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5の街の情報屋~ラムネの優しさ~

「何かおもしろいこと無いかな~」


家を手に入れて1週間。私たちはとりあえず整理等をすることにしたけど、建てられてから結構時間が経っていたみたいで、その間誰も住めなかったからこれが思いの外大変だった。ラムネちゃんに水や風の魔法での掃除方法を教えてもらいながらやったけど、1日に全部をするのは疲れるから何日かに分けてしていたら、4日も掛かってしまった・・・。


それからは、この街のことを知ろうと思って探索をしていた。ラムネちゃんに案内してもらっている内に、誰もラムネちゃんに気付かないことに疑問を感じて聞いてみると


「わたしは置物と同じだから・・・ただ、いるだけで殆どの人には疎まれてしかいなかった」


と言っていた。


「そっか・・・分かってると思うけど、私とテイルはラムネちゃんを大事に思ってるからね?」


「うん。それは分かってるよ?ありがとう、アカネ、テイル///」


「お礼なんていいよ。当たり前のことだもん。ね?テイル」


「うん。らむねはやさしい、だからすき」


「・・・・あ・・・ありがと///」


あらら、恥ずかしがり屋モードになっちゃった。でも、私としてはこっちの方が好きだな~・・・見てると、テイルとは違う意味で癒される。あ、そうそう、家にはお風呂も付いてたんだけど、それがかなりの広さで・・・なんと!テイルが入っても問題なしだった!良かったよ~。


「さ、次はどこを案内してくれるの?ラムネちゃん」


「・・・えと・・・・こっち・・にある・・・・・情報屋///」


情報屋か。この先何度もお世話になるかもね・・・ギートとマイスには何も言わずに出てきちゃったけど、大丈夫だよね?




それから案内してもらって、情報屋に辿り着き中に入る。その建物は現代で言うなら宝くじの建物みたいな感じだった。もちろんちゃんと扉は付いているからそこから入ったよ?中はカウンターがあって、向こう側に一人の女性が座っていた。


長い金髪を多分腰辺りまで伸ばしていて、紅い瞳を持っている。服はローブみたいな物で魔族の象徴である翼が見えていたけど、片翼だった・・・。


「こんにちは。ここに来るのは初めてかしら?」


「・・・・あ、はい。そうです」


なぜだか反応が遅れてしまった。


どうしてだろう?


「今日は何の用事かしら?何か知りたいことがあるの?」


「はい。何かおもしろいことが無いかなと思いまして・・・少し前まで滞在していた街では仲が良かった、冒険者の2人に教えてもらってたんですけど・・・」


「こっちにその2人はいない訳か。それで、ここに来たの?」


「そうです。何か情報はありますか?何でもいいんですけど・・・」


とりあえず、何か分かればそこからまた新しい発見があるかも知れない。


「そうね・・・この街から北に2週間ほどの所に谷があるのだけど、そこのことは知ってるかしら?」


「・・・いえ、まだ何も知りません。ラムネちゃんは?」


「知ってた。でも、あそこは最近危険だから、まだ近づかない方がいいと思って言わなかったの。ごめんね?」


教えなかったことに罪悪感でも覚えたのか、不安気な顔で謝ってくるラムネちゃん。そんなこと気にしなくていいのに・・・。


「ラムネちゃんは私たちのことを心配してくれたんでしょ?それなら、謝る必要なんてないよ?

それよりも、ありがとう・・・でも、これからはそういうことは教えてね?知らない内に危険な場所に入ってしまったらそれこそ、危険だから。ね?」


屈んでラムネちゃんに視線を合わせて頭を撫でながら言うと、赤面して頷いた。ホントに可愛いね?


「大好きだよ?ラムネちゃん。これからもお願いね?」


抱き締めるとラムネちゃんも抱き返してくれる。テイルが私の前に回り込んで何か言いたげな目で見てきたから、テイルも一緒に抱き締めた。


「そろそろ、いいかしら?」


「あ、はい。どうぞ」


それからその谷。名前は『魔の谷』と言って名の通りそこには魔物が大量に生息している。でも、さっきもラムネちゃんが言っていた通り最近その谷が危険な様だ。でも、情報士さんは


「最近その谷の魔物達が酷く大人しいのよ。近辺の住人達は助かってるみたいだけどね?気になるなら行ってみるといいわ・・・何が起こるか分からないけどね?」


と言った。


どういうことだろう?ラムネちゃんは『危険』だと言ったけど、情報では『大人しい』。それはまるきり矛盾していると思う。とりあえず店を出ることにして、あることに気がつき振り返る。


「そういえば貴女のお名前は?私はアカネ・ユキトです。この子はシャドー・ドラゴンの」


「ている」


「この娘が」


「・・・・ラムネ・ル・レンドキア」


「そう・・・これから先もよろしくね?それからあたしの名前だけど」


そこで情報士さんは一度言葉を区切ってから、次の言葉を紡いだ。





「――――――あたしは名を持たないの。だからごめんね?」






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