表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死身の神官〜色々平均以下の俺が転生して不死身になった〜  作者: ほねつき
〜第3章〜 ーリムサン大陸ー 勇者召喚編
51/252

ー第10話ー 『勇者の実力』

諸事情により遅くなりました!申し訳ないです!どうぞー

「で、どうするんだ?」


俺たち3人(1人と2匹?)は屋台から出て路地裏で見つけたカフェで勇者について相談していた。

ドラグはコーヒーにテーブルに置いてあった砂糖を半分以上入れ飲むが舌を出し「苦ぇ…」と人族語で喋る。

ガンマは俺の隣に座り紅茶を静かに飲んでいた。

対する俺は氷が入ったミルクにストローをさして飲む。……俺はコーヒー、紅茶が苦手なんだよ…


『オレとしては勇者はさっさと殺した方が良いと思うぞ。今ならまだ勇者としての力を出し切れていない。』


ドラグが天龍語。もとい、日本語で話した。


『私もドラグ様に賛成ですね。アムリタ様の事を考えればさっさと殺した方が良いかと…』


ガンマもドラグの意見に賛成の様だ。確かにな、おっさんの事考えるとまあ…でも、本当に勇者が原因かどうか自信は無いしな。勇者を殺すってのはな…王国連合が色々絡んできそうだし…1番の問題はアレだ。


『俺は勇者は放置で良いと思う。』


『何故だ(です)?』


『勇者の右腕と呼ばれる男。』


『ああ、あの『雷剣』と呼ばれておったあの若い男か…だが何故その男が絡んでくるのだ?』


はぁとため息を吐き俺はひと昔前のタッ君との関係性を話した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



一通り話した俺はミルクを再び注文しテーブルに置かれたメニューを開く。

サンドイッチやカレーの絵が描かれその下に値段が書かれている。

はっきり言って高い。

10チールや15チールと日本だと多分千円?位の値段だ。


「ふっ…」


メニューを静かに閉じ元の位置に戻す。

ミルクが運ばれ俺の前に置かれた。ストローを挿し半分ほど飲み干す。


『成る程、その弟子の仲間は傷つけたくは無いとな?』


ドラグがコーヒーに砂糖を更に加え一口飲んだ。


『まあ、そうだな。兎に角、今は手を出しはしない。』


『アムリタは良いのか?』


『おっさんが勇者1人の存在で死ぬわけ無いだろ?その内、治るんじゃ無いか?』


ミルクを一口飲む。ドラグもコーヒーを一口吸った。


「そうか、まあ、バンシィがそう言うならば俺もそれに乗ろう。」

「私は主様の御心のままに。」


「…ありがとう。」


ミルクを飲み干し勘定をする。


コーヒーを未だに頑張って飲もうとするドラグを引っ張り店を出た。


店を直ぐに出た事には訳がある。


「…ん?」

「あ。」


ドラグとガンマも気付いたようだ。2人とも西門の方に顔を向けた。

実は数十分くらい前から西門より向こうの森からかなり巨大な魔力が迫ってきているのだ。


外に出ると障害物が少なく更に魔力感知の感覚が研ぎ澄まされる。


巨大な魔力は小さな魔力が密集して出来ているようで、恐らく軍隊か魔物の群れである。しかし軍隊だとしたらちょっと、いや、かなり変だ。何故ならこの一つ一つの魔力には意思が感じられない。


普通人間か魔族なら感情というか意思が魔力に少し流れ出る。

意思が感じられないとなると魔物、しかもかなり最下位の方に位置する魔物の群れだ。


直ぐさま『千里眼』を発動させその魔力の先にピントを合わせる。


それは白い骸骨だった。


骸骨が隊列を組み軍隊の様に進んでいたのだ。見る限り1万は超えている。その骸骨達は皆、鎧を身に付け森の木々を切り倒しながら進軍していた。


『スケルトン・ナイト』

『スケルトン・ソルジャー』

『スケルトン・アーチャー』

『スケルトン・シールダー』

『オーバースケルトン』


見た限り5種類のスケルトンがいる。


スケルトン・ソルジャー、アーチャー、シールダーはBランク上位の存在で1番数が多い。2番目はスケルトン・ナイトで此奴らは他のスケルトンとはまた違う聖騎士の様な鎧を身に付けている。ランクは確かAランク上位。オーバースケルトンに至ってはSSランク。他のスケルトンとは一回り、ふた回りも大きくとても頑丈そうだ。


はっきり言ってこれはエグい。俺1人だと倒すのに30分は掛かりそうだ。何せ数が多い、多過ぎる。誰かが意図してやらないとこんな数は現れない。それでも相当な魔力が必要になってくる。俺でもこんなアホな事はしない。というかしたくない。


そして、そんなエグい奴らがほぼ間違いなくこの王都シューラに進軍している。


その時俺は閃いた!


