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異世界転生なのです、お姉さん!  作者: 乃平 悠鼓
エピローグ
61/63

異世界転生なのです、お姉さん! 《1》

遅くなりました!(>_<)

「もう…すこし。もう…すこし。えい!」


 ソファーの上に乗り、目の前のクリスマスツリーの一番上に、キラキラ光る星をつけましたとも!


「やった〜♪」


 4歳から初めて、最初は熊さんに抱っこしてもらってだったけど、8歳になった私はようやくソファーの上に乗って、自力でつけられるようになりました! 私は “ふふ〜ん♪” と胸を張って振り返ったよ。


「だぁー♪」

「うー♪」


 パチパチと、天使達も拍手をしてくれています。その後ろで、魔物さん達が “うんうん、届いたね。頑張ったね” みたいな眼差しで見ているような気がするけど、気にしないー。私は成長したのだ!

 毎年この時期になると、街の中の大きな木はクリスマスツリーのような飾り付けになり街を華やかにしてくれます。もちろん、ダンジョンマスターの部屋にもクリスマスツリーを設置します。あっちの世界で買ったやつ。

 このクリスマスツリーの飾り付けは、ちぃちゃいもの倶楽部の役目なの。そうだよ! 私と天使達と蜂コンビのことだよ! 今も、ボールのオーナメントを持った天使達がパタパタと飛びながら飾り付け中。その横では、蜂コンビもリボンのオーナメントを持ってブ〜ンと飛んでお手伝い中。私も、手の届く範囲で飾り付け〜♪

 私は一年一年成長してるけど、天使達はすごく長寿らしくて成長もゆっくり。出会った時とあまり変わってない。まぁ、一度力を使い果たして小さくなってるけどね!


「できた〜♪」


 うん、今年も可愛くクリスマスツリーを飾り付けできました! 満足です!


 あの “街びらき” から、三年が過ぎました。私は今、来月のエンジェルマーケットの準備で大忙し。本来、この世界に天使はいない。偶然、違う空間からこのダンジョンにやって来た天使達がいるだけ。なのに、なんでエンジェルマーケット?

 なんでかって言うと、領民の一部はダンジョンのスタンピードの時に天使達を見ちゃってるわけで、羽のある小さな子供が助けてくれたって話が広がってたの。それは復興に勤しんでいる時からのことで、“ならエンジェルイベントやっちゃう” って言うことで、真っ先に思いついたのがクリスマスマーケット。

 でも、この世界にはクリスマスもないからね! で、クリスマスマーケットを参考に作ったのがエンジェルマーケットなの! ヨーロッパのクリスマスの時期に某国の市庁舎のバルコニーや窓辺で行われる天使に(ふん)した子供達のパフォーマンスと、あっちの世界の日本の某テーマパークのクリスマスイベントだった、少年合唱団とプロジェクションマッピングによるクリスマスの奇跡を参考に、こっちの役所の窓辺で天使のコスプレをした子供がパフォーマンスをすることにしたんだよ!

 ちなみに、マージェさん達は、ダンジョンマスターの部屋でみた某テーマパークのプロジェクションマッピングみたいなのもやりたいみたいだけど、今は無理だからスライドの上映みたいなことをやってるの。この世界では見たこともない演出だから、スライドでも十分すぎるほどの人気イベントになったけどね。

 私も、6歳の時に天使役をやったよ! 初めての試みだから率先してやったけど、今は5歳から10歳の子供達の中から10人が天使役として選ばれるの。今日は子供達の練習日だから、私も演技指導の立場で同じ天使の衣装を着ています。

 演技指導はお昼からだから、午前中はダンジョンマスターの部屋にクリスマスツリーの飾り付けにきていたのだ。毎年の恒例行事だかね。


「あー♪」

「きゃうー♪」



 天使達は私の姿を見て、“お揃い〜♪” とばかりに大喜びだったよ。二年前私が天使役をやった時には、天使達もダンジョンマスターも見にこようとしてたからね! ダメでしょ、本物の天使がきちゃ!

 と言うことで、ダンジョンマスターがこっそりマージェさんにビデオカメラを渡して撮影してたんだよね。()()()この時期になると、いまだに見るのやーめーてー!!


