異世界転生なのです、お姉さん! 《2》
私は今、ウェディングドレスを作っています。誰のドレスかって? それはね、お母様のドレスだよ!
お母様は、じーじの一番下の弟さんの息子さんと再婚することになったの。お相手の名前はアファーブラさん、私とは馬友さんなのよ!
じーじやばーば、クンルダントさんがよくこっちに来るもんだから、一緒にここに遊びに来たのがお母様との出会いなの。優しい人でこっちのお手伝いもしてくれるし婿養子にもなってくれるし、馬についても詳しいからすごく助かってる。
お母様のドレスは、生成色の絹を使ったドレス。上半身はビスチェタイプでスカートはプリンスラインなの。ただ、この世界の結婚式では花嫁の肩の露出はないので、絹のドレスの上にバラの図柄が施された豪華な同色のレースを使う。
上半身のレースは襟元Vラインに袖はロングスリーブをつけて、スカート部分は後ろの長い引き裾のロングトレーンに。上品さが際立つ作りなの。
アファーブラさんの方は、お母様と同色の燕尾服を作った。本来ならこっちの世界の正装はジュストコール、ジレ、キュロットだけど、お母様のウェディングドレスがあっちの世界風だから燕尾服にしてみたの。
さすがに手縫いだと式に間に合わないと思ったから、ダンジョンマスターに泣きついてあっちの世界で買っておいたミシンを魔石で動くようにしてもらったよ!
「で、できたー!!」
二つの洋裁用ボディに着せたウェディングドレスと燕尾服。私、頑張っんじゃない? 思わず飛び上がって喜んじゃった!
「完成でございますか、お嬢様」
「うん、かんせーなの!」
私が切り散らかした布切れや糸屑を掃除していたキャメリアが、ウェディングドレスを見上げ言った。私は、自信満々で頷きましたとも!
見て見てー、出来上がったウェディングドレスの横に立ち、私は胸を張ったよ! “お母様呼んでくるー” と、私は自室の隣にある趣味のための部屋から飛び出しました。ルンルン♪とスキップしながら廊下に出ると
「お嬢様、何かいいことがありましたか」
と、すれ違うメイドさん達が言うので
「お母様のウェディングドレスができたのー♪」
と言えば、“まぁ!” と皆の声が上がる。メイドさん達も、お母様のウェディングドレスを楽しみにしてくれてたんだよね! 皆で見てよ、そして私を褒めてくれてもいいんだよ!
「お母様ー、ウェディングドレスができたのー!!」
と部屋の扉を勢いよく開ければ、ちょうどお茶の時間だったらしくお祖父様やお祖母様、遊びに来ていたじーじやばーばも一緒にいたよ。
「グルナお手製のウェディングドレスが出来上がったのね」
「はい! できました!」
お祖母様の声に、私は思わず左手をピシッと上げて答えちゃった。“見せてもらいましょうか” と言うので、皆でぞろぞろ三階へ。
「まぁ!」
「おぉ!」
短い一言が聞こえた後、シーンとなった。うん? 皆一言で、次がないよ! 振り返ってみれば、全員が目を見開いて固まっています。
「これ…を、私が…着るの?」
「女王様、みたいね」
お母様、ばーば、女王様だったらこんなシンプルイズベストのドレスじゃないと思うの。そうね、女王様ならレースのフラワーモチーフをたくさん作って、ドレスに飾り付けるわ。
「お母様、きてみて! みんなー!」
と言えば、メイドさん達がささっと来て隣の部屋で着付けをしてくれる。三階は、私の部屋と勉強部屋、趣味の部屋の三つ意外は使われてないからね。ちなみに私の趣味の部屋の三つは、服を作る部屋、アクセサリーを作る部屋、完成品を置く部屋なの。
「まぁ、まぁ、なんて素敵なの!」
「こんな素晴らしいドレスは見たことがないわ!」
レース意外は、実にウェディングドレスとしてはシンプルな作り。なのに、上品さ、優雅さ、神々しさと言ったら、半端ねぇー。いや、違った。半端ない!
「お母様ステキ! きれー! こうごうしー!」
私はお母様の前に走って行って、ポンポン跳びはねましたとも!