これって勇者の実力を見れるかもしれないな。

そうと決まったら即実行。

先ずはこんな所にいては巻き込まれてしまうだけだ。


「ドラグ、ガンマも気づいたろ?さっさと外に出るぞ。」


「ほぅ、成る程、バンシィ読めたぞ。これを逆手に勇者の実力を確かめるのだな?」


「そゆこと。」


ニコリと笑い早歩きで一番近い南門を目指した。




俺たちは姿を消し気づかれないようスケルトンの大軍に接近した。

間近でみると本当に大軍だ。カタカタと歩く姿はシュールだが、この大軍はもう恐怖でしかない。


頃合いの大きな木を見つけその天辺の枝に腰掛けスケルトンの大軍と王都シューラを見渡せる位置についた。ドラグはフワフワと空中を浮遊している。ガンマは変身を解き空から観覧している。


その時、シューラの門上空に花火が2発上がった。


また2発上がる。


恐らくこのスケルトン達に気づいたのだろう。距離からすると2キロ位の位置だ。スケルトン達は花火が上がると動きを止め横に広がり始めた。単横陣的な?


ソルジャーが前列に立ちまた木々を切り倒し始めた。


もう少しで森が平地に変わる。


王都シューラの城壁から1キロは平地でそこから先は森だ。


スケルトン達が森を抜け平地に出た。


その時。


ドオォォン!!


王都シューラの城壁から砲弾が撃ち込まれた。


スケルトンの一部が粉砕された。


穴の空いた場所に別のスケルトンが埋めた。


オーバースケルトンが手を挙げるとスケルトンが動き一列目にシールダー、二列目にソルジャー、三列目にアーチャーが並びその後ろに何人ずつか間隔的にナイトが指揮を執っている様だ。えらく人間の様な動きをする。


オーバースケルトンの周りにナイトが10人構え進軍を始めた。


正方形の形でスケルトン達が進み始めじわじわと距離を詰めていく。

門からも砲撃が何度も放たれスケルトンを倒していくが空いた穴は直ぐに別のスケルトンが埋めていった。



それにしても…だ。こんな大軍は本当にどうやって集めたんだ?


「どう思うドラグ?」


「かなりの魔力を持った者がコレだけのスケルトンを出したと思われる。あれを見ろ。」


ドラグが一回り大きいスケルトン。オーバースケルトンに指をさした。

千里眼を発動する。


スケルトンの首に5センチ程の魔法陣の跡が残っている。

魔物を召喚すると召喚跡が残る。それがあの魔法陣だ。

もっと手が込めば魔法陣跡を残さず召喚出来るが数が多く恐らく少し残ってしまったのだろう。


お。


西門から騎士が隊列を組み現れた。

数は数百。この量のスケルトン相手にあの数は少なすぎる。


スケルトンと騎士の距離が近くなってきたその時、城壁に魔法使い、いや、あの小さな賢者が現れた。


魔導書を天に掲げ何かを唱えるとスケルトン軍団の上空の天気が変わった。


刹那。


巨大な雷が落ちた。

鼓膜が破れそうな程の爆発音が直ぐにきた。


千里眼でスケルトンの数を確認するが煙が出て確認が出来ない


その時騎士達が動き出した。


それぞれが身体強化と思われる魔法を唱え剣を構え煙に向かい突撃を始めた。


煙が晴れスケルトンが確認できる。


SSランクのオーバースケルトンが三体、ナイトは数百残って居る。あの雷でBランクのスケルトン達は全てやられた様だ。



「今のは?」


「神級魔法『裁きのいかずち』だな。あの魔法使い、かなりやるな」


「そうか。」


流石は勇者の仲間だなぁ

だが、まだ肝心の勇者が一切何もやっていない。


というか勇者が出てこない。


何やってんだ仕事しろ。


そう思っていると西門が開き青白い鎧に身を纏う勇者が現れた。あの見栄え重視の剣はつけておらず武器を一切持っていなかった。


一体何を?


その後からタッ君が現れた。さて、タッ君の実力も見れるといいな。


創造魔法でポテチを創造し食べる。

ドラグにも一枚やると喜んで食べた。


先に走った騎士がスケルトン・ナイトとぶつかり剣を交えた。

スケルトン・ナイトはまるで人間のような動きで騎士達と互角に戦う。


一見すると騎士が押している様だがまだ最前列のスケルトン・ナイトと交戦しているだけで後ろにはまだオーバースケルトン、が三体控えている。かなりキツイはずだ。


そこにタッ君が乱入し手頃のスケルトン・ナイトを一撃で斬り倒した。


良いねぇタッ君。成長してるね。


背後から襲い来るスケルトンを脇差の剣で振り向かず刺した。

ただ、明らかにだ。


明らかに腰に付けた魔力樹が動きを邪魔している。


タッ君が剣に雷魔法を纏わせた。

地面を突き刺し周りのスケルトンの動きを止めた。


その隙に騎士が斬りつけ倒していく。


一方勇者は……


魔力を少し貯めるとスケルトンを殴りつけた。

そして砕けたスケルトンの体をあさり始めた。


一体何を?


