第299話:ギャンブル
投稿出来ていなかった……(´・ω・`)
「サンブルク……」
「ああ。サンブルクは賭博や水商売の店が多く、かなり裏社会色が強い町だ。もちろんちゃんとした町長はいるし、今はレアの支配下にあるが、実質的に暗殺ギルドなんかの非合法組織が支配してる。だから、シェリルの情報が見つかりやすいかもしれねぇ。もしそうなら……だがな」
なるほど……。
「……分かった。サンブルクに行こう。いいよねリーダー?」
「はいはい……じゃ、物資の調達を済ませて宿に戻りますか?」
「いや、その前に冒険者ギルドへ寄ろう」
「へ? あ、デレフさんに連絡するの?」
「それもあるが……お前ら一度故郷へ連絡しとけ。さすがに俺も悪い気がしてきてさ……無事なことを知らせてやった方がいい」
「あー……」
「そうですね……」
お母さん達はいいんだ……多分怒ってないから。
まぁ、心配はかけちゃってるけど。
それよりも、とにかくガガンさんがうるさいんだよねぇ……。
「それに、戦も終わったことだし、ひょっとしたらロードのことが何か分かるかもしれ……」
「さ、急いでギルドに行きましょう」
「ディンさんたらたら歩かない! 早く!」
「お前ら……」
そうだったそうだった!
イストに連絡がきてる可能性は高い!
今に必死で忘れてたよ!
「ディンさんどっち!?」
「はは……お前らといると退屈しねぇで済むよ」
「いいから案内! 早く!」
「分かった分かった……そこ右だ」
―――――――――――――――――――――
「本当なの!?」
『あ、ああ……無事だ。2人ともな。因みに、竜王はロードが倒したんだとよ。なんか色々あって公表は避けたらしいが……で、今はギリシアの復興に手を貸しているそうだ』
りゅ、竜王を!?
さすがロードさん……魔王に続いて竜王も倒しちゃうなんて……!
ああ……早く会いたいなぁ……。
『そんなことよりお前ら! なんで連絡の一つも寄越さねぇんだよ! みんな心配して……!』
「あ、ごめんごめん……実はね……」
私はガガンさんに今の現状を伝えた。
話さない方がいいことを除いて。
「……って訳だからさ。心配しないで」
『シェリルって女の子を探しに北へ……ったく、お前らは本当によぉ……言いたいことは山ほどあるが、どうせ言っても聞かねぇしなぁ。まぁいいや……で、強い味方って? 誰なんだよそいつは?』
「あ、えーっと……」
私がディンさんを見ると、両手で大きくバツを作っている。
やっぱり言わない方がいいってことか。
「とにかく強くていい人だから! 大丈夫!」
『な、なんだよそりゃ!』
「また連絡するから! じゃ!」
ボロが出る前に終わらそ……。
『あー待て待て! ロード達も心配してたから、せめてお前らの声を聞かせてやれ。今録音すっから』
「えっ!? ロ、ロードさんに……?」
『んじゃいくぞー。ほれ』
へ!?
あ、ちょっと! まだ心の準備が……!
「……ん? も、もういいのかなこれ……ロ、ロードさん! レヴィ! ティアです! お久しぶりです!」
「ロード、レヴィ? アスナだよ。久しぶり」
「今私達は北の方にいます! えっと……寒いです!」
「はは……緊張してるのは分かるけど、それじゃ伝わらないってば。私達ね、今はコールドシューズって町にいるの。無事だから心配しないで大丈夫。強い味方もいるし」
「そうそう! とにかく無事なんで! やることやったら会いに行きます!」
「まだちょっとかかりそうなんだ。今は北の町を転々としている感じかな。もうちょっとで見つかりそうなんだけどね。ただ、助けてもらったお礼もしなきゃ……え?」
アスナにつられてディンさんを見ると、多分だけど"早くしろ"というジェスチャーをしていた。
どうしたんだろう?
「ああ、はいはい。分かりました。じゃ、そろそろ行かなきゃ。またね……ロード、レヴィ」
「も、もう終わりかぁ……じゃ、ロードさん、レヴィ……また!」
『ん? もういいのか? まだ時間は……』
「えっと……もう行かなきゃ駄目みたいなの」
よく分かんないけど、なんかディンさんが慌ててるし。
「また連絡しますね。それじゃ」
『あ、ああ……とにかく気を付けてな!』
「「はーい!」」
通信魔石が光を失って――――
「落ち着いて聞け……さっきそこの窓から見えたんだが、レアの兵士が周りをうろついてる」
「え!?」
「しっ!」
「あ、ごめん……」
「ここに来るまでは見つかってなかったのに……」
「こっちを見つけたにしては動きが緩慢だった。恐らくだが、ただ単にそこら中の町をしらみつぶしに探しているだけだろう。だが、油断は出来ねぇ……奴らがいなくなり次第、顔を隠して宿に戻るぞ」
「「了解」」
……油断は禁物ってことだね。
でも、とりあえずロードさんとレヴィが無事でよかった。
それが分かっただけでも勇気が湧いてくる。
スカークさんも見つかりそうだし、あとはシェリルとオトリスの調査か……。
よし! 決めた!
この後どうするかちょっと迷ってたけど、全部上手くいったらアスナと一緒にロードさんのとこへ行こう!
「アスナ! ロードさんに会いに行く為にも頑張ろ!」
「うん!」
「だから静かに……!」
「「あ、はーい……」」
が、頑張ろ……!
