちゃんが顎に手を当てている。うん、美人顔だから様になってるなー。


「うん、ヴォルフさんもまんざらじゃなさそうなんだけど、どうにもミウさんが二の足を踏んでる感じがねー」

「なら後ろを押すならうさ耳の姐さんか。しかしなー、素直じゃないだろ?」


 素直じゃないと言うかツンデレさんだからね?俺から見てもそう思うよ!

 でも最初にケロさんに跳び蹴りしてたけどね?うん、見事な跳び蹴りだったよ!


「それは置いといて、割と気になっていたんだけどなんで姐さんなの?たしかミウちゃんって十歳くらいじゃなかったかな?」


 そう、確かそんなことを言っていた気がする。ドワーフラビット族の成人年齢は十歳だって。


「でも年下って言われたぞ?」

「そういえばそんなこと言われたわね」


 謎が謎を呼ぶぞ!うん、お仕事してる場合じゃない!早速調査だ!……え、ダメ?ダメだって言われちゃった。テヘ!


 あ、ジトありがとうございます!

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