「お母様、これもつけてみて!」
そう言って差し出したのは、アクセサリー。宝石商に頼んで作ってもらった特注品。あっちの世界に行けた頃ダンジョンマスターが出してくれた宝石の中から、使わなかった小さなダイヤモンドや色石を集めて作ったヘッドティカとイヤリング。
ヘッドティカ、イヤリングの中央には、ルビーの大きめの石がついている。このルビーは、アファーブラさんからのプレゼント。隣国では、プロポーズの時に宝石のルースを贈るのが慣わしらしいのよね。
ヘッドティカと言えば、この世界にはヘッドティカって言うアクセサリーはなくてね、作る時大変だったなーって思い出してみる。
お母様とアファーブラさんに許可をえて、私がウェディングドレスとアクセサリーを作らせてもらうことになったんだけどさ、宝石商にレジンで作った見本と宝石のルースを持って行く時にフィーディさんと途中で会って一緒に行ったんだけど
「お嬢様、これはなんですか」
「ほえ、ヘッドティカです」
「お嬢様、ヘッドティカとはなんですか」
「ふぇ、ヘッドティカない?」
「ございません!」
「ほえぇぇ」
あの時は、ドナドナされて財団事務所に連れていかれたな……。トホホホ……。
「お嬢様、またなんかやらかしたんですか」
「何にもしてないよ!!」
「やらかしましたよ、お嬢様」
ひどいよ、フィーディさん! 私に最初に声をかけたのは、騎士団の財務に所属していたリチェーツォさん。今は騎士団から財団に派遣されているの。えっ、何の財団かって? それはね、私の財団だよ!
ことの始まりは、スタンピードの後、みんなの前で王妃様に献上するレジンのアクセサリーを見せた時までさかのぼるの。その前もドレスのモチーフやパニエなんかの作り方をコルポールティス商会が登録してくれて、そのデザイン料なんかが順調に入ってきていた。
そこにレジンのアクセサリーを出したことで、これらも登録したらどうなることかと言う話になったの。そしてこれからもこの世界にはない物が出てくるかも知れないと言うことでお祖父様達と話し合った結果、フィーディさんと騎士団の財務からも人を回してもらって財団を作ることになった。
財団では、私がこの世界にない何かを出すたびにフィーディさんが登録、入ってきたお金はリチェーツォさん達が管理してくれている。財団のお金の使い道は私の自由と言うことで、今はおもにウェディング事業と学童保育に使っているの。
平民の結婚式は、教会に行って式を挙げるだけ。しかも、服装はほぼ普段着と変わらない感じ。前世日本人の私としては、せっかくの結婚式なんだから領民達にも綺麗なウェディングドレスを着て欲しいと思う。だから、教会の隣でウェディングドレスとタキシード、アクセサリーの貸し出しを行っているの。住民なら無料で借りられ、ドレスを着て教会で結婚式を挙げられるのだ。その隣では花畑も作っていてブーケは結婚式のお祝いにプレゼントし、当日たまたま教会に来ていた人もに参加してもらってフラワーシャワーもするの。
とっても好評で、特に “フラワーマーケット” の時期に結婚式を挙げる領民が多くて、今年のフラワーマーケットの期間も予約がいっぱい。ちなみに、お母様の結婚式は、フラワーマーケットの少し前なのよ。
そしてもう一つは学童保育。我が領地の学校は10歳になる年に入学して、三年間学校に通う。読み書きと国の歴史、一般常識、礼儀作法などを習うのだ。ただ、この学校は週三日で一日4時間ほど。両親共働きの家も多いので、児童図書館を作りそこで学童保育を行っているの。
児童図書館は毎日行けて、学校の授業の予習や復習、掃除や料理、剣術やアクセサリー作りなど、色々なこと子供達と一緒に行っているの。もちろん、本も読み放題。
「お嬢様、聞いてますか」
「はい、聞いてます!」
おっと、現実逃避しちゃったよ。
「このヘッドティカはどう使うのですか?」
ヘッドティカは額につけるネックレスのような形をした物。両方のこめかみの上部分にヘアピンをつけて、ヘッドティカの両端をそのヘアピンにかけて使う。
この世界では頭の上につけるティアラは王族だけの物らしいから、額を飾るくらいならいいかな? と作ってみた。せっかくの結婚式なんだもの、お母様を綺麗に着飾らせてみたかったの!
みたいなことがあったんだよ。うん、思い出すねぇ。お母様のウェディングドレスは大好評で、皆から褒めてもらったよ! お祖母様やばーばも “いいわねぇ〜” って言ってた。私、お祖母様やばーばのためにもドレス作るよ。
聞くところによると、来年お祖父様とお祖母様は結婚三十周年らしい。真珠婚式だよ! 真珠をたくさん飾り付けたドレスを作ったらいいと思うの! どうだろうか? ばーばにも、結婚何周年か聞いてみようっと。
一口メモ
エスペラント語 → 日本語
アファーブラ → 優しい
リチェーツォ → 富
次回、最終話投稿は8日か9日が目標です。更新時間が遅れるかもしれません。