そう思っていると肋骨を一本外し軽く振った。


「ん、なるほどな。」


ドラグが閃いた様だ。


「何かわかったか?」


「ああ、恐らくスケルトンの魔法陣を探査魔法で魔力の根元を探している様だな。」


つまり、誰が召喚したか大まかに決める魔法らしい。


すると確認が終わった勇者は何か、恐らく通信系の魔法だ。何故そう思うかっていうと明らかに勇者の魔力が城壁にいる賢者に送られているのだ。


てか、俺はそんなどうでも良い芸当が見たいのではない。俺は強さが見たいのだ。


俺がちょっと願うと勇者が動いた。


突然手に光の剣が現れスケルトンを薙ぎ倒した。


勇者はオーバースケルトンに向かい光の剣を空中に5本出現させ飛ばした。


オーバースケルトンがその防御力に任せ両腕てガードするが、光の剣は貫通し四肢を貫かれ最期に頭を奪われた。


「何だ、あの技…」


「すまん、俺も分からん。」


ドラグもお手上げの様だ。


正直、勇者圧倒的過ぎる。SSランクってガンマやジャンヌ、ベータとシャンと同じ格だぞ!?ワンパンって何だよ!?


「…安心しろ、お前の部下はSSランクでもお前が主である事によってほぼGランクと言って良い強さだ。」


ドラグがかなり重要な事を言いやがった。


まぁいい、それにしても、だ。

この調子だとあと数分もしない内に勇者がスケルトンを倒してしまうだろう。何だか面白く無いな。


木から飛び降りローブに付いたゴミを払う。


木にもたれちょっとだけ魔力を練って溜めておこう。




「おい、バンシィ、終わってしまったぞ。」


ドラグも飛び降りてやって来た。


その時だった。


突然目の前に高濃度の魔力が集まり始めた。


「…!!転移魔法だ!」


ドラグが距離をとったので俺も一歩下がった。

魔力樹を抜く準備をする。


魔法陣が空中に現れ中からあの、青白い鎧を身に付けた男。


カミカド・ナガト。


勇者だ。勇者が現れた。


間近で見るとかなりイケメンだ。

そんなイケメンさんが俺たちを睨み付けていた。


一瞬の沈黙を勇者は真っ先に破った。


「今のスケルトンを召喚したのはお前たちだな!?」


違います。


そう答えようとした。したんだ、だが、先に答えられた。


「だとしたらどうするのだ?」


ドラグウゥゥゥ!!!!

馬鹿か!お前は!それ絶対やった奴の言うセリフだって!!


「倒す!」


勇者が高速で一歩踏み込み先程の光の剣とは別の炎を纏った剣でドラグに斬りかかった。


抜刀。


魔力樹を引き抜き鋼の剣の形に変化させその剣を抑える。


ギチギチ…


と勇者の動きが止まった。

かなり力が強いがやられる程ではない。どうやら俺の方が力は・・上の様だ。


そしてまた勇者の出てきた魔法陣から1人出てきた。


真っ青の鎧を身に付け腰には魔力樹をさしている。


タッ君だ。


目があうとタッ君が驚いた様な顔をした。

そうだよな、俺も驚いてるよ。


勇者の剣を弾きお互い距離を置いた。


「タリウス!手伝ってくれ!此奴ら、強い!!」


「待ってくれナガト!」


応援を求める勇者をタッ君が止めた。


一瞬勇者の動きが止まりその隙をドラグは逃さなかった。


右手を元の鉤爪の様に変化させ勇者を突く。


遅れて反応した勇者は弾き飛ばされ木に背中を打ち付けた。


「待ってくれ!ディラ兄!!俺だよ!」


必死に止めようとするタッ君をドラグが迎撃しやがった。


タッ君は直ぐに防御しドラグを弾いた。


「うおぉぉぉぉ!!」


勇者が巨大な光の剣を構え振り下ろした。


「魔防壁」


右手を上げその大剣をガードする。

これも弱い。


俺が上に気を取られていると勇者が死角から斬りつけてきた。左手の魔力樹をトンファーに変化させガードする。


光の剣が消え空いた右手に創造魔法で剣を実現させ勇者に振り下ろした。


その剣をタッ君が抑えた。


勇者は距離を取り剣を構え直す。


「ディラ兄!俺だよ!タリウスだよ!」


「俺だと分かって何故、刃を向ける?」


いや、ほんとコレはガチで。頼むわ俺じゃねーよ。


距離を取りドラグと横並びになる。


「気づいていたか?」


「ああ。」


恐らくシューラからの援軍だ。

これ以上事を大きくしてはマズイ。


上空のガンマとアイコンタクトをとる。



「時間だ。お前らの健闘を祈っているぞ。」


ドラグが勇者とタッ君に向かい言い放ちジャンプした。それと同時に俺も飛び滑空してきたガンマの脚を掴み空へ逃げた。


「ま、待て!!」


勇者がファイヤボールを放って来たがウォーターボールで相殺する。



タッ君の悲しんだ様な目が俺の眼に入った。



タッ君……



冤罪だからね?



俺は悪くない、ドラグが話を拗らせたのが悪い。


そう決めつけ俺たちは空高く飛び撤退した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