「じゃ、行ってくるねー!」

「うー!」

「だぁー!」


 ポンとソファーから飛び降りた私に、天使達が “行ってらっしゃい〜” と手を振る。私は天使の衣装を着てルンルン♪とスキップしながらお屋敷に戻ったよ。だってね8歳にもなれば、前世の服飾学科の腕前が発揮できるのさ。今着ている服と天使達の服は、私のお手製なのですよ!

 エンジェルマーケットでは数々の商品が売られているけど、どれも天使の羽がつけられている。一番人気は、このダンジョンにいる魔物さん達に天使の羽をつけたモチーフ。レジンのアクセサリーやぬいぐるみが人気なの。羽の形のクッキーも人気商品です。

 他のダンジョンでは信じられないことだけど、この領地のダンジョンの魔物さん達が領主を守るため戦ってくれた話は、天使達の話と共にまことしやかに広がっています。いや、本当の話なんだけども。


 この時期は、領の門や各ギルドなどの近くにある一番大きな木が、リボンやボールや星などのオーナメントで飾り付けられてクリスマスツリーみたいになるの。

 各場所でオーナメントの色は決まっていて、門は金色、冒険者ギルドは赤色、商業ギルドは橙色、医療ギルドは青色、教会が白色、お屋敷が紫色。中央広場や公園や牧場は色とりどりのオーナメントで飾り付けられてる。このクリスマスツリーを見るためだけに、やってくる人がいるくらいなんだよ。


「スリジエ、ひさしぶり!」

「お嬢様はお忙しそうですね」


 エンジェルイベントの指導に役所にやってくると、お屋敷の前女中頭(ハウスキーパー)のスリジエがいた。スリジエは “街びらき” の半年前にお屋敷を辞め、今は老人ホームと孤児院の代表をしています。

 スリジエがお屋敷の女中頭を辞めて老人ホームに行きますと言った時にはびっくりしたけど、“ゆくゆくはホームに行くのですから、今は後を任せられる者もおりますし子供達にマナーなどを教えて暮らして行きたいと思います“ と聞いた時には、お祖父様もお祖母さまも “お年寄りと孤児達をよろしく頼む” と、送り出したの。

 今お屋敷の女中頭をしているのは、王都から私達と一緒にきたシプレ。使用人さん達も増えて、よく働いてくれています。この領地の孤児院は凹形で、右側が孤児院、左側が老人ホーム、そして真ん中が共用になっているの。

 お年寄りと子供達が力を合わせ暮らしています。お屋敷の庭園と畑の手伝いをしてくれていたアルボとマーロも老人ホームに戻り、今はホームの裏にある庭と畑をお年寄りや子供達と一緒に作っている。


「フォリーオ、お嬢様に御挨拶を」


 スリジエが、小さな男の子の肩に手を置いた。


「こんにちは、おじょうさま」

「こんにちは。今日はよろしくね、フォリーオ」


 フォリーオは、孤児院で暮らしている5歳の男の子。今年、天使役に選ばれたの。“街びらき” の後、この領地の人口は増えた。それと共に、門の外に子供を置いていく人が出始めた。“あの領は景気がよく、孤児への支援もしっかりしているらしい” と言う話が広間っているのが原因かも。

 門の中に入ってさえくれれば、色々な支援もできるから子供を置いていくなんてことしなくてもよかったかも知れないのに、門の中に入るには個人情報が必要になるから身元がばれることを恐れて門の外に置いていくのだ。

 この街には出入りする人達が多いから、門の外の取り締まりは難しい。門がしまり、誰もいなくなった外にポツンと残される子供達の姿には胸が痛むよ、ホント!

 フォリーオもそんな子供達の1人。今はたくさんの友達やおじいちゃんやおばあちゃんに囲まれて、元気に暮らしている。そして、今年の天使役に選ばれたと言うわけだ。


「じゃみんな〜! いまからおけいこするよ〜!」


 “はーい!” と言う可愛い声を聞いて、天使のお稽古開始だよ!

一口メモ


エスペラント語 → 日本語


フォリーオ → 葉



次回投稿は12月4日か5日が目標です。投稿時間が遅れるかもしれません。

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