―――――――――――――――――――――
サンブルク
元々はティーターンの属国であり、現在はレア側についている中堅国家、ヴェトフスに属する町である。
サンブルクは北の大陸の中心に位置することもあり、古くから交通や物流の拠点として発展してきた。
人の往来が多い為、それを活かそうとしたこの町には、酒場やカジノ、水商売などの店が建ち並び、冒険者や商人達の休息の場としても知られている。
だが、そういった華やかな世界には、必ずといってもいいほどに闇が存在するものだ。
町長という存在はもちろんのこと、国家権力ですらがサンブルクではあまり意味を為さず、実際に町を仕切っているのは、賞金首名簿の上位に名を連ねるような犯罪組織である。
当然だが、当初は国も彼らを排除しようといくつもの策を講じていた。
だが、その全ては徒労に終わる。
暗殺ギルドによって排除派の政府高官は消され、肯定派は賄賂で寝返り、そうしていつしか、彼らに対して異を唱えられる者は誰もいなくなった。
力と金。
それが彼らに自由を与えたのだ。
レアに対してもそれは変わらず、レアもまた、莫大な金を生み出すこの町を黙認することに決めていた。
故に、彼らを止められる者は……やはり誰もいないということである。
―――――――――――――――――――――
俺は……この道20年のベテランだ。
この仕事に誇りを持っているし、一流であるという自負もある。
事実、これまでに多くの勝利を積み上げてきた。
大体の奴は、俺の手によって最後は泣きながら惨めに去っていく。
そのまま二度と見なくなった奴もいたな。
この場において俺は神であり、群がる奴らは灯火に引き寄せられる羽虫みたいなものだ。
身を焦がされながらも尚、無様に手を前に出していく。
ずっとそうだった。
「あ、やったー!」
なのに……。
「また当たったよ!」
なんなんだ……。
「すご……ティア、これで何連勝?」
「えーっと……10から先は数えてないや」
なんなんだこいつはぁ!?
「お、おめでとうございます……どうぞ……」
俺は震える手を必死に抑え、目の前に座る少女にチップを滑らせる。
「あの子また勝ってるぞ……」
「やべぇな……なんで分かるんだ?」
「まぁ、赤か黒の二択でやってるとはいえ、いくらなんでも当て過ぎだろ……」
「つ、次のゲームに参ります」
俺はいつものようにルーレットを回す。
落ち着け。
まだ負けた訳じゃない。
上手くやればまだ……。
「ねぇ、アスナ……ところでさ、これ1枚いくらなんだろうね?」
……はぁん!?
お、おま……価値も分からず!?
「100って書いてあるし、多分そのまま100ゴールドでしょ?」
100チップは1万ゴールドだよ……!
「あ、1000ってのもあるよ! これ1枚で1000ゴールドかぁ……大金だね!」
1000チップは10万ゴールドだよぉ……!
「ディンさんに適当に遊んでこいって100チップを5枚貰ったけど……結構儲かっちゃったね」
「そだね! 100のやつだけで10倍くらいになっちゃった」
大体50万ゴールドですね!
「えと、1000のは5枚あるね」
合わせて100万ゴールドですねぇ!
「ティアのおかげで今日はご馳走かな?」
「やった! ビーフシチューにしよ!」
安上がりか!
1000杯は食えるわ!!
「てか、ディンさんまだかなぁ? ねぇアスナ、どこ行くか言ってた?」
「上の階に行くとは言ってたけど、私達を探しに来ないってことは、まだ見つからないんじゃない?」
「ぽいねぇ。私達も探した方がよくない?」
「じゃ、これで終わりにする?」
な、なんだと!?
「そだね。じゃあ最後だから多めに賭けよっか」
「そうしなよ」
「じゃ、100を半分と、1000のやつ全部!」
「ええ!? 外れたらどうするの!?」
「大丈夫大丈夫!」
お、おお!
これは逆にチャンス!!
「ん、あれ? ディーラーさん……どうしたの?」
「はっ!? な、なんでもありません……さ、皆さまどうぞベットを」
い、いかんいかん。
落ち着け……クールになれ……。
平然と大金を賭けやがるから見誤ったが……この小娘がど素人だと分かればこっちのもんよ。
俺はルーレットの出目をある程度自由に出せる。
数字を狙って出すのはもちろん、赤か黒なら目をつぶっていても余裕だ。
客はそれを知っていて、俺の思考を読んでベットする訳だが……こいつらはそれを知らない。
つまり、完全な運勝負だと思ってる訳だ。
今まではムキになって赤か黒で勝負していたが……次はそうはいかないぜ?
「それでは入ります……」
客はギリギリまでチップを置かない。
まぁ、ある程度先に置き、直前で変えるってパターンもあるが、とにかくそうしないと俺に外されちまうからな。
だから、俺が玉を弾いた後に"ノーモアベット"と言う間に置く。
それがセオリー。
こいつらはそれを知らなかった筈だから、恐らく周りの真似をしていただけだろう。
「赤かなぁ……いや、やっぱり次は黒……」
ここまでの直近5回の内訳は赤黒赤赤赤……黒がきそうな気がするよなぁ?
だが、今回はどっちでもない!
クックックッ……まぁ、こんなど素人の小娘に負けるのは癪だが、この勝負に勝てばほとんど取り戻せる。
今回はそれでよしとしてやるぜ。
「では……」
俺は力を調整し、手にしていた白い球を弾く。
よし!
完璧だ……間違いなくいける。
「んー……やっぱ赤で……」
いいぞ!
精々どっちかで悩め……ま、無駄だがな。
さぁ、あと2周で……!
「あ、0ってのもあるんだ。今気付いた」
ちょえっ!?
なんで今気付く!?
駄目駄目やめて!
今は駄目なの!
お願い!
赤か黒に……!
「……なんか当たる気がする。最後だしこれにしよ」
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁだあぁぁぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!
「ノ……ノーモア……ベットぉ……」




